うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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気分はシミュレーション、お前に逃げ場はないゾ☆

「TASさんの方法を、」

「踏襲しない……?」

「その通り。そもそも彼女が三人分必要なのを私達五人で分担、というのが端から無理な話だったわけだ」

 

 

 だって、彼女と比較になるのはAUTO君とCHEAT君くらいのもので、あとは精々ROUTE君がどうかなーって感じで、私とダミ子君に関しては端から論外だからね……とはMODさんの言。

 最初からオーバーワークも良いところの話であったため、ここで軌道修正できるのは寧ろ幸運ですらある……と彼女は告げたのであった。

 

 

「では、具体的にどうするのですか?」

「勿論、私達の利点を活かすに決まっているだろう?」

「利点を活かす……?」

 

 

 そうして彼女達は、自分達だけでどうやってティラノサウルスを打倒するのか?……ということについての作戦会議を始めたわけなのだが。

 

 

「…………」<ソワソワ

「……あー、もしかして向こうの様子が気になる?」

「そんなことはない。私には貴方とピー蔵の修行というとても重要な役目がある」

「無駄に器用なことしてんじゃないよ!?」

 

 

 その話し合いの声量が小さく、何を企んでいるのかがわからないためか、TASさんがさっきから興味津々である。

 

 いや、君ってば未来視能力者でもあるんだから、そこら辺は普通に覗き見できるんでないの?

 ……と問い掛けてみたところ、返ってきたのは「そんな無粋なことはしない」という言葉と、こちらを蔑むような眼差しなのであった。

 

 俺、そんな目で見られるようなこと言ってなくね……?

 そう思いながらDMさんに助けを求めれば、彼女は彼女で呆れたように肩を竦め、深々とため息を吐いていたのであった。

 ……うーん、なんで俺はいきなり四面楚歌に投げ落とされてるんです……?

 

 

「まぁいいや。とりあえず、気になるんなら見に行くか?こっちはそんな一朝一夕で終わるような話でもないし」

「……お兄さんがどうしても見に行きたいって言うのなら、ついていってあげてもいい」

「アーナンダカ突然向コウノ様子ガ気ニナッテキタゾー?」

「ん、じゃあついていってあげる」

(清々しいまでの棒読みでしたが、TASさんはそれで宜しいのですね……)

 

 

 まぁ、俺が理不尽な状態に投げ込まれるのはある意味いつものことなので、さして気にもせず話を戻したのだが。

 

 そういうわけで、生暖かい眼差しをこちらに向けてくるDMさんに密かに辟易しつつ、揚々と歩きだしたMODさん達を追い掛けるのだった。

 

 

 

・∀・

 

 

 

「真っ向から挑むのが不可能なら、それこそやるべきことは搦め手──脇腹を突くことだろうね」

 

 

 そう告げるMODさんは、雰囲気作りなのか羽毛扇を手に持ち不敵な笑みを浮かべていた。……どっから出したのそれ?

 出したんじゃなくて作ったんだよ、と述べながらそれで自身を仰ぐMODさんは、こちらに視線を向けることなく一点を見つめている。

 その視線の先で行われているのは……。

 

 

ぐぎゃるるるぅぉっ(そこのねーちゃん)ぐがぁるらるるぅ(俺とトリケラトプスハントに行かねぇかい?)?」

ぐがるらるるる(お断りします)

ぐがぁぁぁぁあぁあっ(No───!!?)!!?」

「なに

 これ」

「なにって……彼を倒すための手段だよ。題して、『失恋による消沈中なら油断も隙も突き放題』作戦~」

「鬼っ!!悪魔!!TASさん!!!」

「お兄さん、なんでそこに私の名前を混ぜたの?」

 

 

 なんでって……そんなのTASさんが血も涙もない輩だかr()うぼぉぁーっ!!?

 

 はい。

 TASさんを揶揄った結果俺が夏空に花火の如く散ることになりましたが、問題しかありません。

 ……落下地点でDMさんがキャッチしてくれたから良かったものの、下手すると地面に激突してもんじゃ焼き・良くても俺の形の大穴が空くところであった。

 まぁ、こうして無事なのでいいでしょ、とTASさんにはそっぽを向かれたわけだが。……あとでどうにかして機嫌を直して貰わないと酷いことになりそう(小並感)

 

 それはともかく。

 MODさん達がティラノサウルス打倒のため編み出した作戦は、その実とてもシンプルなモノであった。

 

 まず、MODさんが近くの大岩にテスクチャを被せる。

 これは、無機物相手ならわりと好きに姿を弄れるようになった彼女だからこそできることであり、それで作り上げたのがさっきからティラノサウルスが必死に気を引こうとしている()()()()()()()()()()()である。

 

 これを起点とし、CHEATちゃんが相手に対してのフェロモンの発生機器・及び相手に見えているそれが魅力的なものに映るようにする洗脳電波の発生機やコクピットを作り。

 ROUTEさんが相手の反応を大まかにウォッチングし、それに合わせた反応を、コクピットに乗り込んだAUTOさんが行っていく……という、いわばハリボテのティラノサウルス運用を行っていたわけだ。

 

 なお、その仕様上暇な人間……もとい攻撃役は残った一人に固定されることになったわけなのだけれど。

 

 

「……これ、本当にいいのでしょうか……」

「いいんだよ、勝てば官軍さ」

 

 

 その最後の一人──ダミ子さんは、用意されたナイフの調子を確かめつつ、これからこちらが起こすことを思って憂鬱な顔をしていたのであった。

 ……まぁうん、人の心あるんかお前ら、って感じだからね、仕方ないね。

 相手はティラノサウルスであり、人の心なんてないと言われればそれまでだけど。()

 

 

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