「ティラノサウス君が一体何をしたっていうんだ……」
「強いていうなら、そこにいたから?」
「門番みたいなもんだから、殴り倒さないことには進まないわけだし……」
「鬼畜か貴様ら?」
いやまぁ、撃破しないと次の世界に進めないわけだし、そういう意味では心を鬼にする必要がある……とも言えるわけだけれども。
そんなわけで、一種の
失恋のショックで意気消沈してふて寝したところを、ダミ子さんにスパッ……と
「わけのわからないこと言わないで欲しいですぅ……」
「こっちとしては、その状態でキレるの止めて欲しいですぅ。普通に怖ぇ」
「へ?……あっ」
なお、図らずも始末役とされてしまったダミ子さんだが、こういうの私のやることじゃないですよねぇ、とばかりに不満げな様子なのであった。
……うん、それだけならまぁ可愛いものなのだが、今回の彼女ってばティラノサウルスの寝首を文字通りに掻く、ってのが仕事だったからさ?……ね?
ぶっちゃけてしまうと、返り血まみれで割りとホラーなんだわ、今のダミ子さんの姿。
さっきの台詞もその姿と相まって「わけのわからないこと言わないで欲しいですぅ」って感じに聞こえたし。
なお、俺の言葉により自分が今どういう状態なのかを把握したダミ子さんは、慌てて近くの川へと飛び込んで行ったのであった。
……ピラニアとかいたら危なくない?それ。
「死ぬかと思いましたぁ……」
「だろうね」
まぁ、うん。
さっきは分かりやすくピラニアを例にあげたけど、よくよく考えずとも血の匂いまみれの状態で川に飛び込んだら、普通に襲われても仕方ないよね……。
ってな感じに、水棲生物達に追っかけ回され慌てて戻ってきたダミ子さんである。
勿論ずぶ濡れなので、体を乾かすために焚き火を再び着火したわけなのだが……。
「どうかしましたかぁ?」
「いや……なんでこんな服持ってたんだろうなぁと思って」
「なんででしょうねぇ?」
焚き火の前で暖を取るダミ子さんの姿を見ながら、ううむと唸る俺が一人。
……いやだってねぇ、見てごらんなさいよ今のダミ子さんの姿。まさかの甘ロリファッションですよ、甘ロリ。
敢えてゴスロリの方じゃない辺り、趣味だとしてもよくわからんというか……。
そんな現在の彼女の姿だが、頭の上から足の先まで、見事なまでのロリータファッション尽くしである。
街で出会えば「おおっ!?」と圧倒されること間違いなし、ビビるレベルの甘ロリだ(?)。
で、この服を用意したのが、何を隠そうCHEATちゃんというわけなのであった。
「ほら、私って
「ああ、この服にマスクでも付け加えれば、ちょっと痛い感じの配信者って見た目になる
「誰が地雷系配信者じゃー!!」
「誰もそこまで言って
そういえば、配信者としての彼女の正装──自身の左右にレトロゲーが浮いてるあれ──も、ゴスロリっぽいものの派生だったような?
ってことはあれか、お嬢様キャラ配信する時とかに使ってたのかね、あの服。
普段のキャラ付け的には正反対というか、全く似合ってない疑惑があるわけなのだが。……だからしまわれてたし、パッと出てきたのか?
そう、この服を出したのは確かにCHEATちゃんだが、その取り出し方も特徴的であった。
なんと、いつも傍らに浮いているゲーム機のディスク投入口から取り出したのである。明らかに質量的に入りきらないそれを。
「……そもそも左右に浮いている、というところから驚くべきなのでは?」
「それもそうなんだけど、最早見慣れてるものだからそこに関しては不思議に思わなかったというか……」
「それに関しては、私も反論は出来ませんわね……」
何せ、出会った時からずっと浮いてますもの、とはAUTOさんの言。
……うん、いつの間にか『そういうもの』と気にしなくなっていたけど、よくよく考えたらCHEATちゃんの左右にゲーム機が浮いてる、って意味わかんねぇな?
なんかこう、チートを駆使して浮いてるってのは分かるんだが……浮いてる必要性は?みたいな。
だが今回の一件で、どうやら何かしら意味があって彼女の横に浮いてるのでは?……という些細な疑問が浮上することになったわけで。
なので、どうせだからと話を聞いてみたところ、返ってきたのは次のような答えなのであった。
「……アイテムボックス?」
「そう。よくあるじゃん?内容量無限でその人にしか使えないって触れ込みのやつ。そのアイテムボックスの見た目をゲーム機にして、一種のアクセサリーとしても運用してるってわけ」
あとはほら、演出用にも使えるし?
……と笑うCHEATちゃんであったが、やってることだけ見ると普通にそこらの俺Tueee系のそれに近いことも間違いなく。
ああ、TASさんさえ居なければ、この世界の主役は彼女だったろうになぁ……と、俺達は深く深く頷くこととなったのでありました。
……え?そのあと?揶揄ってやがるなお前ら、ってCHEATちゃんに追いかけ回されましたが何か?