「むぅ、本当なら今日で終わってた予定なんだけど……」
「いや流石にあれはスパルタ過ぎるわ」
「えー?」
異世界生活も二日目ともなれば慣れたもので、さっさと枯れ枝を集め焚き火を再度火入れした俺達は、そのまま早めの夕食と洒落込んでいた。
メニューに関しては、初日がシチューだったので(?)今日は焼き肉である。
……え?さっき仕留めた相手を食卓に並べただけではないかって?はははは。
強いて言うのなら、あの筋肉量のわりには大味じゃないなぁ、くらいの感想というか。……まぁまぁ美味しいお肉なんじゃないですかね(適当)
いやまぁほら、一応ここらを暴力で支配していた実質的な悪役みたいなものであるとはいえ、こっちの事情でぶっ倒したというのも事実ではあるわけだし。
……だったら食べることで一種の供養とするのも、ある意味間違いではない……みたいな?
まぁそんな感じのアレである、アレ。
なお、ピー蔵にこの肉を食わせるのは(相手が元とはいえ親であることから)流石に色々とあれなのでは?……みたいな意見もでなくもなかったのだが……。
「ん、世は
「……なんでそこで俺に話を振るんだよ……」
というTASさんの鶴の一声により、まぁいいかと流されたのであった。
……いやそれ理由として真っ当かな??
あと無意味にROUTEさんを苛めるんじゃありません、微妙に涙目になってるでしょその人。……泣いてない?うっそだぁぐえー!!?
……まぁその辺りはともかく。
世にも珍しいティラノ焼き肉に舌鼓を打ちつつ、明日の予定とかについて話し合う俺達なのであった。
「できれば、明日の日が暮れるまでには解決しておきたい。流石に三日目フルカウントは禁断症状が出てしまう……」
「ああ、TASさんのスピードラン衝動が、もう抑えられない規模に……」
「冷静に考えると、一体何を言っているのかという感じの台詞ですわね……」
ご覧の通り、TASさんはそろそろ我慢が限界の様子。
手元の焼き肉をポイポイ他の人の皿に放る姿は、まさに熟練の焼き肉奉行のそれであるが……これ単に、手持ち無沙汰になったのと禁断症状を誤魔化すための遊びだな?……とか思ってしまう俺なのであった。
一応、今回の主目的は彼女以外に向けての合宿であるため、ある程度は我慢できているようだけど……それでもなお、三日を越える滞在は精神的に毒、ということになってしまうらしい。
……全体的に『何言ってるんだこいつ』感がしてしまうのはスルーして欲しい。
とはいえ、達成目標が彼女自身の行動に関わるものではない以上、基本的には今日の訓練をそのまま繰り返すしかないような気もするのだが……いや、よく考えたらTASさん的に、他人の動きを操作するのとか十八番中の十八番やんけ。
つまり、ここで俺がちゃんと言い含めておかないと、明日は彼女の一挙手一投足に一々注意を払わなければいけなくなる……?
彼女に遠隔操作されて、俺の全身が砕ける可能性が普通に存在する……???
「──TASさん!どうかお願いだから、早まったことはしないでね!!?」
「ん、んん?ええとうん、わかった」
突然ガバッと肩を掴まれ、必死の形相で俺に頼み込まれたTASさんはというと、しばらく目蓋を瞬かせていたが──よくわからない、という顔ながらも最終的には頷いてくれたのであった。
ふぅ、これで一つ問題が片付い……た?
……なんかこう、周囲からの視線が微妙に冷たいモノに変化しているような?
こう、『マジかこいつ?』みたいな感じというか。
「君、言いたいことはわかるけど、さっきの絵面はよくないと思うよ……」
「……あ、あー。ごめんTASさん」
「ん、気にしてない」
そんな風に困惑する俺に対し、みんなを代表してMODさんが声を掛けてくるけど……ああうん、確かに。
見た目は小学生そこらの少女に対し、情けなくもすがり付く大の大人……みたいにしか見えんねさっきの絵面……。
ここが無人島だから大した問題にはならないけど、これをもし都会の往来とかでやってしまったら、普通にしょっぴかれそうな行動であった。
……そりゃみんなも気を付けろ、って顔するわこれ。
なので、一応TASさん相手に謝罪を述べたわけなのだけれど……彼女が許す許さないは、俺の罪の重さにはあんまり関係ないなこれ?
……うん、緊急事態であっても心は冷静に、というのが今回の教訓だろう。
心に刻み、次からは同じことをやらないように気を付ける所存である。
「……なぁなぁ、なんでさっきの動きはダメなのさ?」
「それはですねCHEAT様、咄嗟であってもああいう行動をとってしまうということは、すなわちそれが別の場所・別の状況であったとしても、似たような動きを再度行ってしまう可能性がとても高い。……つまり、周囲の視線がストッパーになっていない、ということなのですよ」
「う、ううん?」
なお、その横ではDMさんによるCHEATちゃんへの指導も行われていたが……聞いている彼女は今一よく分からないのか、微妙に首を捻っていたのであった。
……そのなんだ、もう少し周りを見ましょう、みたいな感じでいいんじゃないかな……(死んだような目)。