歩兵達が闊歩する戦場に、突如現れた鋼の巨神。
それは彼女達の味方か、はたまた敵か。
理解できぬ以上、彼女達にできることは抗うことのみ。
──例えその抗いが無意味であっても、無様に散ることが許されるわけではないのだから。
次回、
『轟臨、データイラント』
今、君の命が空を翔ける──。
「ウワーッ!!」<ビターン
「TASさんが泡を吹いて倒れた!?」
「スキップ不可はダメだって言ったじゃないですかヤダー!!」
はい。……はいじゃないが?
まぁともかく、天空を飛翔する巨神……もとい、キャンピングカーが変形したという扱いであるロボットに乗る俺達であるが、今のところ戦闘は順調に進んでいた。
いやだって、ねぇ?
幾らトンでもエネルギーによる科学技術の進歩があるとはいえ、成層圏より上から飛んでくる攻撃を易々と迎撃する手段なんて、早々発達するわけがないというか。
つーか、並大抵の攻撃ならエネルギー解析の結果生まれたバリアで普通に防げるから、余計のこと目視範囲内──すなわち同じ歩兵からの攻撃に意識を裂くのが普通、というか。
まぁ、端的に言ってしまえば『世界観的なお約束』のせい、ということになるのだろうが。
「件のエネルギーを利用するエンジンを、大型化できてりゃまだマシだったんだろうが……少なくともここじゃあ、歩兵に持たせるようなサイズのモノ以外は安定性の面で無理があったみたいだな」
「エンジンが臨界して周辺地域ごと消し飛んだ……ともなれば、精々ミサイルに積むくらいしかできないよねぇ」
「そのミサイルにしても、エネルギーそのものに付随するレーダー撹乱の効果により歩兵の接近を察知できませんから、結果として設置してある場所がウィークポイントになるだけ……という話のようですからねぇ」
……ROUTEさん以下三人が語ったように、件のエネルギーはロボット物のお約束を悉く抑えたものとなっている。
エンジンが稼働すると周辺区域のレーダーを乱し、有視界戦闘を強要する。
危険なエネルギーであるため、迂闊に暴走させると甚大な被害をもたらす。
小型エンジンとして使うならまだしも、戦艦のような巨大兵装に転用しようとするとコストが嵩み・かつバリアを張ろうにも必要なエンジンの大きさがバカみたいに膨れ上がる。
……などなど、『何故現代兵器ではなく、人が纏うパワードスーツとしての運用が推奨されるのか?』という問題を説明するための設定達が、それゆえに様々な縛りをもたらしてしまっているのである。
具体的には、視界の範囲外──宇宙から音速を越えて飛んでくるような攻撃への対処法がない、みたいな。
いやまぁ、本来ならその心配もないはずではあるのだ。
宇宙に飛び出して攻撃をする、というのが件のパワードスーツには不可能であり、かつそれが可能な旧世代の武装だとバリアに阻まれる……となれば、注意の必要がないと判断されるのはある種当たり前のことになるわけだし。
……つまり、こっちの存在が向こうにとって寝耳に水である、というだけの話なのだ。
「まぁ、実際のところ安全を取ったらこうなった、というだけの話なのですけれど」
「地上に降りたままだと、有害な可視外光線に晒されたままということになりますからね……」
なお、一応はこんな蹂躙劇にしようと思っていたわけではなかった。
いや、TASさんに任せてたら確実にそうなってただろうけど、それだと他の面々が育たない……という話から彼女の手伝いは端から期待できないんだけども。
そう、
当初、彼女が手伝わないのならこの世界の攻略はほぼ不可能、みたいなことを俺が言ったと思うが……細い道ながらも攻略の可能生が無いわけでもなかった。
その解となるのが、こちらにとっての鬼門である『地上に蔓延する有害光線』への対処──防護手段がないのならそもそも届かない位置に退避しよう、である。
あのあと色々試してみてわかったのだが、どうにも現状のこちらの装備では地上の光線達を全て防護する、というのは不可能であった。
いや、正確に言えばMODさんをずっとバリア役にするとか、はたまたCHEATちゃんを有効活用するとかすればなんとかはなるのだが……その場合その二人のどちらか・ないし二人共を、その対策のために出しっぱなしにする必要があったのだ。
それは本末転倒だろう、ということで考えた結果生まれた対策が『宇宙まで逃げよう』という方法。
「向こうは全て歩兵。かつ有視界戦闘が基本となっているから、空気の有る無しを気にする必要がなかった」
「だからヘルメットもフルフェイスタイプではなく、いわゆるヘッドギアタイプになってる……と」
この世界の一般的な戦力である歩兵達は基本歩兵同士の戦闘しか想定しておらず、宇宙や深海と言った普通の人間が立ち寄れないような場所での戦闘については一切対処していない。
言い方を変えれば環境の変化を前提に置いていないということであり、それゆえ人体保護もあくまで地上において有害なもの──有害光線のそれと慣性・重力保護くらいしかやっていない……と。
なので、こうして向こうからこっちの存在が見えたとしても、反撃の一つもできないまま右往左往している……ということになるのであった。
いやはや、絵面の酷いのなんの。
バリアで大抵の攻撃は防げるから同じ歩兵からの攻撃以外に滅茶苦茶疎いから、面白いくらいにこっちの攻撃がバカスカ当たるの。
実際に撃ってるのは操縦桿を握ってるMODさんだけど、ロックオンして発射すれば全弾命中となれば、見ているだけのこっちも乾いた笑みが浮かんでくるというか。
「大したことない攻撃だろう、と思って当たったミサイルが『バリア硬化』効果のモノだと知った時の、彼女達の絶望顔ったらないね!(真顔)」
「慢心しちゃダメだね、何事も」
……あ、一応使ってる武器は非殺傷用のそれです。
流石にそこは一線引かないとね、仕方ないね。