はてさて、荒ぶるTASさんにどうにか落ち着いて貰ったあと、ドローンを各国家の首脳邸に飛ばした俺達。
……いや、マスドライバー保有国だけに飛ばしても良かったんだけどね?
ただ、人間ってやつは些細な違いに意味を付けたがるもの。
雑に言うと、ドローンが飛来した国だけ何らかの特別扱い──正・負どちらの意味でも──を受ける可能性があったため、そこら辺を考慮して現在国として成立している場所全てに飛ばすことになったのである。
普通ならそういうの良くないんだけどね、撃ち落とされて回収されて……みたいなの警戒しないといけないし。
でもまぁ、ここ暫くの交戦で向こうにそれをできるだけの技術がない、ということは判明していたため、遠慮なく飛ばしてみたというわけである。
実際、遠巻きにドローンを眺める歩兵達が映像に映ったりもしたが、その誰もが悔しげな顔をしてはいるものの、こちらに手出しをする素振りはなかったわけだし。
「……とはいえ、こうして視線を受け続けていますと……私達が悪の軍団である、みたいな気分になってきますわね……」
「もしくは異次元からの侵略者、的な?実態としては迷い込んだ世界の人類が滅茶苦茶戦争してたから、さっさと元の世界に戻りたいので話を聞いて貰うために仲裁をした……って感じの方が近いんだろうけど」
「仲裁カッコ物理、ですねぇ」
そんな映像を見ながら、AUTOさんがはぁと大きくため息を吐く。
AUTOさん的には、彼女達に親の仇の如く睨まれる形となっている現状がそれなりに堪えている様子。
まぁ、こっちの我が儘を押し通すために無茶をしている……という点についてもしっかり把握しているため、ため息を吐くだけで済んでいるようだが。
なおMODさんとダミ子さんはわりと楽しんでいた。笑顔で蹂躙してた側だからね、仕方ないね。
特にMODさんは「ロックオンして発射を繰り返すだけさフゥハハーっ!!」などと、よく分からないテンションではっちゃけてたし。
「私はいつもならこういう時単なるサポートだからねぇ。機械越しとはいえ、先陣を切って進めるのは案外楽しいのさ」
「いつもの方向性ならステルスゲーとかの方ですもんねぇ、MODさんは」
その横でうんうんと頷くダミ子さんも、今回は隠れた(※隠れきれてない)功労者である。
基本的にこの世界の戦力は歩兵ばかりだが、その歩兵の中にも頭のおかしい……もとい、色々と無茶な装備を振り回すタイプも存在するわけで。
その中でも特徴的だったのは、『それ最早ロボットでは?』みたいな感じに装甲でガチガチに固めた、
その見た目からわかるように、装甲で自身の防御を固めているためバリアなしでも普通に防御が高く、その重量から来る鈍重さを大型のブースターで無理矢理振り回す……という、ロマン溢れるビルドをしたその歩兵は攻撃方法までロマンたっぷり。
何せ全身の各所からミサイルの雨霰を飛ばしてきたと思ったら、背中のブースターで急加速し左右のガトリングをばら蒔いてきたり……。
こちらとの位置関係的に見ることは出来なかったが、あの機動からすると恐らく近接用の武装も積んでるはずである。
それが
じゃなきゃこっちのミサイルの誘導を切って他のミサイルと衝突させる、なんて変態的回避なんてできないだろうし。……それを見たTASさんが目を輝かせてしまって大変だったし。
で、そんなエース級を落とすのに役立ったのが、ダミ子さんが担当の武装の一つ・『
このビーム、普段ダミ子さんが自分の中に抑制しているネガティブな感情に指向性を持たせたモノであり、その効果は『思考様式を鬱方面にねじ曲げる』という凶悪なもの。
精神という物理的でないモノを攻勢に利用しているため、既存の防御手段では防げないという性質を持つそれを広域掃射することにより、大半の歩兵を一網打尽にすることに成功したのである。
エース級の相手が突然やる気を失ったように墜落していく様は、なんというか一種の哀愁すら漂っていたのであった……。
……ダミ子さん由来のビームによる影響だし、多分ブラックな自分の業務形態でも省みてしまったんだろうね、南無南無。
まぁともあれ、こっちの用意した武装が悉く刺さった諸外国はこうして敗北を来たし、それをもたらした相手との会談に緊張感を持って望むだろう、ということは間違いないだろう。
……こっちが望むことはマスドライバーの利用権(しかも一回限り)なので、多分拍子抜けするだろうが……ついでにこのドローンは君らの監視用(※監視していない)に置いておく、と告げれば直ぐ様青くなるだろうなぁ、と素人ながらに想像する俺なのであった。
うーん、我ながら傍迷惑。でもそうしないと後々面倒臭そうだから仕方ないね!……ってTASさんが言ってた!
「私は言ってないけど、似たようなことは言おうとしてたからオッケーです」
「いいんですね……」