うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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詰みです。出直して参りたい……

「流石は過去の私、とても強敵」

「言うとる場合かー!!」

 

 

 はてさて、都合何度目かわからないループとなるわけだが、一先ず作戦会議をしたいということでキャンピングカーの中に逆戻りした俺達である。

 このまま外に居ては先ほどと同じ事をまた繰り返すだけ、ということからのある種の逃避であったのだが……これが意外と効果的であった。

 何故かと言えば、扉を閉めて外と中とを完全に閉ざすことにより、限度はあるものの車内を時間停止状態にできるため、である。

 いやまぁ、正確なことを言うと車内の時間が外の時間の流れと切り離されるため、結果的に外の時間に対して中の時間が遅くなる……みたいなことらしいのだが。

 

 ともあれ、わずか一分しかない制限時間を伸ばす……わけではないものの、その短い時間の中に作戦タイムを含めなくて良くなる、という部分では有用なことに間違いあるまい。

 ……まぁ、完全に密閉してないと効果がないため、外にある過去の俺達の痕跡を回収できない……という、わりとどうしようもない欠点もあるのだが。

 仮にその欠点がなくても、引きこもってる内に過去のTASさんに気付かれる……っていう、わりとどうしようもない強制イベントに引っ掛かるんだけどね!クソゲーかな?

 

 

「というか、なんで気付いたあと放置してくれないのさ過去の君……とりあえず君に気付かれなければなんとかなるのに……」

「それは流石に甘く見積り過ぎ。私が気付いた時点で他の人達も違和感に気付く。特にお兄さんはほぼ確実」

「まぁ、このお方はTASさんをよく見ていらっしゃいますものね……」

「…………」

 

 

 あまりの無理ゲーっぷりに、どうにかなんないのかと愚痴ってみたものの……遠回しに俺が悪い、みたいなことを言われてしまえば閉口するしかない。

 

 ……うん、言われてみればほんの少しの変化を見逃さないように、って感じに見てるのがほぼ当たり前なのだから、そりゃ過去の俺がTASさんの様子に気付かないわけがないわな。

 そこから芋づる式に全部バレるのも仕方のない話だわ……ってバカ!俺のバカ!!難易度上げてんじゃねぇよ過去の俺ぇ!!

 

 TASさん一人ならともかく、そこから全員に波及してしまうのなら避けようはない。

 ……つまり、無意味にステルス方面の解を探すのではなく、さっさとこの場から離れるというTASさんが最初に告げていた方法が一番良い、ということになるのだけど……。

 

 

「中途半端な速度だと普通に見付かるし、かといって姿を見られないほどの速度となると音とかで気付かれる……ってわけか」

 

 

 ROUTEさんの言う通り、そっちもそっちで問題山積みである。

 まず、動き出しが遅かったり速度を抑えると普通に見付かる。

 これに関しては過去のTASさんというより他の面々に見付かる、という感じであるため失敗としては一番ダメなやつである。

 そこに見付かるんなら端からそっち方面の芽はないぞ、みたいな?

 

 だからといって早く動き過ぎると、これはこれで見付かってしまう。

 こっちに関してはTASさんがもろに壁になる形で、もし仮に彼女の視線を完全に撒こうとする、と音を越えるような速度が必須となってくる。

 ……うん、最高速度(トップスピード)ならともかく、助走距離も加速時間も共に全く足りてない状況でやれるモノではない、みたいな?

 っていうかそれができるんならここで悩んでないよって話だし。……そもそも周辺区域ごと吹っ飛ばす形になるわっ!

 

 そういうわけで、実は結構詰みセーブっぽい空気が漂っているのだった。

 もっと過去のタイミングに──それこそ向こうでマスドライバーを借りたくらいの時間に戻れたのなら、出現場所をずらせないかと試行錯誤できたのに……。

 

 

「こっちに移動したタイミングより前には戻れない。一応、過去回帰の限度に到達したから記憶の引き継ぎが楽になったのは利点だけど」

「もし仮に記憶引き継ぎが無くなったとしても、リスポーンタイミングがもっと後ろにできるんならそっちの方がいい気もするけどなー」

 

 

 まぁ、その願いはTASさんの無情な発言により斬って捨てられるわけなのだが。

 ……うん、実態としては彼女のタイムリープに巻き込まれている俺達、という方が近いのだからその辺りの誓約は無視できんわな……。

 一応、際限なく過去に戻る場合は記憶の引き継ぎ面に支障を来すらしいので、そういう意味では『何度戻っても引き継ぎ部分に問題はない』という今の状況の方がマシ、という感じもしなくはないわけだが。

 ……でも度を越えて戻りすぎると、記憶の前後とかの方面でエラーが発生しやすかったりもするらしいので、そういうものが発生する前に片付けてしまいたい案件……とも言えなくもなく。

 

 はて、どうしたものかと唸る俺達。

 ……と、そうして唸る俺達の中で一人、ダミ子さんが何かに気付いたように「あ」と声を上げ……。

 

 

「……ええとぉ、もしかしたらなんとかなるかも知れないですぅ」

「なんだと!?」

「ひぃっ?!みんなの顔が近いですぅ!?」

 

 

 続けざまに放たれた言葉に、俺達は思わず彼女へと詰め寄っていたのだった。

 

 

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