うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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夢のトンネルを抜けるとそこは

「……まぁうん、わからんモノを気にしても仕方ない。とりあえず今はこの状況から脱することが最優先ってことでオーケー?」

「オッケー」

 

 

 ともあれ、俺の感じている違和感に関しては、一先ず脇に置く。

 どちらにせよ、今の状況を打破しないことには先に進めず、引いてはその先にいるかもしれない相手の対処なんて夢のまた夢……ということは、難しく考えずともすぐに理解できる話だったからだ。

 

 そういうわけで、ダミ子さんの下着経由で地球から逃げるという案を採用し、再度こっちに戻ってきてから今後について考えよう、という話になったのであった。

 ……字面だけ見てるとわりと意味不明だな、この案。

 

 

「そもそもここから下着の改造……とかいう、端から聞いてると『何それ?』な事態も待ち受けているからなぁ……」

「いやまぁ、改造って言っても一時的に車が通れる大きさにする……ってだけだよ?」

「なに、ダミ子さんが更にビッグに?」

「……流石に怒られると思うんだけどそれ」

 

 

 いやほら、あまりにもあんまりな状況にちょっと茶化さないとダメかなー、なんて気持ちが沸々とね?

 まぁ大分アレなことを言っているのも本当なので、甘んじてダミ子さんからのボディーブローを受ける俺なのですが。

 ……へなちょこパンチかと思えば割合痛いでやんの。

 

 

「前々から思ってましたけどぉ!!もう少し私に対しての扱いをちゃんとですねぇ!!」

「えー、ちゃんとしてたらなんか嫌、って言ってきたのそっちじゃないですかー」

「そこは貴方の『ちゃんと』が全然『ちゃんと』じゃないからですよぉ!!!」

「ええ……」

 

 

 そうして脇腹を殴ってくるダミ子さんだが、どうやら今までの恨み節がこもった一撃であるようで。そりゃ痛いわ。

 

 いやでも、『ちゃんとした扱い』云々は以前試しにやったら『なんなんですかそれぇ!?』ってめっちゃ嫌がられたので、正直そこに関してはあれこれ言われても困るというか?

 ……などと返せば、俺の態度が悪かった(※意訳)という意味合いの言葉が返ってくる始末。

 うーん、この『ああ言えばこう言う』感……。

 

 まぁともあれ、そんな感じにじゃれあっている内にCHEATちゃんの方の準備が整ったようで、件の下着は姿を変えてあからさまに何処かに繋がってそうなゲートに変化していたのだった。

 

 

「……ところでふと思ったのですが」

「なんだいAUTOさん」

「ワープゲート云々の話でしたら、そもそもTASさん自身が作成できませんでしたか……?」

「あれだと流石にダミ子星に届かないし、そもそも私が動くと過去のお兄さんが気付く」

…………(눈_눈)」<ジッ

「……いや、これに関しては悪いの過去の俺だから……」

 

 

 出発前にちょっと一悶着あったけど、まぁすぐに片付くような話だったから問題ないな!

 

 

 

눈_눈

 

 

 

 はてさて、一時的避難先として普通の人類じゃあまず観測できない位置──二百億光年先の宇宙に生まれた新惑星・ダミ子星へと移動した俺達。

 いわゆるワープ航法的なあれだったわけだが、その割には快適なドライブだったように思われる。

 

 なんというか、普通の道を運転してる気分だった……というか?

 直前に亜光速キャンピングカーとかやってたことを思えば、遥かに安全で平和なドライブだったのは間違いあるまい。

 

 

「まぁ、到達先がこれだとその分のプラスは全部吹っ飛んでる感じだけどね!!」

「なぁにこれぇ……」

 

 

 まぁ、その快適な亜空間ドライブの先に待ち受けていたものがこれでは、正直その辺りのポジティブな感覚は全部零に帰したようなものなのだが。

 ……あんまり引っ張ってもあれなので、俺達がこの星にたどり着いた結果目にしたものがなんなのか、ありのままにお伝えしようと思う。

 

 それは、群衆(みんしゅう)であった。

 それは、怠惰(だらけ)であった。

 それは、諦感(あきらめ)であった。

 それは、怪異(ようかい)であった。

 

 一言でいうのなら──それは、()()()()()()()()達であった。

 それも単なるダミ子さんではなく、それぞれに見た目やらが別々となっている彼女達とでもいうべきものなのであった。

 ……いや、なにこれ?

 

 

「おや、ここいらでは見かけない人ですな。もしや外から来たお方ですかな?」

「ち、長老ダミ子さん……?!」

 

 

 周辺に見える人影全部ダミ子さん、という異様な光景にキャンピングカーから降りた俺達が唖然としていると、こちらに声を掛けてくる者が一人。

 例に漏れずその人物もダミ子さんだったわけなのだが、付け髭を装着していたり腰を曲げていたり、その外見から何処となく老人であることを察せられる人物であることも間違いなかった。

 ……いや、顔とか普通にダミ子さんなんで、単なる彼女の仮装にしか見えないんだけどね?

 

 なお、オリジナル?であるダミ子さんはキャンピングカー内に引きこもり中である。「私は何も見てない何も知らない……」と布団を被ってぶつぶつ呟いている姿は、ある種の同情心を煽ることこの上ないだろう……。

 

 まぁともかく、彼女にとって精神的ダメージ過大過ぎるこの環境、できればさっさと戻りたいところなのだが……。

 次に長老ダミ子が発した言葉により、その目論みは早くも頓挫することになるのであった。

 

 

「ここはダミ子星の辺境、()()()()()は王都までどうぞですじゃ」

「……はい?」

 

 

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