さてはて、牧歌的な田舎街にやってきた俺達一行は、そこで出会った長老風のダミ子さんから発せられた言葉に、思わず困惑することとなっていたのだった。
「……ええと、それはどういう……?」
「ああ、この星でのルールをご存じない、ということですかな?では僭越ながらこの私めが説明をさせて頂きたいのですが、構いませんかな?」
「あ、はいどうぞ」
うーん、見た目はほとんどダミ子さんなのに、口調と仕草が完全に老人のそれでなんか頭がバグってくるぞ……?
いや、本来の彼女の性別を思えば、そっちの方が元のそれに近いってのはわからんでも……え?ダミ子さんの元が本当に男性だったかはわからん?なんで今そんなこと言い出すのTASさん???
……と、ともかく。
件の長老・ダミ子さんの言うところによれば、次のようになるのであった。
曰く、ここは辺境の外れ星・ダミ子星。
「言い換えるとハリボテ、ということですな。我々もこうして動いておりますが、その実決められたことを話しているだけに過ぎぬ……と言いますか」
「本当に?ねぇ本当に??」
「ほっほっほっ。『おや、ここいらでは見かけない人ですな。もしや外から来たお方ですかな?』」
「露骨にNPCぶってきたこの人!?」
いや他のはそうかもしれなくても、少なくとも長老さんは絶対違うだろ!?……と困惑しきりの俺達である。
いや、こんな表情豊かなNPCが居てたまるかってんですよ、他の背景でモブっぽくなってる方にはあんまり否定意見はないんですけどね!
……ともかく、彼(?)の言うことが正しいのであれば、ここいら一帯のものは全て作り物、草木や人々に至るまで本来存在しないもの、ということになるらしい。
無論、その理由はこの星が
冥界に溜まりに溜まったエネルギーをどうにか発散させようとした結果、こうして地球からは遠く離れた場所で星を生み出す動力源とされたから、というのが正解。
言ってしまえばデータならぬ
星の誕生をデータだけで再現したようなもの、みたいな?
「迂闊に新しい命を作り出すのは宜しくない。あくまでダミーデータに仮初めの姿を与えた形」
「まぁ、その時に消費したエネルギーが莫大過ぎたせいで、私共が自然に消えるのは何年先のことやら……みたいなことになっておりますがのぅ」
「お、おぅ……」
うーん、スケールが大きすぎてわけわかんねぇや()
仮想データに本気出しすぎてリアリティ全開、みたいなことなんだろう多分。……これもこれで何言ってるのかわかんねぇな?
まぁともかく、本来ならエネルギーの消費先としてだけ生み出されたこの星は、そう時間を置かずにデータの海に霧散していくはずだった、というのは間違いないらしい。
なので、そこに有るもの達も基本的に中身を与えられず──結果としてハリボテになっているのだとか。
「なるほど、だからネガティブな時のダミ子さんみたいな言動を繰り返していらっしゃいますのね……」<ウッ!?
「『あんころ餅になりたい……』とか言いながら集団で転がってる時は何事かと思ったけど……凹んでる時の姉ちゃんってあんな感じだよね」<グフッ!!
「止めたげて、二人とも止めたげて。キャンピングカーで寝込んでるダミ子さんが言葉のナイフで重症です」
いやまぁ、外に出てこの惨状を一目見た時点でほぼ死んでたけども。
でもだからって追い討ちをかけていい理由にはなってないと言うか……。
そんなわけで、無意識にダミ子さんを仕留めにかかってた
「まぁそういうわけで、ここら一帯のものは全て作り物ということになるのですが……それ故困った性質を持っておりましてのぅ」
「その性質が、王都とやらに行かないといけない理由に繋がる、と?」
「おお、そうですじゃそうですじゃ。給仕殿は察しが宜しいようで」
恐縮です、と頭を下げるDMさんに『もうすっかりメイドだなこの人……』などという感想を抱きつつ、長老の言葉の意味を考える。
作り物しかないことと、俺達がこの星から離れられないことに関係性があるとは到底思えないのだが……その疑問は、次に彼が発した言葉によりすぐ氷解したのだった。
「この星の中で、王都だけが本物。──言い換えますと、そこだけが正常な宇宙と繋がっておるのですよ」
「は?」
「つまり、貴方達が今いるこの場所は、普通の世界ではなく
「グワーッ!!?」
「ダミ子さんが(ストレスで)血を吐いて倒れた!?」
「許容限界を越えたんだ!!急いでストレッチャーを!!」
唐突に医療ドラマみたいな流れに突入した件について。
俺は真っ青な顔で何処かへと連れていかれるダミ子さんを見送りながら、もう何もかも見なかったことにしてふて寝しちゃダメかな、とTASさんに問い掛けたのだった。
……なお、返答はキラキラお目目(※当社比)だった。
お前珍しかったらなんでもいいのかよぅ!!?