「ダミ子時空……ダミ子時空……???」
「全てがダミ子の構成要素で形作られた宇宙。その中ではダミ子の言葉や動きがとても強い力を持つ」
「真面目な顔で解説するの止めない?脳がバグるからさ???」
何言ってんのこいつ、って眼差しを何言ってるのこの人、って眼差しで返すの止めない???
……ってなわけで、引き続き初出の新単語に振り回されている俺である。
いやまぁ、俺以外の比較的真面目な面々も、まとめて首捻ってるんだけどね?
「そっかーダミ子時空かーなるほどなるほど道理で能力が上手く働かないわけだわはっはっはっ」
「ROUTEさーん!?お願いだから正気に戻ってー!!?」
「イヤだー!!こんなの知らないわからない聞いたこともない!!俺を元の場所に返してくれー!!!」
「可哀想に……
「DAM値って何!?」
その中でも一番重症なのは、ご覧の通りROUTEさんであった。
どこぞの名状し難き邪神が迂闊に見るとヤバいように、この世界も迂闊に見るとヤバかったようだ。視覚系能力者ゆえの悲しみ、というやつである。
……え?じゃあTASさんはどうなのかって?
「向こうに付き合う気があるのなら、なんとでもなる」<フンス
「……もし付き合う気が無かったら?」
「その時も私の勝ち。矮小な人間如きに本気出してる時点で試合に勝っても勝負には負け」<フンス
「滅茶苦茶煽るやん……」
まぁ、ご覧の通りである。
サイコロも振らせずに問答無用……であるならばまだしも、わざわざ判定をさせてくれる時点で負ける理由がないとのこと。
もし仮にそこら辺を無視し始めても、そもそも勝てる理由しかない存在が下級存在に痛い目見せられて本気出すとか、ダサい以外の何者でもないので(実質)私の勝ち──と、なんというか彼女にしては珍しく煽りに煽った台詞を吐き出していたのだった。
……なんというかこう、地味に実感のこもった台詞だというか?
「いい?お兄さん。上位存在の慢心はそもそも慈悲のようなもの。
「お、おぅ……」
いや、なんか怖いんですがそれは。
深淵を思わせるような眼差しをこちらに向けながら、まるで呪詛でも吐くように言葉を紡ぐTASさんの様子に、思わず後退りする俺である。
まぁ、すぐにいつのも調子に戻ったTASさんは「弱者だから成立する理論だから、そこまで汎用性はない」と締めくくったのだが。
……いや、最早何も聞くまい。
仔細を知ったら俺も呪われそうなので、ここでこの話は打ちきりである。
気を取り直してROUTEさん以外の様子を確認すると、それぞれの反応は大別して二つ。
一つはROUTEさんやダミ子さんを筆頭とした発狂組、もう一つはTASさんを筆頭としたいつも通り……もしくは無反応であった。
前者はまぁ、まとめて
「……何かをする必要が?こちら側は至って普通だと思いますが」
「この状況でほぼ無反応なのは最早心が死んでると言っても過言じゃないよ???」
「それは……いえ、それもそうですわね」
確かに、表面上問題がないのならいいじゃないか、というAUTOさんの主張もわからないでもない。
……わからないでもないが、この異様な状況に何も感じない、というのはそれはそれで良くない兆候である。
痛みは危機を回避するためのシグナルである……という話があるが、異常な状況を心の安全のためにスルーする、みたいなのもそれはそれで良くないだろう。
何より『いつものこと』としてしまうのが宜しくない。
それが本当に『いつものこと』なのかどうかというのは、極論遥か未来まで見通すことができるTASさんくらいのものなのだから。
それにしたって『一年先以降は微妙』という自己申告がある以上、過信は禁物だ。
そういうわけで、トラブルを心を殺して回避する……みたいな不健全なやり方をしている人はみんな教育的指導である。
……と言っても、対象者はそんなに多くないんだけどもね?
実際、今の言葉で目から鱗でも落ちたような表情をしているAUTOさんを除けば、あとはDMさんとMODさんの二人しかいないわけだし。
CHEATちゃん?やっこさん荼毘に伏したよ()
「死んでねー!!」
「ぐえーっ!?」
なお、相変わらず耳聡いCHEATちゃんにもこの台詞は聞かれており、いつもながらのドロップキックが飛んできて安心した俺なのであったとさ。
……うん、子供は元気が一番だよネ☆()