うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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Q.チュートリアルは必要ですか?

「お前さん、その首……」

「いやでも……」

「う、うむ……」

 

 

 はい、視界が九十度曲がったままの俺ですが皆さんお元気ですか?俺は元気です()

 ……冗談はともかく、俺達は現在長老さんを案内として引き連れ、目下王都とやらへと向かっている最中である。

 

 何もかもがダミーであるこの新惑星・ダミ子星は、どうやらその周囲を取り巻く環境すらダミーとなる、という厄介な性質を持ち合わせているらしく。

 その結果、星の出入りすら容易には行えない異常な環境と成り果ててしまった、とのこと。……具体的には、件の王都以外の場所で宇宙に飛び出すと、異様な光景を目にする羽目になるとかなんとか。

 

 

「いや、凄かったよマジで。そこらに光る星々全部、よーく確認すると発光してるダミ子の顔だったんだもん」

「なんなんですかその地獄みたいな状況……」

 

 

 ドローンを宇宙用に改造し、遥か高くまで飛ばして周囲の確認を行ったCHEATちゃんからの反応は、ご覧の通り。

 どうやら単純に宇宙へ飛び出すと、件の『ダミ子時空』とやらの洗礼を浴びることになるらしい。具体的には天の星は全てダミ子(の顔)。

 ……いや、本当に地獄みたいな話だな???

 まぁ、これはこの星が生まれた当時の状況と、その根幹となるダミ子さんの性質を思えば容易に想像できる結果だった、らしいのだけども。

 

 

「ダミ子がダミーデータと密接な関係なのは知っての通り。で、参照先が無茶苦茶な時、安定のためダミ子のデータが参照される……というのも、ダミーデータの役割からしてみれば想像できる話」

「ああ……変な数値を参照した結果、周囲が取り返しの付かないほどにおかしくなってしまっては堪りませんものね……」

 

 

 ダミ子さんはその名前の通り、ダミーデータと密接な関わりを持つ存在。言い換えると切っても切り離せない存在ということであり、それゆえ対象が世界規模だとわりと雑に参照先にされる可能性が高いとかなんとか。

 例えば妖怪だが、これは元々この世界には実在しないものなので、そのデータを参照しようとすると()()()()()()()()()()()()()()()()()()()とのこと。

 ……ダミ子さんが変な変身能力を手に入れたのは自分の変身先に自分を参照する、みたいな変な処理が挟まったからということになるらしい。

 あまねく妖怪は(グラが用意されてないので)ダミ子さんの顔をしている、というか?

 

 まぁこれ、裏を返すと今後この世界に無いものを無理矢理参照すると、例外なく全部ダミ子さんの姿に手を加えたものになる、ということになってしまうのだが。

 ……元々の見た目の参照先、ハレンチサンタさんからしてみれば噴飯ものの話ということになるのではないだろうか?

 

 

「バレたら絶対キレられるよなぁ……」

「まぁ、ダミ子がダミーに居座り続ける限りはこっちに来ることはないから……」

「そのせいでキレられる理由が残り続けてるんだよなぁ……」

 

 

 ダミ子さんがダミーである限りサンタさんは来ないが、ダミ子さんがダミーである限りサンタさん(の顔)の風評被害は広がり続ける……みたいな?

 願わくば、こっちの惨状が向こうに届くことのないように……とかなんとか祈りつつ、いい加減話題の軌道修正を計る俺達である。

 

 王都の空だけ、本来の宇宙空間へと繋がっている──。

 それが確かであるのならば、そこからでなければ元の場所に戻るのが不可能、という理屈はわからないでもない。

 言ってしまえば地下鉄とかで出る場所を間違える、みたいな感じだろう。

 その場合は遠回りとかをすれば元の目的地にたどり着くことはできるのだろうが──それは恐らく、相手がダミ子時空でも変わることはない。

 

 

「え、そうなん?」

「王都とそれ以外、なんて区分ならそりゃまぁ、そこまで概念的には離れていないだろうなーというか」

「じゃあ、わざわざ王都まで行かなくてもいいんじゃ?」

「最後まで話を聞けい」

 

 

 結論を先走るCHEATちゃんに軽くチョップを入れつつ、一つ咳払いを入れる俺。

 確かに、王都の空とそれ以外の空。……区切りは大分雑に見え、どうにかすることはそう難しくないようにも思える。

 この話の問題は、あくまでも()()()()()()()()()()()という点にこそある。

 

 

「概念的には、って言っただろう?……多分、物理的に考えると宇宙の端から端より遠いかも知れないんだよこれ」

「は?」

 

 

 例え一度程度のずれであれ、その二線を伸長すれば間はどんどん開いていく……みたいな話にも通じるか。

 一つの星の上、としてみるのならば王都とその隣、みたいなごくごく近い距離に見えるが、それを宇宙規模にまで拡大するとエグいほどに離れていることになる、という考え方でもいいかもしれない。

 

 ……まぁ要するに、正規ルート以外を無理矢理通ろうとするとかえって時間が掛かるタイプ、ということだ。

 なので、結果的には素直に王都に向かった方がいい、ということになるのであった。

 

 

「だからTASさん、何とかして抜け道を通ろうと次元の狭間を探すのは止めて、普通に怖いから」

「は?……ってひぃ!?」

「むぅ、お兄さんのいけず」

 

 

 ……なぉ、時間が掛かることを病的に嫌うTASさんはというと、それを嫌って空間にめり込み、結果として半分しか見えない状態になっていて非常に恐ろしかった、ということを付け加えておく。

 いや、普通にホラーだよそれは。(真顔)

 

 

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