はてさて、半分だけ外に出ていたTASさんの全身を引っ張りだし、改めて王都へ向かって邁進する俺達である。
……え?なんでお前ら徒歩なのかって?キャンピングカー君が拗ねたから……ですかねぇ……。
「まさか長老さんが乗ると動かなくなるとは……」
「ほっほっ。これもいわゆる機械オンチ、ということになるんですかのぅ?」
「なるかなぁ……?これって機械オンチになるかなぁ……?」
なんとも驚くことに、俺達の乗ってきたキャンピングカーは長老さんを乗せるとうんともすんとも言わなくなったのである。
いや、彼(?)が降りたら動いたんだけどね?でもそれだと意味ないからね?
仕方ないので件のキャンピングカー君はCHEATちゃんに頼んで収納空間にポイ、である。
……最近CHEATちゃんの便利っぷりが留まることを知らないな?
「そうだぞー!うやまえー!」
「敬ってほしいのならそれ相応の態度を取るべきでは?」
「え?……えっと、どんな?」
「AUTOさんみたいな感じ」
「!?」
……とまぁ、道中真っ赤になったAUTOさんに追っかけ回されるイベントとかがあったりもしたが、概ね平和に事は進み……。
「さて、ここがこの星の王都・ダミ子タウンですじゃ」
「わかっちゃいたけど……」
「すごいネーミングですわね……」
「……シテ……コロシテ……イッソワタシヲコロシテ……」
おおよそ半日、歩き続けた俺達はこの星の王都となる場所・通称ダミ子タウンへと到着することに成功したのだった。
……歩きで半日ってことは車なら一時間そこらで終わってたんじゃねーかなー、というツッコミは虚しくなるので止めよう(戒め)
まぁともかく、目的地に着いたのだからさっさとキャンピングカーを取り出して向こうに戻ろう、という感じだったのだけれどここで更なるトラブル発生。
なんと、ここからじゃないと本来の宇宙に飛び立てないにも関わらず、この場所で宇宙に飛び出すことは禁止されているのだという。
「なんで……どうして……」
「この国の王様がそれを禁じているからですな。なんでも『迂闊にこの星のモノを外に持ち出してはならない』とかなんとか」
「……思った以上にまともな理由だったですぅ」
もはや涙の流しすぎでナメクジみたいになっているダミ子さんが、嘆きと共に長老さんに問い掛けるが……返ってきた言葉に思わず正気に戻っていた。
まぁうん、ダミ子時空とかいう意味不明なトンチキ空間の代物を外に出すわけにはいかない、というのは俺達にもわかる。とてもわかる。
「それだけじゃない」
「TASさん?」
「この世界のものの大半は、ダミーデータに仮の外装を被せたもの。──つまり、外に出すと他のデータを圧迫する」
そしてその言葉に補足を投げるのはTASさん。
道中も言っていたように、この星はダミーデータを利用して冥界パワーを封じ込めたもの。
見方を変えると、ダミーデータが中途半端に励起した状態、ということになる。
それらの励起状態を納めて改めてしまうのならともかく、知ったことかとばかりに飛び出せばその反動で周囲の物体も引き連れてしまうだろう……というのがTASさんの発言。
……言い方を変えると、このダミ子星の地表を何もない真っ白な世界にしない限り、俺達はここから出られないということになるらしい……という発言なのであった。
「なんだか……大袈裟なことになってきたな……」
「大袈裟というか、見方を変えればこれ魔王とかそういう悪役の所業ってやつじゃないかな?」
思わず遠い目をする俺に対し、隣のMODさんは周囲を見渡しながら声をあげる。
……脱出時に何が付いてくるかわからない以上、万全を期すなら周囲の全てを単なるデータに戻さなければならないだろう。
地表の時とは違い、ここら一帯の物質を昇華してエネルギーを発散する……みたいな強行手段も取れなくはないだろうが、そうなると他のモブはともかく長老さんとか王様とかを実質ぶっ倒すことになりかねないというか。
「いや、別にわしらのことは気にせずとも……」
「絵面が悪いんで気にします。いいですか、地上では色々しがらみがあるので遥か遠くの星にエネルギーを逃がして別のものに利用する……みたいな穏便な手段を取ってくれたTASさんですが、この状況下で好き勝手を認めるとまず間違いなく『普段はできないことやるー』ってやり始めるんですよ!!」
「TASけないのもTASの手段の一つ。ピースピース」
「ええ……」
悪人には容赦しないTASさんだが、それは善人を絶対に傷付けないという意味合いではない。
……ってわけで、その場合は見ているこっちが引くような展開が巻き起こる可能性極高で、そんなん見てられないに決まっているので却下、なのである。
まぁ、ここで犠牲にするのが王様──現状面識のない相手単体なら、そこまで反対はしなかったかもしれないけれど。
「……そっちの方が薄情すぎやしませぬかのぅ?」
「これが単純に生きてる人ならそうですけど、一応単なるAIみたいなものなんでしょう?最悪CHEATちゃんに記憶データの方は保護して貰えばどうにかなるんで、身体の方は諦めて貰うが吉かと」
「ええ……」
なお、長老さんに関してはDMさんにでも抱えて貰って避難するのが楽だろう、と語れば長老さんはとても微妙な顔をしていたのだった。
……いや、俺達別に正義の味方ってわけでもないんで……AUTOさんはちょっと微妙な顔をしていたけどさ。