うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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扉の横にセーブポイントが置いてあったら色々察する

 じゃあ甘いものいっぱいお願いしますぅ、とダミ子さんが空元気を見せたことをきっかけに、再び王都を歩く俺達である。

 ……周囲が見ていて頭の痛くなる場所であることは変わらないが、今何かを施そうとすると痛い目を見るとのTASさんからの忠告ゆえ、無言で目的地へと邁進する。

 

 そうして脇目も振らずに進んだ結果、俺達は当初の予定の半分くらいの時間で目的地に到着していたのだった。

 

 

「なるほど、ここが王の間……」

「ボスが出そう。出たら倒していい?」

「その場合出てくるボスって確実に王様でしょうが、話がややこしくなるから絶対にダメ」

「えー」

 

 

 なおこの扉、その出入り口の隣にこれ見よがしに謎のオブジェが置いてあった。

 具体的に言うと、手を翳すと何やら一部が展開して空中に映像を写し出す、というもの。

 まぁ、写し出された映像は何かのリスト?のようなものであり、そこに書かれている文字も読めないのでスルーすることにしたのだが。したんだからTASさんは名残惜しそうにしないの!

 

 まったく、油断も隙もあったもんじゃない。

 書いてある文字は読めなかったけど、見た目からしてあれがそういう類いの(セーブポイント的な)ものであることはわかるっつーの。

 そんなもんTASさんに見せたら、何かしら出来ないかと夢中になるのもわかってたっつーの。何ならいつの間にかセーブ二つ作って準備しようとしてたっつーの。

 

 ……仮に本当にあれがセーブポイントだとして、セーブしたあとどうやってロードするんだとか、サブフレームリセットで何をしようとしているのかとかツッコミ処が多すぎたため、無理矢理無視させて扉の前に立ち直した……というわけなのでありましたとさ。

 

 

「むぅ……今この時にしか試せないこともあるのに……」

「貴方そもそも実際に試さなくても能力内で追記(リトライ)できるでしょうが」

「むー」

「そうやって唸ってもダメなものはダメです」

「むー!」

「いててて!?だからって実力行使に訴えてもダメなものはダメ!!」

「ケチー!お兄さんのケチんぼー!!」

いちゃいちゃするのは全部終わってからにしませんかぁ???

「「あ、はい」」

 

 

 わぁ怖い。

 おかしいなー、俺は単にTASさんの横暴をいつものように止めてただけなのに、なんで真顔で怒られてるんだろうなー?

 ……あっはい、真面目にやります。やりますのでその目で睨むの止めて……。

 

 とまぁ、ストレス限界から鬼みたくなってるダミ子さんに戦々恐々としつつ、改めて一つ深呼吸。

 ……うん、騒いで見なかったことにしたかったけど、こうして意識してしまうとこう、なんというかこれからの展開がなんとなく予想できて辛い、辛くない?

 

 いやだってさぁ、豪華絢爛な大扉の横にこれ見よがしに置かれてるセーブポイント(らしきもの)って、これどう考えてもこの後ボス戦が始まる流れじゃん。

 セーブポイントに回復効果とか付いてたらもう確定じゃん。いやまぁそっちに関しては確認してないけども。

 でもほら、ゲームによってはセーブポイントで触れるメニュー内から回復を選ぶ、みたいなパターンもあるわけだから決して油断はできないわけで。

 

 え?もしこの後ボス戦なら、その辺りのことをTASさんが黙ってるわけがない?

 フッ、甘いな。俺が気付いてるようなら「ん、そっちに任せる」とか言い出す子ですよこの子は(白目)

 

 ……いやマジで。

 自分にリーダーは似合わない……もとい、リーダーなんかになると自由に動けないということで、司令塔(リーダー)役が必要な時は大抵こっちに投げてくるのが彼女である。

 こうして大所帯になるとどこのソシャゲの主人公じゃい、という気分も湧かないでもないが、でも実際俺が貢献できそうなとこってソコくらいしかないから仕方ないね!

 ……ってなわけで、この扉の先が本当にボス戦なら覚悟の準備が必要というかなんというか。

 

 頼むから俺の気のせいであってくれ、という祈りを込めつつ、周囲のみんなに目配せをして扉に手を掛ける俺。

 豪奢な扉はその威容に見合った重厚さでゆっくりと開かれて行き──、

 

 

よくぞここまで参った。よくぞここまでその顔を余に見せに参ったものだ。

余が言うべきことは多々あれど、まずは素直な称賛の言葉を投げるとしよう。

──素晴らしい、貴様達の奮闘は実に素晴らしい。

その憎たらしい健闘を称えた上で、余は貴様達に報奨を与えねばなるまい。

 

そう、貴様達の終わり()という名前の褒美を、な。

では、精々惨たらしく往生するがいい。

 

 

 そこで聞こえてきた声と、玉座の上でこちらを見下ろす人物を発見した時、俺は自身のささやかな願いが空しく吹っ飛んだことを察したのであった。

 ははは。──……滅茶苦茶ぶちギレてるじゃないですかヤダー!!

 

 

「お迎えしてくれるボスはいい文明」<フンス

「何もよくないんだがー!?普通に会話して普通に場所使わせて貰えればそれで良かったんだがー!!?」

「そう上手く行かないのが私達、ということですわね……」

「そこで簡単に諦めないでおくれよAUTOさーん!?」

 

 

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