はてさて、なんだかよくわかんないけどブチギーレな王様とのバトル、はーじまーるよー!(ヤケクソ)
はい、というわけでね王様とのエンカウントと同時に突然戦闘が始まるわけですが、最初のそれはいわゆる避けゲーと呼ばれる方式となっております。
まず戦闘開始と同時に全天周囲に向けてエネルギー弾がばら蒔かれるので、これを気合いで避けましょう(n敗)
これ避けられないと戦う価値無し、とばかりにセーブポイントからやり直しになるので絶対に避けましょうねクソァ!!
「お兄さん落ち着いて。一応当たっても死なないだけマシ」
「マシかなぁ!?本当にマシかなぁあれ!?全部完全ランダム×避けゲー仕様だから覚え避けも潰してるの普通にクソゲーだと思うなぁ!?」
(滅茶苦茶キレていらっしゃいますわね……)
何があれって『避けなきゃダメ』って仕様だからガードしてもダメなのがね?
その仕様で完全ランダムは魂の殺人だと思うの俺。
……反射で避けろ?無茶いうんじゃねぇのこのヤロー、絨毯爆撃しといて避けゲーしか認めねーのは運営の怠慢だっつーの。
……っていうか、このセーブポイント普通に使うんかい。
思わずスルーしてたけどどういう原理なんやこれは……。
「それに関しては、この場所もまだダミ子時空の範囲にあるから、と言いますか……」
「便利な説明に使われるダミ子さんに悲しい過去……」
「もうどうにでもなれですぅ」
拗ねちゃった。……いやこれで拗ねない方があれか。
長老さんの言葉を聞いて、部屋の隅でいじけ始めたダミ子さんを見つつ、一つため息を吐く。
このまま彼女を放っておけるのなら(ゲームオーバーの確率が減るので)それでもいいのだが、この扉中に入ってしまうと完全に閉じて開けられなくなる……というのが問題なのだ。
それの何が問題なのかと言うと、仮に王様戦を攻略したあともここに戻ることはできない可能性がある……ということになるか。
分かりやすく言うと、王様を倒したらそのまま元の世界に強制転移させられるかもしれない、ってこと。
そうなると、ここにダミ子さんを放置した場合、彼女だけ置いていかれることになるかも?……みたいな不安が湧いてくるわけで。
その辺りどうなるのか、未来視組がなんとなくでも把握できたら良かったのだけれど……。
「俺の視える範囲は伝えてあるだろ。少なくともこの戦闘が終わらねぇとそれ以上は無理だよ」
「右に同じく。私の場合はもうちょっと見えてるけど、それもこの戦闘の終わりより先については無理」
とまぁ、二人からの返答は心許ない。
……視える選択肢が多くなりすぎるROUTEさんはともかく、TASさんまで知覚しきれないというのには少々驚いたが……終わったあと時空が切り替わるのが宜しくないのだろう、と言われれば納得する他なかった。
実際、その辺りのあれこれが今回俺達の遠回りを決定付けたわけだし。
しかしそうなると、やはりダミ子さんを放置してボスに挑む、というのはあり得ないということになる。
それじゃあこのまま彼女の復帰を待つのか、という話になるが……うーん、復帰できるかなぁ、この状態で……。
「ストレス許容値が限界っぽいですからね。何かその辺りを緩和できるものでもあれば良いのですが……」
「うーん、ストレス緩和緩和……あ」
「おや、何か思い付きましたか?」
AUTOさんの言う通り、現在のダミ子さんはもはや並々と水の入った桶のようなもの。
少しの刺激で溢れて倒壊するのが目に見えているため、仮に立ち直らせるならほぼ確実に外部からの手助けが必要となるのだが……それができれば苦労はしない、とため息を吐きそうになったところで、一つ解決策を思い付く。
……思い付いたはいいが、それを実行するのならばここから引き返す必要があるわけで。
「引き返す……?ボス戦前で……?」<キラキラ
「違うから、多分TASさんが思ってるのとは違うから」
「えー?」
そう告げると、何か面白そうな空気でも嗅ぎ付けたかのようにTASさんが目を輝かせ始める。
……ああうん、君ならそういう反応するだろうなーって思ってたよ……クリア後世界がないタイプのゲームだと、二週目に行かない場合は最後のセーブポイントから徒歩で麓に戻らなきゃいけない、みたいなやつも少なからずあるわけだし。
とはいえ、今回のそれは別にラスボス戦でもない普通のボス戦だし、戻るっていってもちょっとモノを取りに戻る以上の意味合いはないし。
「取りに戻る?」
「あとはこっちに持ってくる、かな?初回はともかくここまで来た後なら道のりについてはもう把握してるし」
「……あー、なるほど」
首を傾げるMODさんに、今からしようとしていること──
……うん、よくよく考えると王様戦後間髪入れずに元の場所に戻されるかも、と言うのなら車を持ってこずになんとする、って話だからね。
まぁ、こうして取りに行く機会がなかったならなかったで、適当に呼び寄せコマンドを使っていたような気もするのだが。
「なるほど、TAS君かCHEAT君に任せればいいからね、そういうのは」
「?いえ、『カモーン!!』って呼べばやって来ますよ?」
「……いつの間にか私の車に音声認識が搭載されていた件について」
そう話すと、彼女は勝手に納得して頷いていたが……いや、その辺りの簡単な話にまで彼女達を持ち出すようなことはしないよ?
流石に今ここで呼んでも来ないけど、王様戦後なら窓を開けて叫ぶくらいはできそうだし、それなら問題はないだろうからね。
……と告げれば、彼女は『わけわからん』とばかりに遠い目をしていたのだった。
なんか変なこと言ったかね、俺。