「……ええと、最初がサンマだっけ?で、その次が赤トンボ、と」
「秋の大量発生週間。なんでも多いと大変 」
はてさて、微妙に大きな赤トンボ達の大量発生が一昨日のこと。
事後処理やらなんやらでてんやわんや……とはならなかったのは、やっぱりこの世界わりと狂ってんじゃねーのかな?……という俺の予測を肯定するかのようでなんとも言えないが、ともあれ後に尾を引かないのはいいことなのでそれでヨシ、としておく俺である。
決して思考を投げたわけではない。ないったらない。
ともあれ、短い期間に立て続けにトラブルが舞い込んで来たことは確かであり、よもやまた何かしらのイベントが始まったのでは?……と警戒するのは仕方のないこと。
ゆえに今日、我が家に集った面々はあれこれと話し合っていたのだけれど……。
「まぁ、秋に色々湧いて出るのは道理ではあるんだろうな。俺には実感はあまりないが、四季のある国だと冬の手前のこの時期は急がなきゃなんねぇタイミングなんだろうし」
「……ROUTEさんの言い種がちょっと気にならないでもないけど、まぁその通りなのは間違いないな……」
国籍不明感ありましたけど、実際貴方様何処の出身でいらっしゃるんです?……とROUTEさんに尋ねたくなったが我慢。
今回の主題じゃないからね、自重しようね。……決して『その辺りを詳しく聞くと別のフラグが立ってトラブル増えそう』と感知したわけではないです()
……話を戻して。
秋に色々湧いてくる、というのは確かに道理である。
気候的に似通った『春』とは違い、『秋』は『夏』の後であり『冬』の手前。
……生き物が生まれるタイミングが『春』であるなら、『夏』はそれらが成長する時期・繁栄する時期であり、その次となる『秋』は繁栄の最盛期にして没落の起因である。
今がもっとも熟れた時期であり、それを逸せば後は腐るだけ──そうして土に還り、厳しい『冬』が来ると。
その『冬』をどうにか越せばまた『春』が来て、新たな命が芽吹き……といった感じに、四季というのは生き物の一生を地域全体で示しているもの、と見なすこともできるだろう。
「……はっ!つまり無理矢理夏にしたり冬にしたりするのは、延命行為だったり自殺幇助だったりする……!?」<キラキラ
「いや、なんでそのワードチョイスでちょっと楽しそうなのさTASさん???」
なお、そんな話を聞いても平常運転なTASさんである。ホントぶれないね君()
……あと、具体的にどうするつもりかはともかく「ダメだからね」と釘を指しておく俺である。
確かに一連のトラブルを解消するならさっさと冬にするのが早いだろうけど、それはそれで別方向のトラブルが舞い込む理由にしかなってないからね。
「だからやろうとしないでね?っていうかやるな、やるんじゃない。フリでもなんでもねーから」
「えー」
「最近の君、フリーダムっぷりに磨きが掛かってないかい?」
「まだまだ足りない。地上のありとあらゆる枷から解き放たれた時、私のスピードランは完成する……」
「本当に完成するならそれでもいいけど、終わったあと絶対再走するでしょ君」
「
「露骨な反応だなぁ」
なのでTASさんには季節干渉禁止令を出しておく。
……天候操作云々の話をしていたのがもう随分と遠い時の話に思えるが、それでも忘れてないアピール的な意味合いもなくはない。
ともかく、日常生活に過剰な面白みなど求めていない俺からすると、唐突な季節の変化など単に着るものに困ったりだとか風邪引きそうになるだとか、そういった負の面しか思い付かないのでノーサンキューである。
そういう意味合いでの禁止令だったが……案の定、暫くTASさんが駄々を捏ねる事態になった為、食後のデザート一品追加で手を打つことになったのであった。
……安いんだか高いんだか、よくわからん話である。
「まぁ、それはそれと致しまして。──いい加減、現実を見ましょう」
「いやだー!!こんな現実見とうなーいっ!!」
「うん、気持ちはわかる。わかるだけに見なかったことにして布団に籠りたくなる私だけど……戦わなくちゃ、現実と」
「じゃあMODさん一人でやってよ!!俺は絶対嫌だよ!!?」
「はははは。君は冗談が下手だなぁ。私一人でどうにかできるわけないって、君の方がよく知ってる癖にぃ」
「MODさんにできないんなら、俺の場合はもっと無理だよ!?」
……そんな風に会話する俺達を、DMさんが現実に引き戻してくる。
そうして、彼女が電源をオンにしたテレビに視線を移した俺達はというと。
『見てください!……あっいや、非常にショッキングな光景なので映像は見ずに音声だけ聞いてください!──現在日本本土に上陸した巨大生物・Gは、現在同じく日本本土に上陸した巨大生物・軍曹から逃げるようにして陸地を南下しております!進路上に在宅の皆様は早急に避難を……』
「……そうだねぇ、秋といえば肥ゆる秋、とも言うからねぇ(
「小さいのより結果的に衛生的かもしれない。本来キレイ好きらしいから」
「見た目の不快感半端ねぇんだよなぁ!?」
そこに映る、黒光りする体長二百メートル級の巨大Gと、それを追い掛ける同じくらいの大きさの軍曹の追い駆けっこを目撃することになったのだった。
……こいつらが大量発生するのも嫌だけど、だからって単純に巨大化されるのも普通に嫌なんだが!?