うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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小さくなると可愛く見えたりするし、大きくなるとカッコ良く見えたりする

「もはや一種の視覚的テロだろこれ……」

「まぁでも、TASさんの言う通りではあるのですよね。本来の彼らはどちらもキレイ好き。……生息環境が(ウイルス汚染的な意味で)汚いので結果汚くなる、というパターンですからそういう場所に立ち寄れないほど大きくなってしまえば、必然的に汚くはなり辛くなるわけですし」

「でもやっぱり、こうして視覚に訴えてくる感じがダメだと思うぞ俺は」

「……まぁ、それは否定しません」

 

 

 アナウンサーさんの言う通り、映像はタオルで隠しながら情報()だけ仕入れる俺達である。

 ……っていうか、このアナウンサーさんのメンタルすげぇな?普通なら奇声をあげて逃げ出しそうなもんだが。

 

 というわけで、ご家庭によっては家の中でも見ることのできる自然の流れ・軍曹に追っかけられるG【巨大怪獣サイズ仕様】である。……地獄かな?

 もし仮にこの世界が漫画とか小説作品であるのならば、アニメ化打診された時にこの話だけ全編モザイク仕様になりそうな悪夢以外の何物でもない光景だが、ともあれ俺達にとっては現実以外の何物でもなく、無視も逃走もできない悲しい状況でしかなかったり。

 

 ……いやまぁ、今回に関しては別に静観してても事は終わるだろうけどね?

 

 

「まぁ、軍曹はGにしか興味無さそうだしねぇ」

「サイズ感違いすぎて、モンスターパニックというよりは怪獣映画ですからね、これ」

 

 

 まず第一に、彼らが大きすぎることが挙げられる。

 モンスターパニック系の話なら両者とも人に襲い掛かって来るものだが、生憎と生態的に『単に大きくなった』だけの判定なのか、彼らが人に興味を示した様子はない。

 ……純粋に、彼らからは小さすぎて見えていないのだと思われる。

 

 なので、もし仮に逃げ回っているGが軍曹に捕まったとしても、そのままGが貪り食われた後軍曹が何処かへと去っていく……という状況にしかならないだろう。

 まぁ、それはそれで軍曹が何処に向かうのか、という問題は残るが。

 

 第二に周囲への被害が少ない、というのも大きい。

 大きすぎるゆえにどうしても踏み潰してしまうもの(例:車など)はあるものの、意外なことにビルとか住居とかのある程度大きな建造物に関しては、被害を逃れているのだった。

 

 これは、そもそも彼らが障害物を壊して進むタイプではなく、回避して進むタイプであることが大きい。

 ……いや、自然界の動植物において、積極的に障害物を破壊して進む生き物はそういない、というだけの話なのだが。

 

 無論、白蟻とかモグラとか、住居を作るために周囲のモノを結果的に破壊するような生態を持つ生き物も存在するが……彼らのそれは居住区を作るためのもの・ないし食料を得るためのである。

 ……言い方を変えると、現状逃げ回る&追い掛ける二人(?)には当てはまらないってことになる。

 まぁそもそも、彼らは元の生態からして徘徊性に近しいわけだが。

 

 話を戻すと、彼らは生態的に周囲を破壊しながら進むような生き物ではないわけで。

 それに加え、彼らがその巨体から考えられる重さより遥かに軽い、というのも理由になるだろう。

 要するに、周囲のモノを踏んでも早々壊さない、ということである。

 ……まぁ、それでも限度はあるので、結果的に踏まないようにシフトしたみたいだが。なんでかって?

 

 

「足にくっついてる残骸が全ての答え、だよねぇ」

「それはそうなんだが、確認したんなら隠さないか?」

「おっと、これは済まない」

 

 

 今しがたMODさんが言った通りである。

 ……踏み抜いた車やら何やらは、彼らの足に纏わり付いている。

 そう、結果的に罠を踏んだみたいな状態になっているのだ。

 

 彼らがキレイ好きである、というのは先述した通り。

 それを踏まえると、あの状況がどれほどストレスを強いるモノかなんとなく理解できようというものだ。

 ……結果、彼らは余計に障害物を避けるようになった、と。

 まぁ、軽いと言っても限度はあるし、小さいものは見えていないっぽいので、人間が進路上に突っ立つのはおすすめしないが。

 ──最期に見る光景が巨大な奴らの裏側、なんて悪夢以外の何物でもないだろ?

 

 そんなわけで(?)一応放っておいても市民が進路上に立たない限り、一部の不幸な人は置いておくとしてそれ以外の人々への被害はそう多くはないだろう、というのがこちらの見解である。

 いやまぁ、この光景を間近に見たことによる精神的なダメージを無視すれば、の話でもあるわけだが。

 

 

「それだけではありませんわ」

「おっとAUTOさん?」

 

 

 このまま静観するべきか否か、みたいな空気で纏まりそうになった場をかき回すのは、真剣な表情でこちらを見るAUTOさんである。

 

 

「巨大な昆虫は本来成立しない、みたいな話を聞いたことは?」

「あー……どっかで聞いたような。酸素濃度とか外骨格とかの話だっけ?」

「ええ、それであっています。それらの論説が示すのは、現代の地球において()()()()()()()()()()()()()()()()()、ということ」

「……つまり?」

「この間の赤トンボはともかく、今回のは明確に異世界産である可能性が高いということですわ」

「……はっ!?つまり地球防え」

「言わせねーよ!?」

 

 

 いやまぁちょっと思ったけど!!

 そんなわけで、唐突にヤバいワードを口走ろうとしたTASさんを黙らせつつ、俺達はあの二匹が存在し続けることそのものが悪である可能性に思い至ったのであった。

 つまり……対巨大生物戦、開幕のお知らせだな???

 

 

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