「復活」
「おー」
ちょっとした騒動からはや一日。
……あのあと、とりあえずCHEATちゃん(※見た目はAUTOさん)がうちから帰れば、自然とフラグは元に戻る……と言われたことでどうにか気を取り直したが、それでもCHEATちゃんの言動を取るAUTOさん、というものが破壊力バツグンだった、ということに変わりはなく。
流石に笑うのは酷いので我慢はしたものの、CHEATちゃんからは変なものを見る目で見られてしまったのだった。
……俺にそういう趣味はないので、完全にとばっちりである。
あと、家の中だったから『家から出る』というのが分かりやすく離脱フラグになっていたけれど、これがもし仮に外での出来事だったならば、その辺りの判定が複雑になっていた……などと聞かされれば、やっぱり外に出なくて良かったなー、なんて思い直すことにもなったりしたわけで。
いやだってね?
「まさか周囲から見る時だけ見た目が変わる、なんて仕様だとは……」
「本人には自分自身の姿にしか見えない。だから余計奇っ怪」
あくまで周りから見た時の見え方が変わる、というバグだったので、CHEATちゃん本人は自身に起きていることにはなーんにも気付いていなかったのである。
つまり、本人に自重しろ、なんて言っても聞いて貰えない可能性が高かった、ということになるわけで。
「……うちに居る時は遊ぶの優先で良かったね、ほんと」
「以前のアレで懲りたみたいだから、隠し撮りもしてなかった」
……危うく『Utuber・AUTOさん』なんて劇物が生まれるところであった。
本人の預かり知らぬところでそんなことになってしまった日には、最悪切腹でもして許しを請わなければならないところだった。危ない危ない。
「……私は時々お兄さんの思考回路がわからない」
「いやー、TASさんに比べれば遥かにわかりやすいと思うよ?」
「そう?」
「そうそう。だってさー」
はてさて。
こうして仲良さげに話をしているわけだけど。
……彼女はどうか知らんが、俺としては
なんでかって?それはねー。
「……病み上がりに調子を取り戻したい、なんて言ってこんなところに連れてくる辺り、正直俺ってばTASさんのことまだまだ誤解してたんだな、って気分にされてるからねマジで!!!」
「大丈夫。死にそうになったら助ける」
「死にそうになる前にこの状況から助けて欲しいんですが!?」
今現在、俺達は断崖絶壁に安全紐も無しに立っていたのだから。……アカン死ぬぅ!!
「これくらいで大袈裟。そもそも前回アクロバティックウォークしたばっかり」
「あの時は高速で流れていく景色だったから、自分の位置とか認識する前にことが終わってたんだよなぁ!?」
TASさんの腰辺りにすがり付く俺、という図式自体は前回の逆だが、そこから感じる印象は全く別物だろう。
……情けないとか思われるかも知れないが、仕方ないじゃん下の方ゴツゴツした岩とか転がってるんだぜ?!どう考えても足滑らせたら死ぬやつじゃん無理立てない!!!
別に高所恐怖症、なんてことはないと思うが……流石にこの地形はアカン。
そもそもこんなところで平気そうにしてる、TASさんの方がおかしいんだいっ。
……とまぁ、必死で現実逃避をし続けているわけなのである。いやもう視線が手前から動かせねぇですはい(真顔)
「むぅ。じゃあまぁいいや。しっかり捕まってて」
「いやちょっと待ってなにする気っていうかそれなに」
「なにって……爆竹?」
「なんで爆竹?」
そんな俺を見たTASさんが、ため息を吐きながら取り出したのは、何故か爆竹。
……この状況下で爆竹なんて取り出してどうす……いや待ったなにその板?
「え、盾」
「何故盾」
「ん。本当はダイナマイトとかの方がよかった」
「ねぇなにする気なの?本当になにするつもりでここに来たのキミ????」
次々飛び出す問題発言に、こちとら気が気ではないが……相変わらずTASさんは止まらない。
爆竹を足元に置いたかと思えば、今度は何処からともなく……弓?を取り出すTASさん。……なんかもう嫌な予感しかしないんですけど?っていうかなんでダイナマイト欲しがってるのこの子???
さて、そんなTASさんがやっているのは、
さらにその状態からぴょん、とちょっと跳びつつ(崖間際で跳ばないで欲しい)弓をしまいながら盾をしまい。
最後にそこから再度弓を構えて(何故か右手の甲に爆竹が張り付いてる)そのまま足を段差に掛け、
「ぬおわぁあああぁぁぁぁぁぁあっ!!!?」
「成功。高度を変えずにスライド移動するのはとてもよい」
結果、なにかよくわからない物理法則?的なものにより、俺達は下に落ちることのないまま、高速スライドするかのように空を翔ることとなるのだった。
……一つ突っ込ませて貰いたい。これRTAの技ぁっ!!?
最近は「TASの使う技をリアルで使えるのがRTA」と、謎の開き直りを見せたTASさんはというと、こちらのツッコミなど何処吹く風、とばかりに左右にぷるぷる震えていたのだった。
……腰にしがみつく羽目になった、俺のことも考えてくれませんかねぇ!?