うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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この猪凄いよぉ!流石野生の豚?さん!

「おーよしよし、上手いかポチー」<ブヒー

 

 

 はてさて、虹色三人組の漫才(レイトショー)をほどほどに楽しんだ俺は、部屋を抜け出して屋上へとやって来ていた。

 理由は勿論、結局ここまで付いてきた猪?に餌をやるためである。

 

 ……うんまぁ、色々とツッコミたいところがあるだろうと思うが聞いて欲しい。

 別に俺達も、幾らこいつが人懐っこいとはいえ連れて帰ろう、などとは思っていなかった。

 なんならTASさんが『持って帰る』とか言い出しても『ダメです』ってちゃんと断るつもりだったわけだし。

 というかTASさんに動物は与えちゃダメでしょ、常識的に考えて。

 

 じゃあなんでここにいるの?……って話になるわけだが。

 

 

「よもや連れてけ、とばかりに車に乗り込んでくるとはなぁ……」<ブヒー?

 

 

 その時のことを思いだし、思わず遠い目をしてしまう俺である。

 

 何があったかと言えば単純な話、この猪?が俺達の乗ってきた車に普通に同乗してきた、というだけのこと。

 しかも助手席とか後部座席とかのわかりやすい場所ではなく、トランクの中に潜り込むという手慣れたやり口だったわけである。……誰が気付けるんじゃいそんなの。

 

 家に着いたあと、トランクに積んだクーラーボックスを取り出そうと開いた時に、そこにあるつぶらな瞳と対面する羽目になった俺が思わず悲鳴をあげることになったのは記憶に新しい。

 ……ついでに言うと、そうやって目の前で大声で叫ばれたにも関わらず、まったく動じなかったこの猪の肝っ玉?的なものにも驚くことになったというか。

 もはやここまでくると、この猪は猪の姿をした別の生き物なんじゃないかなー、というか。

 

 ……で、そこまで考えたところでハッと思い付いたのが『こやつ異世界産の生き物なのでは?』という、ある意味もっと早く議論にあがっていてもおかしくない懸念だった、と。

 

 

「……今までの奴らは普通に駆除、もとい食べれば済んだんだけどなー」<ブヒー?

 

 

 栗ご飯をもそもそと食べる猪を撫でながら、はぁとため息を吐く。

 

 ……今までの異世界産の生き物というと、基本的に大自然の脅威そのものみたいな感じでこちらも真っ向からぶつかっていくのが基本だったわけだが。

 今回のこの猪?に関しては、こちらに敵対的な様子はまったく無し。

 ……となると、どうにも駆除とか排除とかを選ぼうという気概が出てこないというか。

 

 

「野良犬とか野良猫とかを保健所に連れていく時のような、何とも言えない罪悪感が胸を襲うんだよなぁ……」<ブヒー?

 

 

 人間の都合で生き物の生き死にを左右している時の罪悪感、みたいな?

 いやまぁ、狩猟とかも同じだろうと言えないこともないかもだが、そっちは『食べるため』という理由があるので意味合いが少し違うというか。

 ……食べるわけでもないのに命を奪うのは、人の傲慢以外の何物でもないだろう、みたいな感じだとも言えるのかも。

 

 ともかく、そんなわけでこの奇妙な猪をどうにかするという選択肢も持てず、どうするべきかを考えた末──。

 

 

「試しに屋上に誘導してみたら、普通に付いてきたんだよなぁ」<ブヒッ

 

 

 何処と無く誇らしげな感じで一鳴きする猪?に苦笑を返す俺である。

 あれだ、それくらいは朝飯前だよとでも言っているみたいというか?いやまぁ今は夜なので夕飯前かもしれないが。

 

 ともあれ、試しに屋上に付いてこないかなーと誘導したら普通にとっとこ付いてきたうえ、こうして他の人に見られていないからと何処かに行くこともなく、ここで俺が来るのを待ち続けていた……というわけなのである。

 ここまで来ると頭良すぎて怖いわ、みたいなところも無くはないが、こいつが異世界出身ならそういうこともあるんだろうなー、と納得はできなくもないわけで。

 

 そんなわけで、一先ずこの猪を飼ってみることになった、というわけなのである。

 ……ただまぁ、猪って注意すべきことがよくわからんので、このままここに置いておくのも良くないだろうなーとも思っていたりするのだが。

 

 

「マダニとか感染症とか、色々気にしないといけないだろうからなー。……お前さん、注射とか大丈夫なのか?」<ブヒー?

 

 

 こてん、と首を傾げる猪の様子に、やっぱりこいつこっちの言ってること理解してるよなーと改めて確信しつつ。

 はて、連れていくのなら何処なのだろう。動物病院?というかそもそも猪って飼っていいのか?いやそもそも異世界産なら問題はない?

 ……とかなんとか、これからやってくるだろう問題を脳内で羅列し──。

 

 

「……止めた、面倒臭い。TASさんに任せればなんとかなるだろ」<ブヒッ!?

 

 

 ──それらを全部放り投げたのだった。

 いやだって、今回はたまたまこいつにかかずらっているけど、その実存在そのものの厄介さを除けばこいつの手間のかからなさは寧ろトップクラス。

 他の面々の方が大変である可能性が高いのだから、真面目に考えるだけ無駄……みたいな?

 

 っていうか最悪TASさんに任せればいいので問題を探すこと自体無意味でしょ……ってなわけで、難しいことは全部放り投げた俺なのであった。

 

 

 なお、それを聞いた猪自身はというと、こちらに考え直せとばかりに鼻を押し付けて来ていたが……知らん、そんなことは俺の管理外だ。

 

 

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