「はぁ、別世界の……?」
「いやまぁ、何度か見たことはあるけども。……そういうのって大抵別個体だからこうしてTAS自身が入れ換わってる、ってのは珍しいどころの話じゃないっていうか……」
「えへへ……」
「そこ照れるとこなんだ?」
はてさて、唐突なトラブルの到来に、一先ず確認やら何やらするために図書館を離れ、近くの喫茶店に入った俺達なのだけれど……なんというかこう、その短い道程の中ですら違和感たっぷりだったというか。
基本的に無表情なのがいつものTASさんだが、こっちのTASさんはまさに天真爛漫・
……なんなら、時々彼女の髪色を金色だと錯覚してしまうくらいというか?
「古典的イメージの
「ああうん、そんな感じそんな感じ」
本人が今しがた述べたように、ネットのイメージ的なTASさんの外見と言うのは、(TASに使われるゲームが原則英語版であることなどから)外国人──それも西洋ないし欧米系の人種である、とされている。
で、そこから更に発展して出力されたのが『TASさんは十代の金髪美少女』なんて感じのパブリックイメージというわけだ。
ここにいるTASさんに関しては、その姿は正にいつも俺達が見ているTASさん──黒髪おさげの無気力少女のそれなのだが、表情だけがころころ変わる。
その変化はまさに『ぅゎょぅι゛ょっょぃ』……もといすごいという表現がぴったりのもの。
この人こんなに表情筋動くんだ、と困惑が強くなるのも仕方のない話なのである。
「う、うーん?一応こっちの
「少なくとも、私達にはまったくわかりませんわね」
「なるほど。……愛されてるねーお兄さん」
「うん?まぁ確かに、俺はTASさん検定準一級所持者だから、TASさん的には
「……あーうん、ソウカモネー」
なお、今ここにいるTASさんの言によれば、元の彼女は十二分に感情表現をしているとのこと。
……言い換えるとそれで伝わるから十分、と思っているということであり、ならば俺は皆にTAS検定を受けさせるべきかなー、と愚考する次第なのであった。
なんか、それを口にしたらTASさんの顔が生暖かい笑顔になったわけだけども。
「まぁ、その辺りは一先ず置いとくとして。……それで?お前さんはいつまでそのまんまなわけ?」
「ん?んー……偶発的な事故とはいえ、TASである以上はこれを活かさない手はない、って感じで向こうも暫くあれこれしてるだろうからなー。……うーん、満足したらっていうのが答え、かなっ?」
「まんぞくぅ?」
満足、満足と来たかー。
こっちのTASさん……いい加減判別し辛いな、とりあえず仮に
ともかく、TAS´さんの言うところによれば、現在の彼女達の入れ換わりは偶発的なモノではあるものの、互いの世界に変な影響を与えることなく互いの世界のことを活用できる……とのことで、一通り覚えたいことを覚えるまでは戻ってこないだろうという話だった。
その期間は不明であるが……恐らく、互いにタイミングを合わせるだろうから
……つまり、基本的にはこっちのTAS´さんを見ていればいい、ということになるのだけれど……。
「……この違和感しかない状況に慣れろと?」
「お兄さんには申し訳ないんだけど、そういうことになるねっ!まぁ安心してよ、
「……ん?向こうのお兄さん?」
その間、俺達はこの違和感マシマシのTAS´さんと生活をしなければならない、ということになるわけで。
……途中でこっちがギブアップしそうな気がするのだが大丈夫だろうか?
いやまぁ、AUTOさんやらCHEATちゃんやらは四六時中顔を突き合わせるわけでもなし、まだマシな方だろうけども。
などとぶつぶつ言っていると、彼女の口から気になる言葉が。
……え、そっちの世界は俺も俺´になってるの?意外と重要人物なの俺?
「んー、そうだねっ。少なくともこっちには
「私達、」
「いませんの!?」
「うん、少なくとも私は見たことないかなー」
……なんとまぁ。
向こうの世界では、俺以外のここにいる面々、誰一人として存在しないのだそうな。
無論、単純にまだ出会ってないだけ、という可能性もあるわけだけども……何とも不思議な話である。
「まぁ、ネットのイメージに近いのが私……ってことになると他の人達もそっちのイメージに寄る可能性が高いから、あんまり会いたくないってのも本音なんだけどねっ」
「ネットのイメージの私達、と言いますと……」
「AUTOさんの方は音ゲー偏重だろうから見た目もラッパーとかそういうのな気がするし、CHEATちゃんの方はもうちょっとお子様っぽくなってるんじゃないかな?」
「お子様……」
チートを嬉々として使うのなんて、基本的には子供っぽい人か子供そのものだろうし、と彼女は締め括る。
……何にせよあくが強そうだな、と思ってしまう俺と他所の世界の自分達に想いを馳せる他の面々の前で、TAS´さんは呑気に自身の頼んだメロンフロートに舌鼓を打っていたのだった。
自分で言っててすっかり忘れてたので今回は三人分です。
○AUTOさん
…『DJAUTO』を元ネタとする人物。
そちらを元ネタにしているだけであって同一ではない為、その技巧は様々な分野に応用できる……という、中々の鉄人と化している。
但し弱点はほぼ同一(ラグに弱い)のと、基準値を満たすタイプなので特化型には負けることも。
見た目は『ツ○デレ悪役令嬢リーゼ○ッテ』のツンデレ悪役令嬢様が近いが、雰囲気はかなり穏やかで表情も基本的には笑顔。
たまに怒っている時は笑顔のままどす黒いオーラが出る。怖い。
仕切りたがりなので鍋とかやらせても怖い。
○MODさん
…
地味に裏設定が重く、ある種の主人公的な存在でもあるのだが……そのせいか話が長い、とばかりにTASさんにいろいろはしょられることも。
基本的な外見のイメージは『アイドル○スターシャイ○ーカラーズ』の『財布ないわ』の人。
因みに妹さんの方は『ウ○娘』のマッドサイエンティストが近かったり。
○DMさん
…それまでがコンピュータゲーム要素の名前がほとんどだったのに、唐突に違う方向に飛んでいった元邪神様。
本来はもっと厄い存在なのだが、神様だろうが下手するとチェーンソーでばらばらにするTASさんの前には無力であった。
色々学んだ結果、今はメイドロボとして家事洗濯などを行っている。何故に?
見た目はTASさんと同一なのだが、お下げにはしてないので見た目的には『○ど○ギ』の髪を下ろしたほ○らみたいなことになっている。闇側の存在繋がりかもしれない。
なお、同一とは言うものの改修などの結果TASさんの(外見年齢的に)一つか二つ上、つまり姉みたいな見た目になっている。
名前の読みは『ダンジョンマスター』が基本だが、『デュ○ル○ンスターズ』とか『ダークネスマスター』とか適当に読み方を変えると本人の気質も変わる、という変な裏設定があるとかないとか。