「何か言いたいことは?」
「「ナマ言ってすみませんでした……」」
まぁうん、好き勝手TASさんに文句を言っていたようなものなのだから、それを受けたTASさんが怒るのも仕方ないよね……みたいな?
そんなわけで、衆人環視の中絶賛正座中の俺とダミ子さんである。
みんなも好き勝手なこと言うのはほどほどにしておこうね!お兄さんとの約束だ!
「誰に向かって喋ってるんですかぁそれぇ……」
「単なる現実逃避だ、詳しくツッコんでくれるな」
「あっはい」
「まだ余裕があるみたい。石でも抱く?」
「結構ですぅ!!」
なお、TASさんはわりと本気で怒ってるのかこの調子。
仕方ないのでしばらく黙って反省を続けることになったのであった。
──で、それからおよそ十分後。
「……ん、十分反省しただろうからもう立っていいよ」
「無理ですぅ……足が痺れて立てませぇん……」
「……ん」<ツンツン
「ほぎゃらたは#%@※&*☆%っ!!?」
「流石にそれは止めてやれよ……」
十分反省を終えたとTASさんが判断したため、ようやく正座を解けるようになったのだが……うん、ダミ子さんが案の定足が痺れて立てなくなってね。
そうなると、そこのTASさんが彼女
ってわけで、足をつつく度に躍り狂うダミ子さんを興味深そうに観察するTASさん、という珍妙な風景が出来上がったのであった。
……え?俺は痺れてないのかって?
「ずるいですぅひきょうものですぅうらぎりものですぅ……私はちゃんと微動だにせずに座ってたのにぃ……ひぎぃっ!?」
「おどりくるえー」<`ΦωΦ)꜆꜄꜆
「こ れ は ひ ど い」
そんな俺の様子を見て、息も絶え絶えに責めるような眼差しを向けてきたダミ子さんだったが……まだまだ足の痺れは取れていないようで、再びTASさんのツンツン攻撃によって躍り狂う羽目に陥っていたのだった。
……なんでもいいけど、店の前なんだから他のお客さんの邪魔にならないようにね?
「ダミ子の服選びは飽きた。次はお兄さんが着せ替え人形になる番」
「あー、お手柔らかに……?」
はてさて、ようやっとダミ子さんが震える小鹿からつかまり立ちの赤ん坊くらいにまで
TASさん曰く、ダミ子さんの服選びに関しては粗方目星が付いたので、今度は俺の服について着手したいとのこと。
正直な話、俺はダミ子さんほど服に無頓着というわけでもないので、外行きの服くらいそれなりに持ち合わせているのだが……まぁ、TASさんが選びたいというのなら吝かではない。
「随分な余裕ですぅ……こうなったら変な服を持ってきてやるですぅ……」
「別に構わんが、その場合はダミ子さんにも着せるからな?
「地味に酷いこと考えやがるですぅ!?」
服飾センスが仮にないとしても、自分から見て「変」と感じるものなら嫌だろう。
つまり、他人に向けてであろうと「変な服」として持ってきたのなら、それを本人に着せれば十分罰になる……という寸法である。
まぁ、センスがない場合は「普通の服」の方がヤバイ、ということの裏返しなので、正直そこを誇張しすぎると良くない結果に陥るわけだが。
具体的にはこちらへの嫌がらせを止めた方がダメージが高い、みたいな?
「本人的に問題ないなら、その服を本人に着せても罰にはならない。変な文字が書いてる服が好き、とかだと目も当てられない」
「文字プリント系って基本的には地雷だからなぁ……」
わりと好む人の多い文字プリント系の服だが、その実あんまりお洒落だとは言い辛い。
いやまぁ、学生とかが着てる分にはまだマシなのだが、ある程度年嵩が行くと途端に似合わなくなるというか。
女性が着る分にはまだなんとかなったりするが、男性の場合は大抵ダサくなるのである。
……そう考えてみると、男の服ってバリエーションが少ない……もとい、ダサく見えないパターンが少ないのだなぁ、としみじみ。
なお、元々男性?っぽいダミ子さんが嫌がらせを止めた結果持ってきたのは、思いっきり文字のプリントされているパーカーだったため、TASさんと「やっぱり」みたいな顔をし合うことにったのだがそれはまた別の話。
……ところで、そんな感じの俺達のやり取りを、ずっと笑いながらパシャパシャ撮ってた人がいたんだが……あれはなんだったんだろうか?
ヤベー人かな?……と注意しようと思ったらTASさんに止められたし。
「やっと来た」
「ん?何が?」
後日譚として。
結局ウインドウショッピングで終わったあの日から数日後、突然のチャイム……が鳴る前に玄関にスタンバっていたTASさんが居間に戻ってきた時に持っていたのは、ちょっと大きめの小包。
ご機嫌そう(※当社比)で戻ってきた彼女は、こちらへの返答の代わりにその小包をフリーハンドで綺麗に開き……、
「新作。インスピレーションポイントを稼いだ甲斐があった」
「お店で騒いでたのはそういう……」
中に納められた、数着の服達をこちらに見せ付けるように目の前で掲げたのだった。
全てを察した俺の横で、テレビには新進気鋭のファッションデザイナーとやらがインタビューを受ける姿が映し出されていた──。