「久しぶりにゲーム大会開催のお知らせ」<ニュッ
「どっから出てきてるのTASさん」
「向こうのお兄さんを驚かせるために取得した。こっちのお兄さんにも効いたからお得」<ドヤッ
換気扇からくるくる回りながらTASさんが現れたのだけれど、これを驚くだけで済ませた向こうの俺って一体なんなんだろうね?
見てみろよ俺の隣のダミ子さんを、泡を吹いて気絶してるぞこの人。
……時刻は現在正午過ぎ、お昼ご飯の用意のためにキッチンにやってきた俺達であったが、どうやら昼食後の用事が固まってしまった、ということで間違いないらしい。
なおDMさんはこの話に加わらず、そのまま昼食準備中である。流石はメイド(?)、仕事に熱心ですね。
「……ダイアモンドから?」
「ひゃあああっ!!?」<ガシャーン
「いじめてやんなよ……」
なお、TASさんが耳元で呟いた魔法の言葉により、てきぱき働いていたDMさんは持っていたお皿を盛大に落っことすことになったのであった。
……あーうん、バットでホームランされまくってたの、しっかりトラウマになってるのね……。
「避けられない気絶……目の前でバットを振りかぶる黄色い悪魔……う、頭がっ!」
「ガードを固めるのは悪手。基本的には攻めこそ全て」
「TASさん相手だと、基本何しても無駄だと思うけどなぁ」
頭を抱えてガタガタ震えるDMさんと、そんな彼女を見てアドバイス?をするTASさんなわけだが……彼女の提案する対応に意味があるかと言われると、正直疑問を感じざるをえまい。
何せ彼女、TAS(※
その流れでどこの少年漫画だよ、みたいな動きだってし始めるのだから、通常のゲームスピード的に対応できないのは仕方ないんじゃないかなーというか。
そういうわけで、奇想天外なTASさんの行動を見て、思わずガードを固めてしまうのは仕方のない話……ということになるのであった。
……それで余計に酷い目にあってたら世話がない?それはそう。
「ままままさかまたあのゲームを!?嫌ですよ私はやりませんよ!?」
「安心して、今回はあれじゃないから」
「よ、よかった……あれじゃないならまだ」
「今回はカートの方」
「神は死んだ!!」
「それを
なお、今回やるゲームは彼女のトラウマとなっている例の大乱闘ではないみたいだったが……どっちにしろ別方向にトラウマなのゲームだったので特に意味はなかった、慈悲はない。
「……それで、なんで俺にまでコントローラーが回ってきてんだ……?」
「?」
「いや、そこで不思議そうな顔してんじゃねぇよ」
さて、昼食も食べ終わり片付けも終わってのこと。
テレビの前に集合した俺達は、ちっちゃなコントローラーを握ってスタートの合図を今か今かと待ち構えている……のだが、一人だけ周囲の空気感に置いてけぼりにされている人物が居た。
現状一番最後に加入した存在であるROUTEさんである。
彼女はコントローラーを握ってこそいるものの、何故自分がこの集まりに呼ばれたのかよくわかっていない様子。
……いや、正確にはこの集まりがなんなのかはわかっているものの、何故自分までコントローラーを握る羽目になっているのかがわからない……みたいな感じだろうか?
恐らく、比較的抑えめとはいえほぼTASさん(※過言)と言えなくもない彼女がゲームに加わるのは、公平性とか色々な面から見て問題なのでは?……と言いたいのだと思われる。
まぁ、攻撃を受けても選択肢を確認して回避できるようだし、こういう他者への妨害有りタイプのレースゲームは出禁が普通、だと考えているのだろう。
「……そこまでわかってて、なんで俺まで?」
「そんなの単純だよ!!コイツをどうにかして負かすために決まってるじゃん!!」
「いえーい、ぴーすぴーす」
「ええ……」
そんな彼女の疑問に答えるのは、今回の対戦に向けてヒートアップしているCHEATちゃん。
今回はなんでもあり、とのことで左右に浮かぶレトロゲームにコントローラーが刺さっていたりする。
……ドローン操作的なことをするのだろう、多分。
ともあれ、彼女が言うところによれば、今回の目的はどうにかしてTASさんを
それさえ叶えば例え誰がトップでも構わない……というなりふり構わなさを発揮しており、それに関してはここに集う他の面々も変わりないのであった。
「ええ、今回ばかりはその座から引き摺り下ろして差し上げますわ!」
「はっはっはっ。まぁ僕らの場合ゲームに直接干渉とかできないから、あくまでも普通にプレイするだけだけどねー」
「ですぅ。漁夫の利を狙うくらいしかないですぅ」
「個人的なことを言わせて頂くと、勝ち負けとかどうでもいいので帰りたいです」
「ロボなのに冷や汗掻いてる!?」
まぁ、TASさんに直接抗える面々というのは少ないため、張り切っているのは一部に限られるわけだが……それでも、(一部以外)挑むことそのものを忌避してはいない。
ならば、新加入メンバーであり・かつ彼女の土俵に僅かでも足を踏み入れることのできる存在であるROUTEさんの重要性は言うに及ばず。
ゆえに、彼女には端から『参加しない』という選択肢は与えられていないのであった。
……そこら辺悟った結果の
「いやその……いやなんでもない」
「?とにかく、今回こそTASに勝つぞー!」
おー、と号令をあげる一同。
そんな周囲を見渡して、ROUTEさんは微妙な表情をしていたが……やがて諦めたように、テレビの方に向き直ったのだった。