「今回走るのは四コース。比較的難しめのモノをチョイスした」
「旧幽霊屋敷はちょっと酷くない?」
コースアウト必至というか、それ前提の妨害になるやんけ。
……とまぁちょっと愚痴が混じったが、難しいからこそ楽しい……みたいな部分もあるので文句を言い過ぎるのもよくない。
というか、こういうコースが混じってないとTASさんを止めるのなんてほぼ不可能なんだから、こっちは受け入れざるを得ないのである。
というわけで、難しいコースが四つ選ばれた状態で始まったレースゲーム。
実況解説はいないので代わりに俺がレースしつつこなそうと思う。
「──今だ、
「取れてない」<ヒョイ
「あびゃーっ!!?」
「(ダミ子を)踏み台にしたっ!?」
まず最初のレース、件の幽霊屋敷でのこと。
本来コースアウトを防ぐため、道の両端にはガードレール的なものが設置してあるのが普通だが……このコースにそんな甘ったれたものは存在しない。
なんとまぁ、このコースは道の八割ほどが未整備に近い状態なのだ。
そのため、他のコースと同じような走り方をするとまずコースアウトして池に突っ込む。
なんなら速度を落としても曲がり切れずに落ちる。なんで百八十度のカーブがあるんですか(真顔)
……まぁ、だからこそTASさんであっても落ちる可能性をゼロにできず、そこを突けばなんとか勝てるのではないか?……と思わせてくれるわけだが。
無論それは勘違い・夢見物語でしかないことはたった今証明されたのだけれども。
具体的に何が起こったのかって?百八十度カーブの入り口付近でCHEATちゃんの妨害が発生したのだが、ぴょいんとジャンプしたTASさん(のキャラ)は空中で加速アイテムを使用。
そのままカーブをショートカットしたものの、移動方向的に池に落ちるはずだったのだが……丁度タイミングよくジャンプ台で飛んでいたダミ子さん(のキャラ)が飛んでくるTASさんの下敷きとなり、結果彼女を踏み台にしてTASさんは大幅なショートカットを成功させた……というわけである。
正直狙って出せるモノではないと思うのだが……TASさんのことだからひっそり他の面々の動きを調整してた、とかありそうだから怖いというか。
ともあれ、幽霊屋敷のトップはTASさん。幸先の良いスタートを切ったと言えるだろう。
「ちょっとぉ!?兄ちゃんどっちの味方なのさぁ!?」
「俺はいつでも強いモノに敵対しないように生きている」<キリッ
「情けなさ過ぎる台詞だね、それ」
うるせーやい、長いものに巻かれろって言うでしょ。
……とまぁ、文句を言うCHEATちゃんとMODさんをあしらいつつ、そのまま次のレースへ。
二番目のコースは、いわゆる虹の道と呼ばれるもの。
……本来ならラストコースとして選ばれるものだが、まさかの二番手起用である。
「ここをこうしてこうしてこう」
「なにそれ!?」
ここでもTASさん絶好調。
なんと彼女、さっきも使っていたジャンプ&加速を使い、ゴール付近で空を飛ぶことでルートの大半を無視する、という暴挙に及んだのである。
いやそれ届くんだ、みたいな位置からぴょんぴょん飛ぶ様はまさに猫の如く。……いや、どう考えても高さ足りてなくないそれ?
「壁蹴り壁蹴り」<ガンッガンッ
「ゲームジャンルが変わっていますわ!?」
その疑問の答えは、特定のタイミングでアイテムを使うと消費されない、というバグにあった。
多少なりとも上向きのベクトルがある状態で加速・激突・再加速を繰り返すと、なんとどこぞのイレギュラー狩りの如く壁を昇ることができるのだ。
まぁ、これを繰り返して昇るのは普通にタイムロスなので、どうしても高さの足りてない場所でのみ使うような形であるが……ともあれ、思いもよらぬ移動方法を見せ付けられたのは間違いあるまい。
「逆走こそ正義」
「ふざけるなぁ!!?」
そして三番目のコース、これは一見普通の場所に見えるが……その実、CHEATちゃんによる細工の施された特殊なコースになっている。
本来そういうことするのは良くないのだが、今回ネットに繋いでいないこと・及びこの細工を今後二度と使わない、という制約を課すことで実現したのである。
……制約云々とか関係なく改造すんな?それをCHEATちゃんに言うのもどうなん?
まぁ、今回のそれは『任意コード』とかの応用──すなわちゲーム内で行える操作の延長線上のものであり、チートではあるものの改造かと問われると微妙に違う、みたいな範囲にあるものらしいので多分大丈夫なのだろう、知らんけど。
ともあれ、そんな風にCHEATちゃんの細工たっぷりのコースだったのだけれど。
……うん、早々に破壊したよね、TASさんが。
逆走しながら色々入力することで細工を全部元に戻しながら進むその姿は当て付け以外の何物でもなく。
それを見たCHEATちゃんがキレ散らかしながらバグアイテムで爆撃し、当然の権利のようにTASさんがそれを回避して。
かと思えば伏兵ROUTEさんが『その首貰った!』とばかりに飛び出したけれど、『それは
……そんな感じで、四コース走ったものの結局TASさんがトップになるのを止めることはできなかったのでしたとさ。
「……あー!?しれっとこの人二位取ってる!?」
「卑怯ものの行動ですわね、羞恥心はないのですか?」
「そんなものあったらそもそもこの女子まみれの集団に混じってゲームなぞしてないわ!」
「なんだか変な方向に吹っ切りましたね……?」
なお、TASさん対策に掛かりきりだった他の面々を他所に、しっかり次点をキープしていたちゃっかりものが居たりするのだが……それに関しては『一位じゃないので問題なし』と、寛大な心で許して貰いたいものである。……え?ダメ?
……この後滅茶苦茶デザート奢った。