はてさて、突入前にひと悶着あったものの、どうにか解決して突入した俺達がそこで目にしたのは……。
「お、おおう。こんな見事にぼっこぼこにされるもんなのか……」
「いや唖然として見てる場合じゃねぇぞ?!結構やベーってこれ!!」
遺跡内の仕掛けに蹂躙される、哀れな盗掘者達の姿なのであった。
いやほんと、見てて思わず『うわぁ……』って目を背けたくなるくらい、誰もが蹂躙されてるんだもの。
こりゃ遠い目になるのも仕方がないというか?
……とはいえ、CHEATちゃんの言う通りでもある。
恐らく、現在この遺跡内の仕掛けを作動させているのはかつての──邪神味バリバリのDMさん。
となれば、不遜なる盗掘者共の生命の保証など一ミリもない、ということになるわけで。
……ええ、見たところ死んではないけど虫の息、みたいな面々がそこらに転がってるこの状況。
流石にこれを見逃すのは人としてどうか?……みたいな気持ちもないわけではなく、一先ず彼らを救出することを最優先するという話になったのだった。
いやまぁ、盗掘者なんだし自業自得ってことにしてもいいんだけどね?
「でも別に死ぬほどではないと思う」
「そもそも海外ならともかく、日本で盗掘云々で死ぬのはあれというか……」
主にそんなことが起きる可能性が低すぎる、的な意味で。
……他所の国と陸地で繋がっているのならともかく、日本は海洋国家。
船での出入りなどが厳しく監視されているこの環境で、盗掘で一儲け……なんてのは夢物語どころの話ではない。
不利な要素が多過ぎて、なんでよりにもよってそれを選んだ?……みたいなツッコミをしたくなるような作業なのだから、必然それで取っ捕まったり酷い目に合うやつなんて数えるほどしかいない、というか。
いやまぁ、ごく少数なだけであって、居るところには居るわけだけどさ?
……でも少ないと目立つわけで、必然遺跡に盗掘に入って死んだ人間、とかそれこそ末代まで笑い話にされるだろうなーというか。
流石にそれは哀れに過ぎるので、助けてあげようと仏心を出すことにした俺達なのでありましたとさ。
「死んでるより生きてる方が後腐れないし」
「何か言いましたかぁ?」
「いや何も。とりあえずあからさまに失血死しそうなそこのやつらから助けようか」
「はぁいですぅ」
……まぁ、悪人とは言え死体を見るのは気持ちが悪い、みたいな自分本意の考えもなくはないが、それはそれ。
訝しむダミ子さんの背を押しつつ、高所から落下したのだろう人物を助けに向かったのだった──。
「……これ、今回R-18Gの注意を入れた方がよかったんじゃ」
「うーん、予想以上にエグい……」
うむ、直接描写するととても大変なことになる(婉曲な表現)ので若干ぼかして言うと。
……こう、死んでないのが不思議になるような重症患者達がわらわらいる、みたいな感じだと思って貰えれば。
いや、中身こそ溢れてないけど、その分だばだば流出してるし明らかに向いちゃいけない方向に向いてる部位があったりするし。
千切れてないのは幸い、みたいな酷い状態も散見される以上、本来であればあと数分の命……と断言しても問題ないレベルというか。
にも関わらず、彼らは比較的元気そうである。
いやまぁ、怪我の程度によっては文字通り死ぬほど痛そうにしているが、その割にはあくまでも『死にそう』で留まっているというか?
「あと一押しが足りない……という言い方をすると、まるで私が彼らの逝去を願っているようであれだが……」
「まぁうん、言いたいことはわかるよMODさん。首の皮一枚で耐え続けている、みたいな感じだよね」
他に上手い言い回しが思い付かなかった、とでも言いたげなMODさんの発言を引き継ぎ、皆が感じているだろう疑問を形にする俺。
……そう、彼らは死にそうではあるが、かといってこのまま放置していても本当に死ぬことは無いのではないか?……と感じさせるのである。
その理由は、彼らの怪我。
よく目を凝らして見ると、その表面がうっすらと光っているのがわかる。
「……いわゆる
「生かさず殺さずのギリギリの状態を保つための処置……ってことかな?」
その輝きが、決して彼らを死の縁に追いやらないように努めている……というか。
だがしかし、彼らを完治にまで持っていこうとはしていない、というのもなんとなくわかる。
つまり、今の彼らは生殺与奪の権を他人に──具体的には邪神・DMに握られ続けている、ということになるだろう。
「……見せしめ、かねぇ?」
「まぁ、恐らくは。盗掘者に対して末期の苦しみをずっと味合わせている……みたいな?」
その様子を見て、ROUTEさんが呟いた通り──これは恐らく見せしめ、なのだろう。
自身の領域に踏み込んできた愚かな人類に罰を与え、己の選択を後悔させ続ける……。
精神的なダメージを与えるためだけに、生かさず殺さずの状態を維持している、とも言えるか。……なんとも悪趣味な話である。
「……あっ、いやあのこっちのDMさんが悪趣味、と言いたいわけではなくてですね?」
「いいんです、お気遣い有難うございます。……ですが、私も健在であれば同じ事をしていたと思うので、そう気になさらずとも結構ですよ?」
「怖っ」
なお、邪神ではない方──メイドなDMさんがすぐ近くで聞いていることを思いだし、慌てて発言を取り繕ったが……当の本人はあっけらかんとしていたのだった。
……いや、怖ぇなこの人?