「……しかし、そうなるとこいつらどうするかなぁ?」
「いきなり生命維持が切られるとも思えないが、結果的にこの遺跡を攻略するのであればあまり変わらない……ってことか?」
「そーいうことー」
かき集められた盗掘者達を前に、腕組みをして唸る俺達一行。
彼らのほとんどは重傷者ではあるが、同時に遺跡の加護?的なモノによって虫の息のままその命を保たれ続けている。
……それは裏を返すと、このまま遺跡を攻略した場合彼らは命を落とす、ということでもある。
まぁ、維持しているのがこの遺跡の持ち主である悪DMさんなのだから、ある意味仕方のない話なのだが。
「悪DMて」
「暫定的な呼び分け方だから……まぁともかく、このまま対策もなしに突き進むのはよろしくないよねぇ」
なお、その呼び方を聞いたROUTEさんが『何言ってるんだこいつ』みたいな視線を向けてきたが……これに関しては一応呼び分けないとTASさんがやらかすので仕方ない。本当に仕方ない。
「ええと……やらかすとは?」
「面倒臭いからってこっちのDMさんをタコ殴りにして結果的にここにいる悪DMさんも連鎖的に倒す、とかやりかねない」
「!?」
因みにだが、やらかすというのはこっちのDMさんの身が危ない、的な意味である。
確かになんか増えているが、結局データ?の上では同一人物なのだ。なら、身近にいる方をコテンパンにして終わらせる、というのも一つの解法だろう。
……まぁ、その場合下手するとこっちの善(?)DMさんが消え、悪DMさんの方に統合される……とかいう変則パターンに入る可能性もあるわけだが。
でもそれはそれでTASさんが喜びそうなのでNGである。主に折れずに向かってきてくれそうな相手が増える、的な意味で。
「あまりの非人道的な発言に驚きを隠せませんが……とりあえずお一つ。……本当に折れずに立ち向かっていくと思います???」
「ごめん、多分最初の内だけだなそれは」
……うん、すぐに今のDMさんと同じになるよね。
だって前回もやったもんね、悪DMさんからの善堕ち。……善堕ちかこれ???
まぁともかく、今ここにいるDMさんを犠牲にする、というのは後味が悪いし意味もない……的な方向でTASさんを説得しつつ(「そんなことしない」と不満げな様子だったが、「本当に?」と問い掛けたら視線を逸らしていた。そこはハッキリ頷いて欲しいところである)、改めて盗掘者達を見る。
「……やっぱり、ここはDMさんを彼らの見張りとして配置する、というのが一番なのでは?」
「確かに。仮に悪DMさんが倒されたとしても、同じDMさんなんだから遺跡の権限を引き継いで崩壊を防ぐ……とかできそうだし、その流れでこいつらの生命維持も引き継げそうだし」
「マジで!?この遺跡崩壊せずに済むの!?」
「お、おう?た、多分」
「やたー!!遺跡サイコー!DMサイコー!!」
「滅茶苦茶喜んでる……」
折角DMさんが増えてるのだし、倒すのは悪DMさんにして、こっちのDMさんには撃破後に空いた遺跡の権利者の座に滑り込んで貰おう……という感じの方針を打ち出したところ、DMさん本人が頷く前にCHEATちゃんが狂喜乱舞し始めた。
……それほどまでに、遺跡が崩れずに済むのが嬉しいらしい。
だが悲しいかな、遺跡の維持にはこの場に居続けることが条件。
……最終的に彼女を連れ帰ることになる以上、いつまでも維持し続けられるわけでもない。
つまり、この盗掘者達を病院に叩き込むまで崩壊の期限が伸びた、というだけの話であって、遺跡崩壊の末路は変わっていない……という事実には気付いていない様子。
そのことを親切にも知らせようとするTASさんを口止めしつつ、俺達は浮かれ気分で躍り狂うCHEATちゃんを眺めていたのだった。
……あ、崖から落っこちた。足元見てないからだぞもー。
「ひゃっほー!!本来なら見れない位置からギミック確認するのサイコー!!」
「……落ちたと思ったら突然飛行し始めた件について」
「まぁ、曲がりなりにも
「正規ルートを無視するのも、CHEATなんて名前なんだから気にするわけもない……ってことだねぇ」
「……あのぉ、なんだかTASさんが微妙な顔をしてるんですけどぉ」
「ほっときなさい。どうせ『むぅ、
「……図星みたいな顔してんぞアイツ」
「「「「「!?」」」」」
「いやなんでこっち見て驚いてんだよ。見るならアイツの方だろうが」
「ROUTEさんが……」
「TASさんの顔色を……」
「読んだ……!!?」
「…………あ゛っ」
なお、一連の流れの中で、いつの間にかROUTEさんが『TASさん顔色検定』の受講資格を得ていることが判明したが……キレた彼女の一喝によって有耶無耶になった。
むぅ、照れることなんてないのに……。