はてさて、色々あったけどようやく本格的な遺跡攻略開始である。
前回はTASさんが完全にスピードランしていたため即刻崩壊した遺跡だが、今回はTASさん以外も挑戦しているためその攻略速度は遅め(※当社比)である。
「まぁ、起きている盗掘者さん達は『それで遅いの?』みたいな顔をしていらっしゃるわけなのですが」
「……え、この位置から向こうの表情が見えるのAUTOさん?」
「ええまぁ。私の場合は視力が良いと言うよりは、見る方法の最適化として見えている……という形ですが」
「困った、説明されてもよくわからん」
いやまぁ、遺跡の深部に侵入する前──壁を伝って次の場所に向かう必要性がある場所の時ならば、入り口から続くだだっ広い空間を進まされていたこともあって、待機しているDMさん達を直接見ることも可能だったわけだけど。
今現在、彼らの姿は大きな氷の柱で遮られており通常の手段で見ることはできない。
……つまり、AUTOさんが見ているのは通常の視点とはまた違うもの、ということになるわけで……そりゃまぁ、何かしら別の手段で把握している、というのはわかるけどもさ?
なお、向こう側がこっちの状況を知り得ているのは、偏にDMさんが遺跡内の状況をモニタリングして彼らに伝えているから、だったりする。
なんでそんなことをしているのかって?彼らが気絶しないようにするためですが何か?
「気を失っている者への生命保護が最低限になっている、って気が付かなかったらやらなかっただろうねぇ」
「よもや遺跡攻略前に死にそうになってるとは……いやまぁ、元々どうして向こう側が彼らの生命維持をしてるのか、ってところを思えばそりゃそうだ、としか言いようがないんだけど」
命の危機に怯え、恐怖の声を上げる様を見たいから……みたいな感じだったか。うーん、いい趣味()をお持ちのようで。
分かりやすく邪神なここの主のことを思いつつ、壁の出っ張りをヒョイヒョイ登っていく俺達なのであった。……覚えてて良かった空中二段ジャンプ。
「使いすぎると不機嫌になるのでは?……と考えていましたが、想定通りでしたわね……」
「まさか不可視の叩き落としを使ってくるとは……」
そこはそうやって攻略するんじゃないんだよ、とばかりに叩き落としに掛かってくる向こうの戦略に、なんというか容赦がねぇなと戦慄する俺である。
いやまぁ、邪神らしく人の苦しむ姿を眺め楽しんでいる……というのなら、本来まともに踏破するのすら不可能に近いギミックの数々を軽々越えているのは面白くないだろうなぁ……。
と、予め予測していたからこそなんとかなったものの、そうでなければ底無しの谷底に放り出されてゲームオーバー、だっただろう。
「まぁわかってればなんとでもなるわけだが」
「向こうもまさか、干渉しようとしたら弾かれるだなんて思ってなかっただろうなぁ……」
なお現状の俺達()。
こちらからは干渉できない手段での叩き落とし、という回避も迎撃も不可能なはずのそれは、こっちにCHEATちゃんという同ラインのヤバい生き物が居たことで容易に迎撃可能となっていた。
具体的には、形のないものに形を与えるコードを適用して殴り返した……という形である。
まぁ、流石にCHEATちゃん本人では膂力が足りないので、実際に殴り返したのはROUTEさんだが。
……そのタイミングで脳裏に聞こえてきた『なにそれ!?』の言葉は相変わらず意味不明だが……なんとなく驚いていることだけは感じられたのだった。
「とはいえ、あんまり悠長にはしてられないなぁ。こうなったらあの手この手で妨害してくるだろうし」
「確かに。今は頭上から叩き落とす形だったけど、もっと迎撃し辛い大きさにして横合いから殴る……なんてこともやって来そうだ」
しかし、こうして迎撃に成功してしまうと、向こうとしても躍起になるのは確定的。
MODさんの言う通り、迎撃し辛い状態・大きさに変化させた上で更にタイミングを図って作動させる……くらいはやって来てもおかしくないだろう。
何せこの遺跡は、ある意味彼女の体内のようなもの。
……人間ならともかく、仮にも神の一柱である彼女ならばそれは自身の領域に他ならず、そこで起きることは自在に操作できて然るべきだろう。
ともすれば、今この場で足元を全て剣山にする……みたいなことも可能かもしれない。
『あ、いいですねそれ。あんとしていただきで……』
「まぁ、今さら足元が針山地獄になったところで、それで無様に貫通されてしまうような面々が何処にいるんだ……って話なんだが」
「『これもヨガのちょっとした応用』、とかなんとか言ってできるまでやらされたからな……幾ら穴が空いても治せるあてがあったとしても、あれはちょっとスパルタ過ぎるというか……」
『やだこのひとたちこわい……』
まぁ、例えそんなことをやられても、厳しいTASさんブートキャンプ()を越えてきた俺達には、全くの無意味なのだが。
……そんな感じのことをぼやいたところ、頭に響く悪DMさんの声はどこか困惑したようなものに変化していたのだった。
──うん、これもう(こっちのDMさんがギャグ落ちするのも)時間の問題だな???