うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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山場しかないともはや平地である

『ええい、ならばてんとち、りょうほうからせめるだけのこと!くらえさんどいっちあたっく!!』

「なんの!分身殺法!」<シュバババ

『ふえた!?えちょっ、どれ?!どれがほんもの!!?』

 

 

 ほんのり残念な空気を醸し出し始めた悪DMさんだが、先任のようにはならんぞ……とばかりに多種多様な策を繰り出してくる。

 

 叩き落としに地面変化を加えたものが飛んできた時には、みんなで華麗なステップを踏んで残像を生み出し、対処すべき相手がどれなのかを誤認させ。

 横合いから大風を吹かし、踏ん張る相手を別角度から射出した毒矢で仕留める……というギミックに関しては、地面を畳の如くひっぺがして即席の盾にすることで風も矢も同時に対処し。

 

 

『ええい、ならばこれでどうだ!ふかしのすな、さらにていしぼたんはそんざいせずはこのなかにとじこめる!!』

「なんの!実体化ー!」

「かーらーのー、壁破壊!とりゃー!!」

『それはかいふかおぶじぇくとなんですけどー!!?』

 

 

 前回の時も見せていた、透明・不可触の部屋に閉じ込めた上で遥か上空から触れないけど埋まる砂を降らせる攻撃に関しては、CHEATちゃんによる実体化とROUTEさんの破壊によって対処。

 

 ……なんか『壊せないんですけどそれ!』みたいな声が聞こえた気がしたが、あくまで材質の持つ性質ならばCHEATちゃん相手には無意味、としかいいようがない。

 まぁ、当の本人は「あー!!壊したくないけど壊さないと出られないの理不尽ー!!」とかなんとか、悲鳴と歓喜の混じったなんとも言えない叫び声をあげていたわけだが。

 ……感情の浮き沈みが激しいっすね、今回。

 

 ともあれ、向こうの打ち出してくる対策を悉く打ち砕き、遺跡の内部をひた走る俺達である。

 その姿は流石に本家本元には敵わないものの──複数人TASとしてはわりと見られるモノになっているだろう、というのがなんとなーく察せられるのだった。

 

 

『ふ、ふざけやがって!わたしはじゃしんだぞ!?はるかたいこよりつづくほろびのけしんだぞ!!?にんげんごときがわたしにはむかうなぞ、ふけいにもほどがあるのだぞ!!!?』

「なにか御大層な肩書きを並べ立てている予感。そんなもの汗を拭う紙にもならないのに」

『  』<カッチーン

「……なんか今、不穏な音が聞こえたような?」

 

 

 そんな俺達の様子に、悪DMさんは怒りが最高潮のご様子。

 周囲を震わす声は変わらず理解できないが、それでも『人間如きがぁ!』的な怒りだけははっきりと伝わってくる。

 

 ……まぁ、怒ったからなんだという話なのだが。

 あ、いや。確か難易度の高いゲームをする時は、怒りに燃えている時の方が成功確率が高くなる……みたいな研究結果もあるんだっけ?

 確かに、冷静になるより怒りに満ちている時の方が結果的に攻略できているという経験、少なからず覚えがあるようなないような?

 まぁ、そのパターンの場合勝っても怒りが収まらない……みたいな感じになって、あんまり成功体験としてはカウントされていない感覚もなくはないのだが。

 

 ……そんな風に考えていると、TASさんの放った言葉により周囲の空気に変化が。

 さきほどまでのそれがじりじりとこちらを焦がすものであれば、今のそれはまさしく業火で全てを焼き尽くすかのよう。

 怒りが目に見えるのであれば、それこそ爛々と燃え盛る炎が見えているのだろう……というほどの怒りの波動である。

 

 簡潔に言うと『ぶちギレた』、というか。

 ……そんな感じの空気をこちらに叩き付けて来ている以上、先ほどまでのような生ぬるい攻勢は終わりを告げた、ということで間違いないのかもしれない。

 

 

『よくぞほえた!!!ならばわがぜんりょくをもって、きさまたちをほふりさってくれる!!もうにんげんのくるしむさまをたのしむ、などしらぬ!!!!とにかくきさまたちをころす!!!それだけだ!!!!!』

「こ、言葉はわかりませんけど滅茶苦茶怒ってますぅ!!これ大丈夫なんですかぁ!?」

「ん、これから大丈夫にする」<チョイチョイ

「(手招き?)えっと、私を呼んでるんですかぁ?」

「そう」

 

 

 周囲を震わせる怒声を前に、TASさんは相変わらずである。

 まぁ、今さら怯んでいるのなんてダミ子さんくらいのものであって、他の面々は「やってみろ」とばかりに挑戦的な表情を浮かべていたのだが。

 

 ……え?俺?

 俺は表面に出さないように気張っているだけですが何か?(足をガタガタ震わせながら)

 いや、怖いものは怖いっての。

 

 ともあれ、これからが本番だ……とばかりの空気感の中、眉根を下げテンションも下げているダミ子さんに手招きするTASさん。

 呼ばれた本人はのこのこと彼女の前に歩いていき……、

 

 

「えっとぉ、具体的にどうするつもりなんですぅ?」

「こうする」<グサー

「ほぎゃーっ!!?」

『?!え、なに!?』

 

 

 その側頭部に両手の親指をグサーッ、と突き刺せばあら不思議。

 ダミ子さんはぺかーっと輝いたかと思えば、周囲の雪や氷を暴風と共に巻き込んで行き……。

 

 

「突然のジャンル変更も終盤戦のお約束」<ワクワク

「巨大ロボ扱いされてますですぅ!?」

『なにそれ!!?』

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()は、その肩にTASさんを乗せ、遺跡と対峙することになったのだった。

 ……いやな予感を覚えたCHEATちゃんが顔を真っ青にしたのは余談である。

 

 

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