「昔のゲームとかだとよくあったよね。ジャンル違いのシステムが唐突に挟まる……みたいなの」
「ミニゲームの一種というやつだね。最近では単なるかさ増し扱いされたりして、そこまで喜ばれないこともあるみたいだけど」
『こんなものかさまししないでほしいんだけど!!?』
はてさて、突然巨大化させられたダミ子さんだが、もうこういう事態には慣れっこなのかすぐに行動開始。
TASさんの指示を受けながら、遺跡の壁をごりごりぶち壊しながら進み始めたのだった。
無論、BGMにCHEATちゃんの悲鳴を乗せて、である。
「ノー!!?遺跡がー!!?太古のロマンがー!!?」
『そうですいってやって!!おまえたちにはちもなみだもないのかって!!』
「鬼ー!!悪魔ー!!!TASー!!!!」
「?CHEATは突然どうしたの?単語を並べられても意味がわからない」
「わかってて反応してんだろテメー!!?」
さっぱりさっぱり、とばかりに肩を竦めるTASさんを前に、CHEATちゃんの絶叫は虚しく反響する。
頭の中に反響する悪DMさんの悲鳴も虚しく反響する()。
『うわー!!?やめろやめろばかそこにはひでんのしすてむがー!!?』
「うわー!!?貴重な遺跡がー!?人類の足跡を辿るための欠片がー!?」
「諦めた方が宜しいかと。これからはもうただ蹂躙と破壊があるだけでしょうから」
「そんなー!!!?」
「……俺としては、平然と巨大化して歩いているアイツも大概あれだと思うんだがなぁ」
スパー、と一区切りを入れるようにたばこを燻らせるROUTEさん。
その煙は轟音響く遺跡の中を僅かに曇らせ──けれど視界を埋めるほどではなく、静かに霧散して行ったのだった。
『ひどい……こんなことはゆるされない……もっといろいろよういしてたのに……』
「結局前回と似たような結果に落ち着いた件について」
ゴールである大広間にたどり着き、元の大きさに縮んでいくダミ子さんの肩から飛び降りるTASさん。
その目の前には、不定形かつ不透明な煙のような存在──悪DMさんが、両ひざ(らしき部分)を地面に付いた上で絶望したように項垂れている。
……結局、前回DMさんが仲間に加わった時のような、無惨な蹂躙劇と相成ったわけだが……なんだろう、彼女はそういう星のもとにあるということなのだろうか?
見えないけど滂沱の跡が地面にポツポツ落ちている気がする辺り、なんというか憐れになる感じである。
「それまでにやってたことは結構あれだがな」
「基本は盗掘者相手にやったことなので、印象が悪くなるという感じでもありませんけどね」
なお、ROUTEさんは変わらずタバコを吸いながら、そんなに同情してやる必要もないだろうと冷たい反応。
隣でフォローを入れるAUTOさんの言葉にも懐疑的である。
……まぁ、悪人相手だから何してもいいとか、寧ろ自分が悪でないことを証明するために利用しているだけ、と言い換えてもいいようなモノなのだからさもありなん。
「ええ、その点では最後まで悪人を演じきれないのは減点、ですね」
「おおっと、DMさん?」
『……む?このかんかく、もしかしてわたし……?』
そんなことを話していると、大広間に響いたのはもう一人のDMさんの声。
いつの間にここまでやって来ていたのか、彼女は嘆息を交えつつ俺達の方へと歩いてくる。
……ふむ、この流れは……。
「ええ、貴方の悔しさは我がことのように。──いつか私も味わった屈辱。晴らしたいと願うのはそうおかしな話でもないでしょう」
「……あれ?なんだか不穏な空気ではありませんかぁ?」
「鋭いですね、ダミ子さん。──その通りですよ」
これから起こることに気付いた俺が「あー」と遠い目をする中、話はさくさく進んでいく。
不思議そうな顔(※多分)で同一存在であるDMさんを見上げる悪DMさん。
そんな彼女に微笑みかけた彼女は、そのまま近付いて相手に手を差し出し。
「──ならば、やることはただ一つ。
『……!チガワナイ、ワタシハマケナイ』
「おおっとぉ?」
その手を握ったことにより、二人は目映い光に包まれる。
思わず視界を覆った俺達が、輝きが収まるのを待って再び彼女達を見た時、そこには一人分の影だけがあった。
「話が長い」
「うわぁ」
現れた超存在──
……うん、知ってた。