うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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区切りは大切だよね、って話

『酷い……こんなことは許されぬ……』

「あ、分離した」

 

 

 なんか唐突に合体したかと思えば、これまた唐突に分離したDMさん達である。

 なお、その結果ということなのか、さっきまで単なる幽霊のような半透明さだった悪DMさんは、わりとしっかりとした姿へと変化していた。

 なんなら言葉の方も、こっちが聞き取れるモノへと変化しているくらいである。

 

 

「ああ、それに関しては私と記憶を共有したからですね。……まぁ、結果的にそうなった、というだけなのですが」

「結果的に?」

「あ、そうだ聞くがよい酷いんだぞ(こやつ)!あわよくばあの流れで成仏しないかなー、とか考えてたんだぞ!?」

「結果はこの通り、ですけどね」

 

 

 ……なるほど。

 唐突な融合展開は、それによって増えた自身を消し去ろうとしていたから()だったのか。

 そのまま自身の自我に溶け込むならよし、そうでなくともTASさんが「なにやってんねん」とばかりに殴りに来るだろうから、その流れで消滅させればそれでよし。

 ……みたいな予定だった、ということになるようだ。

 

 まぁ、結果は御覧の通り。

 DMさんの後ろに背後霊の如く引っ付く新しいDMさんが増えた、というだけの状態に収まったのだが。

 

 

「だって勿体ないし……」

『勿体ないって言うた!?この(むすめ)言うに事欠いて勿体ないって宣ったんだけど(わし)?!』

「でしょうねー、としか」

『でしょうねーってなにさ?!』

 

 

 ……で、この度背後霊()となった悪DMさん……めんどくさいし側仕え(スタンド)さんとでも呼ぼうか。

 ともかくこのスタンドさん、DMさんと一時的にも同一化していたせいなのか、さっきまでの邪悪さが鳴りを潜めているような気がする。

 具体的には精神年齢下がったような気がする、というか?

 

 

「まぁ、それは当たり前ですよ。この一年、私の経てきた記憶と悔恨をこれでもかと共有しましたので」

「きおくとかいこん」

「ええ、悔恨です。……今でこそ私、こうして大人しくしていますけど……本質は彼女と同じ、他者を加害せしめる邪なる神の一柱、ですからね」

『……うぅむ、何故か分からぬが(わし)よりカリスマがあるような気がする……一応同一()物のはずなのに……』

 

 

 そんな俺の疑問に、DMさんが妖しげな笑みを交えながら答えてくれる。

 ……どうにも、ここまでに彼女が得てきた経験、というべきモノをスタンドさんに共有した結果、わかりやすい邪神ムーヴではTASさんには一生勝てませんよ、ということを教え込むことに成功したらしい。

 

 まぁ、仮に同化も成仏も失敗したのならスタンドさんの消滅展開はもう二度とやってこないだろうし、後々の脅威の芽を摘んでおくのは対処としては間違っていないだろう。

 ……こうしてこっちが彼女の真の目的を予測した結果、気のせいじゃなければほんのり頬が朱色を帯びてきているが、いかんせん脳内での話なので傍らのスタンドさんは首を傾げていた。

 多分『なんで私、唐突に頬を赤らめておるのか。発情期か?』とかなんとか考えているんだと思われる。

 

 

「……上下関係はしっかりしないといけませんねー」

『あだだだだ!?いだいいだいすっごくいだい!?触れられてもないのに側頭部が万力で締め付けられたかの如くギリギリいだい!?』

「oh……」

 

 

 なお、彼女のその表情が癇に触ったDMさんからのおしおきが暫く続いたが、ある意味自業自得なので耐えてくれとしか言えない俺なのであった。

 

 

 

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『何故(わし)同士で争わねばならぬのか……どうして経験も同期したというのに、向こうの(わし)の方が強い気がするのか……』

「世界一つ分の経験値の差、というやつです」

「単純なスペック差の問題だった」

 

 

 経験とは言っても、記憶だけの共有と実地での動きには如実な差が出るもの……みたいな話というか?

 ともあれ、双方の格付けは済んだようで、すっかりDMさんの左後ろが定位置となったスタンドさんである。

 

 

『というか……なんだそのスタンドというのは。(わし)には■■■■という立派な名前があってだな……』

「聞き取れないですしそもそもそれこっちのDMさんも同じ名前ですし。他人から呼ぶ分には区別を付ける必要があるんですよ」

『むぅ、そんなものか』

 

 

 腕組みをし、小さく唸るスタンドさんに思わず苦笑してしまう俺であった。

 ……しっかし、大分個性が出てきたけど、それでも半透明──表情はよく分からないんだよなぁ、この人(?)。

 まぁ、声色に思いっきり感情が乗ってしまっているため、何を考えているのかは直ぐ様認識できるので問題ないわけだが。

 

 

『えっ、(わし)ってそんなにわかりやすいの?仮にも神なのに?』

「寧ろよく理解してくれる人がいて幸運、と思うべきでは?一種の神官のようなものなのですから」

『神官!そういうのもあるのか』

「ダメ。お兄さんの就職先としては認めません。認めて欲しかったら私に勝つように」

『そういう無理難題を押し付けるのは、主にこっちの役目だと思うのだがー!?』

 

 

 ……ふむ、仲のよろしいことで。

 突然俺の就職先を決めようとする三人に肩を竦めつつ、三人のやり取りを眺める俺なのであった──。

 

 

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