うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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簡単なキャラ紹介

・彼……主人公。基本的にはちゃらんぽらん。TASさんが『デイトレードなんて楽勝』とかなんとか言うものだから、お金だけはいっぱい持ってる。

・彼女……TASさん。いわゆる『トライ&エラー』的な能力を持っているが、説明が難しかったのかよく似た原理の『TAS』を解説に持ち出した結果、職業が『TASさん』になった。
 見た目はおさげが一本だけになったメガほむが一番近い。


競う系統のゲームはまず勝てない

 どんな話にも、出会いの物語というのは存在する。

 それはつまり、俺と自称TASである彼女にも、そういうものがあるということ。

 それは劇的であり、詩的であり、感動的であり……。

 

 

「だけど無意味」

「ぬわー!!今のっていい感じに回想に入って、『そうだね、私達が争う必要なんてないんだよね……』みたいな結果に落ち着くやつじゃねーのー!?」

「……そもそもの話、回想とかムービーとかフレーム的に無駄だから、飛ばすのが普通じゃない?TASなら尚更」

「うわー!ぐうの音も出ない正論!」

 

 

 けれどそれは今語ることではない……とばかりに、彼女は三行半(みくだりはん)を叩き付けてくるのだった。

 いやまぁ、単にゲームで遊んでたら情け容赦なくボコボコにされた、ってだけの話なんだけどね?

 

 

「うう……容赦が無さすぎる……もうちょっと手心を加えてくれたっていいじゃん……」

「寧ろ、なんでTAS相手に手加減なんてものを期待したの?バカなの?」

「うへー、そこまで言わなくてもー。……っていうか今日のキミ、機嫌悪すぎやしなーい?」

「……そんなことはない。私は至って普通」

「またまたー。どー考えても滅茶苦茶不機嫌じゃん?何かあった?お兄さんに話してみ?……あ、もしかして冷蔵庫にプリンでも置きっぱにしてて、それを誰かに食べられたとか?」

「そもそもそんなことにならない……って話は置いとくけど。それでも、そんなことになる余地があるとすれば──潰すから大丈夫」

「ヒェッ」

 

 

 単純な格闘ゲームだと、彼女に逆立ちを強いたとしても勝てない……っていうのは目に見えてるので、みんな大好き『大で乱闘なオールスターゲーム』を、アイテム有りステージ普通(いわゆる終点じゃないやつ)……という、パーティゲーム仕様で遊ぶことにしたのだけれど……。

 

 いやさ、人の投げたモンボの中身、全部トサ◯ントにするの止めてくれない?

 その文句を見越してなのか、こっちが文句を言う前にアイテム出現位置の方を弄りに掛かったことの方にも、マジビビりしたわけだけども。……いや、そんなことできるんかい(汗)

 っていうかその辺触らなかったとしても、こっちが環境キャラ使ってるはずなのに、弱キャラ使って平気でボコボコにしてきたりするんだけども。

 

 この子と格闘ゲームはやっちゃいけない、ってマジで()()()()()()()から、泣きそうになっちゃったよ俺。

 ……まぁ、これをボードゲーに変えたとしても、平気でルーレットとかサイコロの目とかを調整してくるので、対戦しちゃいけないのは別に格闘ゲームだけとは限らないんだけども。

 なんていうか、大人(おとな)げがなさすぎない?

 

 

「……私としては、そうなることがわかってて、それでも挑んでくる貴方の方が意味不明」

「だってさー!!遊びたいじゃん!対戦系が地雷なのは今回でよーくわかったけども!」

「……じゃあ、協力プレイでもする?」

「それはそれで、余りに丁寧な接待プレイされて、俺の存在意義を問われることになるからイヤだー!」

私にどうしろと……((;´・ω・))

 

 

 こちらの言葉に、思わず困惑した空気を滲ませる少女だが……想像してみてほしい。

 

 例えばゾンビが襲い掛かってくるガンシューを、彼女と一緒にやったとして。

 目にも止まらぬスピードで、単なるハンドガンのはずのモノを連射するものだから、実質的にマシンガンを使っているのとさほど変わらない状態になっている──なんて相方がいる場合、こちらがどういう気分になるのかを。

 そりゃもう、『あれ?俺って必要?』って気持ちが湧き続けること請け合いである。

 

 って言うかですね?この子と一緒に協力プレイすると、本来確率制御されてるようなもの(例:クリティカル率やアイテムドロップ率など)が全部、確定(100%)もしくは回避(0%)に完全収束するんですよ。

 だから、例えばベルトアクションゲームなら、常に回復アイテムがドロップするので死ぬ余地が無かったり、回避率が設定されているゲームなら、敵の攻撃が全然当たらなくなったり。

 最早チート使っている状態と、さほど変わらないことになってるんですよ。

 

 あれだよあれ、最近流行りの長文タイトルで言うんなら『TASさんに溺愛され過ぎてヤバい~たまたま拾った女の子がTASさんだったので、乱数調整で武器も防具も無しに素手で魔王をボコボコにできたけど……俺の存在意義ってなに?この子一人で良くない?~』だよ!

 

 

「思い上がりも甚だしい。貴方はほっとくとすぐ死にそうになるから、()()()()()()TASとしての精度を上げるのに丁度いいってだけ」

「遠回しにスペ◯ンカーかなにかと同じ扱いになってる!?」

 

 

 なお、その言葉を受けた少女はと言えば、微妙に嫌そうな顔をしながら、こちらを虚弱体質(段差から降りただけで死ぬ)扱いしてくるのだった。……解せぬ。

 

 

「……ん?そのノリだと……もしかして、何処ぞのすぐ死ぬ吸血鬼さんとこみたいに、俺のとこにも色んなヤベー人達が集まってくるフラグなのでは……?」

「それに気付くとは……お兄さんは時々鋭い」

「……あれー?冗談のつもりだったんだけど、もしかして変なフラグ踏んだ感じかなこれー?」

「大丈夫。最初から踏ませるつもりだった。お兄さんの台詞が最後の鍵」

「俺そのものが盛大なフラグだった……!?」

 

 

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