「というわけで、CHEATちゃん改造計画を開始しまーす」
「えっなにいきなりなに????」
「可哀想なほどに困惑していらっしゃいますわね……」
ライバルがあのままだと張り合いがない──。
要約するとそんな感じのことを言ったTASさんにより、突如始まったCHEATちゃんブートキャンプ。
……どっちかというと
ともあれ、最近意気消沈気味のCHEATちゃんに、ここらで一発気合いを入れ直そう──、みたいな意図も含まれているこの集まり。
それに突然巻き込まれた形となるCHEATちゃんはと言うと、盛大に困惑した顔をこちらに見せ続けていたのだった。
「いやでっかいお世話なんですけど……ほっといて欲しいんですけど……」
「それはできない相談。折角得たおも……ライバルをこんなところで失うわけにはいかない」
「おい待てこらテメェ、今なにを口走ろうとした?」
「
「オイコラァッ!!コッチヲミロテメェッ!!」
「うるさい」
「イッタイメガァッ!!?」
まぁ、変にウザ絡みされてるようなモノなので、さもありなん。……有無を言わさぬTASさんによる目潰しを喰らって、奇っ怪な声を挙げた辺りで諦めたみたいだが。
そんなわけで、CHEATちゃんに持たされたのは一つの機械。
「……なにこれ?」
「ポケットコンピューター、略してポケコン」
「……どうにも危うさを感じる呼び方ですわね」
見た目の大きさ的には、最近の携帯ゲーム機に近いと言えなくもない。
が、その実これはゲーム機ではない。
その正式名称は『ポケットコンピューター』、ちょっと昔に機械系の学校などで使われていた、プログラムを覚えるための教材の一つである。
「いやまぁ、正確にはポケットに入るコンピューターってことで、今あるパソコンのロースペック版……って感じの意味合いの方が強かったみたいだけど」
「話によれば、これを使ってプログラミングをしていた、とか?」
いやまぁ、俺達も又聞きなのでよくは知らんのだが。
ただ、今より十年以上前、まだパソコンとかが手軽に手に入れられなかった時代、今で言う○padみたいなものとして、一部の授業に使われていたのだとかなんとか。
……おいこらそこ、「うっそだぁ」って顔しない。実際にこれ使って勉強してた人から怒られるぞ?
「いやでも、なにこれ……画面ちっちゃいし白黒だし……」
「関数電卓が凄くなったもの、という解釈でも正しいから仕方ない。それと、組んだプログラムはケーブルを通してパソコンに送る、と言うのが一般的」
「それ最初からパソコン使った方が良くない!?」
「だから最初に言ってる。パソコンの普及率が低い時代のモノ、だって」
「……あー」
TASさんの言う通り、本来このポケコンと言うものは、当時に出た他のモノと比較して安価だった、というのが一番の特徴である。
今でこそゲーム機でもプログラミングができたりするが、当時のゲーム機にそんな機能はない。……TASさんの話は今はNGで。
ともあれ、ゲーム機と同じくらいの価格帯で、ちょっとしたプログラミングができるポケコンというのは、授業のような『多数の人間が同じモノを使って』受けるものに使うのに、丁度良かったのである。
とはいえ、あくまでも
現代であれば、それこそスマホでほとんどの機能を代用できなくもない以上、時代の遺物として消え去っていくのが定め、みたいなものになるはずなのだが……?
「ポイントは、これがプログラミングに特化しているということ」
「……どういうこと?」
「スマホみたいなものは、結局のところ
「うっそだぁ。……え、マジで言ってる?」
ついつい裏の顔が出てしまっているCHEATちゃんの疑問だが──概ね正解。
先程、ポケコンとは『ポケットコンピューター』であり、関数電卓の上位版みたいなもの、ということを述べたと思う。
ポケコンがポケットに入る、と述べながらわりと大きい理由はそこにある。スマホのようなタッチパネルではないので、
これがなにを意味するのかと言うと──咄嗟にプログラムを組もうとする場合、スマホなどの場合はそれ用のアプリを開く必要性があるが、ポケコンは電源を入れればほぼすぐにプログラムが組める、ということ。
関数電卓としての機能を持つため、プログラミングに関数が必要な場合、かなり容易にそれを入力できるということ、である。
「……???」
「複素数、というものがある。虚数iを含む式で表される数字。これは、線分上に平面を作ることができる、ということでプログラムなんかに重宝される存在」
「…………?????」
「わからない、という顔をされていらっしゃいますわね……」
まぁ、高校の数学の範囲だからね、これ。
というわけで、次回はちょっとした数学のお勉強からスタートです。……いや?嫌でもヤるんだよぉ!!