うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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あのジングルベルが聞こえるか

「しかし……こうなるとそろそろあれの心配をしなくちゃだなぁ」

『あれ?あれとはなんだ?何の心配をしておる?』

「何って……クリスマスですよ、クリスマス」

『ああ……どこぞの聖者の生誕を祝うとかいうあの』

「その意味合いで祝ってる日本人なんて一割もいないでしょうけどね」

 

 

 はてさて、すっかり気温も低く……低くなってるかなぁ?

 なんかたまーにオメー春か秋かよ、みたいな気温になってるような気がしないでもないけど、暦の上では冬……今年も残すところ二ヶ月ほど。

 そうなると、必然的に気になってくるのが例の日──そう、クリスマス。

 

 世間一般的には精々お祝いをするくらいのモノでしかないが、俺達にとっては少々意味合いが違う。

 何がどう違うのかと言えば、その日になるとやって来る可能性のある存在に問題があった。

 

 

『その日にやって来る存在……?』

「ええまぁ、隠す必要もないのでぶっちゃけますとサンタクロースなんですけどね?」

『ああ、件の日に子供にプレゼントを配って回るなどという、正気を疑うあの……なんだ、あの()の子がそれを捕らえよう、などと張り切ったりでもするのか?』

「いえいえそんなまさか。単に空を飛んでプレゼントを配る、ってだけなら今のTASさんが真似することなんて造作もないですし」

『捕まえる意味がない、というだけのことをそうまで遠回しに言えるのはある意味才能だのう……となると、何が問題なのだ?』

「まぁ、端的に言いますと滅ぶんですよね、世界」

『……すまん、よく聞こえんかった。もう一度言うてくれんか?』

「滅びます。サンタが来ると、この世界が」

『邪神たる(わし)の前で言うことかそれ???』

 

 

 少なからず危険度はこっちの方が高いはずだがなぁ、と唸るスタンドさんだが、その辺りはまぁなんというか……滅亡方式の違いというかなんというか。

 そんな感じのことを呟けば、『いや、そもそもサンタのせいで滅ぶってどういうことだ?』などと至極当たり前のことを聞き返されることになったのだった。

 

 

 

・A・

 

 

 

『ふぅむ、他所の世界の、のぅ?』

「本当ならもう大丈夫のはずだったんですけどねー」

 

 

 改めて、こちらが警戒しているサンタというのがどういう存在なのか、ということを語った俺である。

 ……そのルーツを他所の世界に持つかのサンタは、そもそもその存在自体が世界を歪めうる特異点となっている。

 そのため、何度も何度もやって来られると因果やら何やらが歪みかねないということで、立ち入りを禁じる策を幾つも講じていたのだが……なんというか、向こうのスペックが意外と高いこと・およびこちらで起きている色んな事象との兼ね合いで、どうにもうまく行っていない感じなのであった。

 

 

『確か──一番最初の策があの女の子……ダミ子とか言う奴の見た目、だったか?』

「ええまぁ。正確にはゲストキャラのスロットの専有、みたいな感じですけど」

 

 

 まず一つ目の策である、ダミ子さんによるスロットの専有。

 ……なのだが、これが初っぱなから失敗していた。いやまぁ、正確には効果はあったのだ。あった上で向こうの方が一枚上手だったというだけで。

 

 ……あのサンタさんがダミ子さんの成立後にやってこれたのは、彼女自身のスペック・ビーコンとなり得るアイテム・そして俺達の認知に影響を与える不可思議な存在の三種が揃っていたからこそ。

 どれか一つでは足りておらず、さりとて二つ揃えてもまだ足りない。

 三つ揃えたのと()()()()()()()()がなくては、サンタさんの降臨は起こり得なかった。

 

 そういう意味で、ダミ子さんによる専有はとても効果があった、というわけである。

 

 

『ふむ、となると問題なのは……』

「サンタさん自身のスペックの高さ、ですね。とは言っても、これも時期による増減があるわけですが」

 

 

 二つ目の策……というと語弊があるが、サンタさんがこちらに現れない理由の一つではあるので紹介するとして。

 サンタクロースが一番力を増すのは、やはりその活動タイミング──クリスマスの日である。

 正確にはその一週間前くらいから、その次の日くらいまではサンタとしての力を使用できる、みたいな話になるらしいが……言い換えると、それ以外の日におけるサンタはただの人でしかない、ということになる。

 元々世界を越えるために必要なエネルギーは大きく、それを妨害含めて突破できるほど賄えるようになるのはサンタと言えどクリスマス付近の時のみ。

 

 ゆえに、平時においてサンタを警戒する必要性はまったくない、ということになっていたわけである。

 

 

『いやまぁ、随分と意味のわからんことを言っている気はするがな。サンタが危ない、みたいな感じと言うか』

「まぁ、それは今さらなので……それから三つ目、これはそっちの方がよく知ってますかね」

『む?』

 

 

 はてさて、理由の三つ目──本来なら無事に果たされ、二度とサンタの恐怖に怯える必要はなくなっていたはずのもの。

 それがなんなのかと言えば、それは目の前の──スタンドさんに深く関わりがある事象、ということになる。

 

 

「邪神としての性質の霧散。DMさんは長い間単なるロボメイドとして生活していたことにより、邪神としての属性をほぼ失いかけていました。それにより、この世界に存在する神秘に属する存在は忘れ去られ、結果として他所の世界の神秘であるサンタを受け入れる土壌も失われるはずだった……」

『…………んん???』

 

 

 それは、DMさんの属性。

 彼女が邪神としてある限り、この世界に神秘を受け入れる土壌が残り続ける。

 それを払拭するため、彼女はロボメイドというあり方を受け入れていたのだった……。

 

 ……一応言っておくけど、冗談ではないぞ?本筋ではなかっただろうけど。

 

 

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