『あーすまん。もう一度言って貰えるか?』
「大雑把に言うと、魔物とか天使とか邪神とか、そういう見るからに神秘の側の存在が分かりやすく自身をアピールしてるととても宜しくない、ってわけですね」
『聞き間違いじゃなかった……!?』
え、つまり最近の
……みたいな感じで戦慄してらっしゃるスタンドさんだが、御安心下さい単なる偶然です。
いやまぁ、単なる背後霊にでもなってくれてた方が都合が良い、ってのは間違いじゃないんですけどね?
「少なくとも、本来なら自然消滅に近い形で消えていたはずの『神秘の側の土壌』は、スタンドさんとの交流如何によって再び励起──土壌繋がりで掘り起こされた形になった、というのは間違いないでしょうし」
『じゃあ、TAS側のその辺りを仕掛けた可能性は』
「ゼロじゃないですけど、正直これに関してはそこまで気にして動いているとは思えませんね」
『む?』
「DMさんの加入イベント再び、って時点でその辺りが励起されるのは目に見えてましたので」
ただまぁ、これに関しては最後の一押しになったというだけであって、そこまで重要視されていたわけでもない。
確かに、スタンドさんの加入が本来ギリギリサンタさんの侵入を防ぐはずだった壁を一ミリ削った、みたいなことになっているのは確かだけど、だからといってスタンドさんを滅ぼしに掛かるようなつもりは一切なかっただろうし。
『そりゃまた、何故に?』
「そりゃ勿論、スタンドさんももう仲間だからですよ。出会う時点でパーティに加えるつもりだった、とも言えますが」
『──やはり見ているスケールが違うのぅ、あやつは』
はぁ、とため息を吐くスタンドさんである。
……実際、TASさんにどうにかするつもりがあったのなら、そもそも俺達はスタンドさんと出会うことすらなかったはずだ。
彼女の能力はそれを可能にするだけの力がある。……具体的には、スタンドさんが現れないルートだって選べたはず、というか。
つまり、こうして顔を突き合わせて話をしている時点で、TASさんはその辺りの問題を認識していたということ。
そうして認識した上で、それでもなお今のルートが良いと判別したということ。
なので、スタンドさんが気にする必要はないというわけなのである。
……まぁ、本人に言ったら『気にしとらんし。寧ろスペック云々に関わってないか心配だっただけだし』とか言い出すのだろうが。
『ふん……いや待った、今雰囲気に流されそうになったが、
「いやだって、それに関しては単にスタンドさんが弱
『のわーっ!!手が滑った!!』
「ぐえっ」
なお、スタンドさんはごまかされなかった。
そのままスルーしてくれれば良かったのに……。
「まぁ、さっきはああ言いましたが、本当ならサンタさんのことを気にする必要はないんですよ」
『ほう、それは何故だ?』
「わざわざこっちにる理由が無いですからね。散々貴方はこちらの世界にとって危険なのです、って言い含めてましたし」
さて、顔面に空き缶が突き刺さったりもしたが話を続けると。
ここまであれこれ言ったものの、その実サンタさんの到来を気にする必要性はほぼない。
何故かと言えば、向こうにこちらへとやって来る理由がないため。
前回彼女がこちらにやってきたのは、こっちに放置される形となっていたサンタ袋の回収のためであり、それを成し遂げた以上はこちらに用事なんてないはず。
ゆえに、サンタさんの来訪に怯える必要などない、という話になるはずだった……
『……何故に今、不穏な話の引きをした?』
「ところで話は変わりますがスタンドさん。貴方ニュースとかは見る方でして?」
『は?突然何を……いやまぁ、あっちの
「じゃあ、三日前に流れたニュース、知ってます?」
『三日前に流れたニュース?……ええと、なんだったか……って、あ』
こちらの物言いに身構えるスタンドさんだが、返ってきた質問に怪訝そうな顔をしながら思考の海に潜り……直ぐ様それに気付いたらしく、間抜けな声を上げたのだった。
……三日前、世間に流れたニュースの一つ。
それは、扱いとしてはそう大きなものではなく、けれどこの時期的には少々目を惹くもの。
──この地球から遠く離れた二百億光年先。
そこに、
時期ゆえに『サンタクロース』と『クリスマス』の名前を与えられたその双子星は、他でもないダミ子さんの影響を色濃く受けたもの。
それに世間一般的な方面から名付けがされたことにより──、
「今やあの星はサンタエネルギーを大放出する場所と成り果てた。そうなると寧ろサンタがやってこない方が不思議」<ニュッ
『サンタ……エネルギー……???』
突如現れたTASさんと、その口から語られた未知のエネルギー。
その二つによる精神攻撃を受けたスタンドさんは、暫く虚空を見詰めるような表情を浮かべていたのだった……。