「しかし、ダミ子さんの性質……特性?というのもよくわかりませんわね。この辺りで一度、纏めておいた方が宜しいのでは?」
というAUTOさんの一声により、急遽ダミ子究極解説の時間が始まったのだった。……なんだこの子供向け雑誌みたいなノリ?
「じゃあとりあえず、基本情報から。ダミ子はその名前の通り、ダミーデータと深い関わりを持つ存在。ここで言うダミーデータと言うのは、未だ世界に形の無いもの・概念だけ存在するモノ達の集積地でもある」
「わりと壮大な話になってきたな……」
ともかく、TASさんの言によればダミ子さんがその拠り所としているダミーデータと言うのは、いわゆるダークマター……確認されていないが確実に
……こういうとなんだか凄そうだが、彼女はそれを操れるわけではなくあくまでも参照するだけ。
ゆえにそこまで大層なことはできな……え?参照を観測と見なし、その結果見るという干渉を行っていると判断されてダミーデータ達に
まぁほら、その辺りは不可逆というか、やろうと思ってやったことではないらしいので……。
「実在を確かめられないものは、どれだけ提唱しても形を持てない。それは言い換えると、誰しもが
「なるほど、ダミ子さんとダミーデータの繋がりを主張したことで、必然的に全てのダミーデータはダミ子さんとの繋がりを得た……と強弁を振るうことができる、というわけですわね」
「そういうこと」
主張の強い方が勝つ、みたいな話というか。
ダミーデータは本来見ることも触れることもできない概念。
それゆえ、強く主張したもの・かつそれが見えるものの主張を嘘だと断じることが、少なくとも他者からはできない。
それゆえ、結果として声の強い方が影響がある……みたいなことになるのだそうだ。
まぁ、その結果起きることが『ダミーデータの参照時、それがダミ子さんの姿を基本にしたものとなる』って辺り、余り意味のある話だとも思えな……いや、よく考えたら今回の話が終わってもずっと残り続ける火種ってやつだなこれ?
「あー、ダミ子のそれはサンタのそれだから、その姿が使われ続ける以上向こうが口を挟む理由になり続けるってやつか」
「
二人の言う通り、ダミ子さんのその姿はサンタの到来を防ぐためのもの。
また、そこから姿を切り替えるとなると一度ダミーデータとの繋がりを切る必要性があり、もう一度繋いだ時にどうなるかがわからない……みたいな部分もある。
何せ彼女の今の姿は、以前の彼女の姿がわからなくなってしまったからこそ、仮の波止場として定めたもの。
そこから離れるというのは、つまり大波の中に漕ぎ出すことに等しいのだ。
実際にやるとなれば、きっとTASさんのことだから安定はさせる(というか、安定しないのならやらない)だろうけど……その結果として今ここにいるダミ子さんの記憶ごと消えて新たな人物になる、という可能性も考慮しなければならない。
要するに、リスクが大きすぎるため彼女の姿は変えられない、というわけだ。
だがその結果、彼女の姿がサンタのそれと同一である、という状況は変化させられないものということになる。
サンタさんがこちらに来るのはリスクの塊なのでそれを防ぎたいが、そのための要石自体がその理由となっている。
だがしかし、そこ要石を別のモノに変化させることはできない……。
結果、サンタさんはリスクとして残り続けてしまう、という事態に陥るのであった。
「まぁ、本来ならそれでも問題はなかった。ダミ子のダミーデータ専有はそれなりに強い。本来なら相手が神でも問題はなかった」
「サンタだから無理だった、と?」
「正確には、特定の日だけ価値の跳ね上がる存在。全体的な出力は押さえられても、特化したエネルギーには無理矢理突破される可能性は否定できない」
ただそれも、本来なら問題ではなかったのだという。
そもそもにその存在を置いておくためのスペースから潰しに掛かっているから、相手がどれほど強大であれそれを使うための空間が足りない、ということで防ぎきれたはずだのだとか。
わかりやすく言うと、満員のエレベーターのようなもの……みたいな?
こっちの世界に来るにはエレベーターに乗る必要があるが、現状そのエレベーターはダミ子さんで満席になっており、他の人が無理に乗り込むと重量制限で追い出される……みたいな。
どっこい、サンタさんはその枷を無理矢理突破できる理屈を持っていた。
それが、TASさんが今述べた一転特化の突破力。
彼女のそれは、言うなれば緊急時の救急車のようなもの。他の全てに自身を優先させる理屈がある。
それゆえ、ダミ子さんの専有を無理矢理押し通る、という真似ができるのだそうだ。
……え?その理屈だと他の力ある存在もそういうことやれそう?
まぁ、わかりやすさを優先して説明しただけで、実際に突破するには『自身と同じ姿の存在』『現地の不思議存在』『自身の存在力が強くなる時期』などの複数の条件が必要となるため、言うほど誰でもできるわけではないらしいが。
特に『自分と同じ姿の存在』って時点で引っ掛かるし。
今現在存在しない相手は全部
「……そう考えると、本当にサンタだけが鬼門なんだねぇ」
「サンタが鬼門、ってのもあれだけどねぇ」
つまり、どこまで行ってもサンタが問題ってこと。
……最終的な答えに、みんなでため息を吐くことになったのは仕方あるまい。