うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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ついに来たか……聖者よ!

「寒いですねぇ」

「すっかり冬だからなぁ」

 

 

 はてさて、次の日。

 ダミ子さんを伴って買い物に出掛けていた俺は、吐く息がすっかり白くなっていることに感慨深さを感じていた。

 ちょっと前まで本当に秋or冬か?……みたいな気温続きだったことを思えば、こうして息が白くなる程度には寒くなったんだなぁとしみじみ頷いてしまう、というか。

 ……いやまぁ、もう十二月に入ろうというんだから寧ろそうじゃなきゃ困るんだけども。

 

 ともあれ、これだけ寒ければ今日はおでんかすき焼きか……みたいに献立を脳内で組み立てながら、買うものを脳内で列記していく俺である。

 

 

「まずはネギ、ネギはなんにでも使う」

「なるほどネギ。大根とかも必要ですねぇ」

「白菜も必須だろ、糸こんにゃくか普通のこんにゃくかはちょっと相談が必要だけど」

「……?おでんには普通のこんにゃく、すき焼きには糸こんにゃくなんじゃないんですかぁ?」

「甘いなダミ子さん。料理ってのは最終的に旨けりゃいいんだから、どっちかでしか使わないなんてことはないんだよ」

「なるほどぉ、至言ですぅ」

 

 

 実際、場所によって使うこんにゃくが違うこともあるし、それぞれに合う味付けというのもあるだろう。

 基本的にデフォルトのイメージがある食材ってのは、その分味のバランスなどが保証されているとも言えるため、初心者ならば変に変えない方が良いことも多いのだけれど。

 

 ……などと会話しつつ、スーパーに入った俺達は生鮮食品コーナーに向かう。

 野菜の良し悪しを見てから作る料理を決めよう、程度の軽いノリからの行動であったが、それが結果的に()()()()を作り上げたというのであれば、ちょっと失敗したのかもしれない。

 

 ……え?こんな短期間に何が起こったのかって?そりゃ勿論、

 

 

「ほぎゃあああ痴女ですぅうううう」

「痴女呼ばわりはヤメロォ!!」

「うわぁ……」

 

 

 またもや出会ってしまったんだよ、本来出会わないはずの二人が!

 

 

 

Σ;゚□゚)

 

 

 

「まったく……この神聖なるサンタユニフォームを侮辱するとは何事ですかっ」

「……その割に全身を隠せるコートを着てらっしゃるのはどういう了見なので?」

…………((¬H¬;))

「おい???」

 

 

 いや、本人的にもちょっとあれだなー、って思ってる反応やんけそれ。

 ……とまぁ、突如現れたサンタさんを連れて買い物を続ける俺達である。

 いやまぁ、今述べた通りサンタさんは現在例のハレンチサンタ服を大きめのコートで隠してるんだけどね?

 なので、外見からサンタであることを察することはできない、というか。

 

 

「代わりに同じ顔の人が二人、って意味で視線を集めてるけどねー」

「それはそのぉ、仕方がないと言いますかぁ……」

「とりあえずさっさと用事を済ませてくださいっ、こっちの用事はすぐに終わるものじゃないですからっ!」

「えー」

「何がえー、ですかっ!」

 

 

 代わりに別方向に視線を集めているため、少々居心地が悪そうな二人である。

 まぁ、瓜二つの人物が並んでいる、となれば思わず見てしまうのは仕方がない。

 一応、こっちが気にしてることに気付いてじろじろ見られる、ということはなくなったみたいだけど……代わりにチラチラ見られているので逆に気になる羽目になっている、みたいな感じというか。

 

 なお、あくまで見られているのは二人であり、俺には関係ない……とは言えない。

 まぁうん、単純に二人を見た時に周囲が抱く印象というのは、恐らく「美人双子姉妹」とかその辺り。

 となれば、その二人の近くにいる俺がやっかみの視線を受けるのはいつものこと。

 二人への視線が『ちらちら』なら、俺への視線は『ざくざく』だ。刺さってる刺さってる()

 

 ……そういうわけなので、みんな平等に針の筵。

 さっさと帰るために買い物を済ませよう、とアイコンタクトをして三方に別れることになった、というわけである。

 

 

「……いや待ちなさい、よくよく考えたら私貴方達が何を買いに来たのか聞いてないわ!?」

「すき焼きですね、今決めました」

「なるほどすき焼きね……今決めたって言った???」

「ええまぁ。ちょっと奮発しようかなーと」

「はぁ……?」

 

 

 あれだ、ゲストを迎えるのだからある程度贅沢するのも必要じゃないかなー、というか。

 そんな俺の言葉に首を傾げるサンタさんだが、とりあえず疑問を呑み込んで俺から離れていったのだった。

 

 ……で、数分後。

 

 

「モノの見事に物が被ってやがる……」

「カッコ付けて別れて探しに行きましたけどぉ、そりゃまぁ何にも示しあわせてないんですからこうなるのも必然ですぅ」

 

 

 再び集まった俺達は、それぞれが持ち寄った具材を見て思わず天を仰いでいた。

 何故かって?全部被ってた上に何個か足りてなかったからだよ!!

 

 最初に選んだ野菜類はともかく、肉やら卵やら調味料やら、それぞれローテーションでもしたのかと言うほどに被りに被っているのだから堪らない。

 ……こういう時、TASさんなら完璧にこっちの持ってきたモノと違うものを持ってきてくれるんだけどなぁ。

 

 そんなことを思いつつ、仕方なく超過した食材を戻しに行く俺達なのであった……。

 

 

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