うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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何が大切なのかは人によって違う

 はてさて、途中話が別方向に逸れたため後回しになっていたが、改めて何故サンタさんがこっちの世界にやって来たのか、ということを尋ねることになったのだけれど。

 

 

「いやあの、それはえーと……」

「???」

 

 

 ううむ、何やら言い淀んでいる様子。

 一応、ダミ子さんをちらちら見ている辺り彼女に何かある、ということなのだろうが……それがなんなのかまでは、彼女が口に出さない限りわかるわけもないというか?

 いやまぁ、なんとなく予測ができないわけでもないけどね?

 

 

「ほう、その心は?」

「俺の口からはとても。まぁ、消去法というか?」

「ふむ……?」

 

 

 そんな俺の様子を見て、TASさんが声を掛けてくるが……俺の口から言うようなことでもないので、とりあえず黙秘しておく。

 ……というか、俺から聞かなくてもTASさんなら未来視で答えカンニングできるでしょうに。

 

 

「できるけど、するかどうかは別」

「ほう、その心は?」

「それする方がややこしいパターン」

「あー……」

 

 

 なるほど、下手に裏事情を知ってると選択肢が狭まる的な……。

 どこまで行っても短縮に余念のないTASさんに苦笑しつつ、サンタさんがどうするのかを静観することに決めた俺達なのであった……。

 

 

 

・A・

 

 

 

 ──いや、そんな悠長な話でいいのか?

 というツッコミがCHEATちゃんから飛んできたりしたが、そもそもサンタさんが危ないのは彼女がサンタらしいことをした時だけのこと。

 そうでなければ危険度は大幅に下がるので、経過観察をするくらいの余裕はあると答えておいた。

 

 ……まぁ、本当に危なくなったらサンタさん自身がその辺りの機微には気付くだろうから、こっちが警戒しなくても問題はない……みたいな部分も少なからずあるのだが。

 

 

「……じゃあなんであんなに騒いでたんだよ」

「そりゃもう、ダミ子星の話をするなら面倒ごとは倍加するどころの話じゃないからねぇ」

「あー……そういえばあそこって正規ルートじゃないと変な宇宙に繋がるんだったか……」

 

 

 なお、彼女の危険度が下がった一番の理由は、ダミ子星に既に行って帰っていること。

 彼女という存在がダミ子時空に触れることこそが、危険性の最極致だったのである。

 

 サンタさんは異世界の存在、そしてダミ子時空はこの世界ではない謎の空間。

 その二つが合わさると、何が起きるかは分かったものではない。

 ゆえに、本当は彼女をダミ子星に向かわせるという事象すら発生させないのがベストだったのだが……まぁ、それに関してはもう過ぎてしまっていることなので仕方ない。

 

 その上で、現状問題らしい問題が起きていないのならそれでいい……というわけだ。

 いや勿論、良くないといえば良くないんだけども。

 

 

「まぁそんなわけで、とりあえずそっちの話は一先ず後回しってわけ」

「……後から問題が襲ってきた時は?」

「その時はいつも通りTASさんが荒ぶるだけです」

「寧ろ何か起こって欲しい」<ワクワク

「えー……」

 

 

 何せ、こっちはサンタさんに同行できていない。

 同行できていないということは、トラブルの種を認識できていないということ。

 それゆえ、こっちの知らぬ間にトラブルが加速している可能性は否定できないわけで。

 

 ……なので、本来ならばすぐにダミ子星に向かい異変がないか調べるべき、なのだけれど。

 同時にサンタさんをこっちに放置もできないし、かといって連れていくこともできない。

 特に連れていく方に関しては、一度の訪問なら問題なくても二回目はダメ……みたいなパターンの可能性を思えば選びたく無さすぎる選択肢である。

 

 そうなると彼女が帰るのを待つしかない、ということになるのだけれど……今の様子だとそれがいつ頃になるかも分かったものではない。

 なので、今俺達がするべきなのはサンタさんが話をしやすい状況を作ること、ということになるのだけれど……。

 

 

(予測通りなら俺達近くにいない方がいいんだよなぁ)

 

 

 彼女の言い淀んでいることがこっちの予想通りなら、周囲に人がいる方が話し辛いということになる。

 ……だからといって、ここでさっきの話を翻して離れるというのもあれだろう。

 彼女を放置してはいけない、という主張をした舌の根が乾かぬ内に放置すべき、なんて言ったらなんとなく彼女の言いたいことを察してしまうかもしれない。

 

 そうなれば最悪、サンタさんはこの場で暴走を始めるだろう。

 羞恥と後悔から爆発し、結果この世界が滅ぶなんて可能性も──決してゼロではない。

 

 ……大して多いわけでもないとは思うが、微少でも可能性があるのならば警戒するに越したことはない、というのも事実。

 特に、今はTASさんが未来視を控えている状態。

 ……こういう時は割りとやらかすのがTASさんなので、バッドエンドがあるということ自体伝えないのがベストだろう。

 

 つまり、俺がやるべきことは一つ!

 

 

「とりあえず、風呂でも行ってきたら?あ、体型近いだろうからダミ子さんに服を借りるとかいいかも?」

「……喧嘩売ってますか?」

「…………あ、いや売ってない!売ってないからグーは止めてグーは!?」

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()こと!

 ……ってわけで、現状一番自然と二人きりになれる場所として風呂場を思い付いたわけなのだが……。

 ──うん、勧め方をミスったねこれ!(ボコボコにされながら)

 

 

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