うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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謝辞は短め的確に

「酷い目にあった……」

「貴方様にしては、随分と迂闊な物言いでしたわね?」

「他に上手い言い方が思い付かなかったんだよぅ……」

 

 

 夕食の洗い物を片付けながら、隣で皿を拭いているAUTOさんと会話をしている俺。

 内容については、さっきの一幕についてになるわけだが……うん、グーじゃなくてパーになったってだけで、ボッコボコにされたことに変わりはないね!

 ……などと宣いながら、真っ赤になった左頬へと視線を向ける。

 鏡もないのに自分の頬は見えないだろ、ってツッコミは無しで。

 

 まぁ、グーじゃなくてパーになった時点で、こっちの意図は伝わっていたのだろうから問題はないのだが。

 実際、肩を怒らせ進むサンタさんに、ダミ子さんが慌てて付いていく……という形ではあるものの、二人っきりにすることには成功したわけだし。

 ……流石に本当に風呂場に行ったわけではないだろうから、多分家からは出たけど建物の外には出ず、屋上辺りで話してる……とかになるんじゃないかなー。

 

 

「その言い種ですと、彼女が何を目的にここまでやって来たのかを察しているようですが……それは一体なんなのですか?」

「そりゃまぁ、答えなんて一つしか思い付かないよ」

「ふむ……?」

「こっちからすればもう終わった話だけど、向こうからすれば丸一年近く残り続けたものというか、いわゆるしこりってやつだろうからねーあれ」

「……あー、なるほど。そう言われてみれば確かに……」

 

 

 俺の話を聞いて、なんともまぁ、律儀な方ですわね……とAUTOさんはため息を一つ。

 こっちとしても彼女の意見に同意だが、同時に何事にもけじめが必要、というのも確かな話。

 そういう意味で、サンタさんにとっては()()()()()()()はまだ終わってなかった、ということになるのだろう。

 

 ……そう、サンタさんが気にしていたことというのは、去年(という名目の前周回)にこちら側で彼女が起こした騒動──サンタ袋の回収に纏わる話。

 その際にダミ子さんに対して精神的被害を与えてしまったこと、及びそれを謝ることもなしに自身の世界へと逃げ帰るように戻ってしまったこと。

 そして、それらを今の今まで謝れなかったことこそが、彼女の心残りだったというわけである。

 

 

「本来人に夢を与えるモノであるサンタが、他人に苦痛を与えてしまったっていうのが、こっちが思ってるより遥かに重たい話だった……ってことだと思うんだよねぇ」

「なるほど……そう言われてみますと、サンタらしからぬ行動だったと言えなくもないですわね」

 

 

 洗った皿をAUTOさんに手渡し、それを受け取った彼女が水分を拭き取って行く……。

 言葉にしてみればそれだけの話だが、この光景も見る人によっては抱く感想が違うのだろう。

 

 それと話としては似たようなもの。

 何に着目し、何を重要視するのかは人によって違う。

 サンタにとっては他者へと被害を与えてしまったことはとても重く、されど俺達からすればある意味仕方のない話だった、とある種軽い話となる。

 その視点の差は代え難く、ゆえに俺は極力触れないことを選んだ、というだけの話。

 

 なので、俺がこれから願うことといえば、それが別の大きな問題に発展しないように……というくらいのこと。

 ……正直そんなことなるなどということは万に一つもありえないのだが、価値観の違いが軋轢や行き違いを生むことは既に示された通り。

 そのため、謝るはずのサンタさんが何か変なことをしてしまう、という可能性は決して否定しきれる話ではなく……。

 

 

『小難しい話をしておるようだが、そうこうしておる内にあ奴ら戻ってきたぞ?』

「おおっと、じゃあこっちは静観しておきましょうか、とりあえずは」

 

 

 などと唸りながら洗い物を続けていると、横合い()からひょい、と顔を出したスタンドさん。

 彼女の口から伝えられたのは、二人が外から戻ってきたという情報。

 内容が内容だけに下手に触れるのもあれだから、いつも通り・特別じゃない対応を心掛けよう……みたいな心構えをしながら帰って来た二人を待っていた俺は。

 

 

「やっぱりこの人痴女ですぅ~!!!謝りながら渡すものじゃ絶対ないですぅ~!!!」

「ちがっ、待ちなさいってば釈明させなさい釈明を!!ってか貴方あの時滅茶苦茶凹んでなかった!?それと振り回すな!!」

「おおぅ……」<グキッ(首180度回転)

「貴方様っ!?」

 

 

 大声で叫び顔が真っ赤なまま走り回るダミ子さんと、その手に握られた見てはいけないもの。

 それから、そんな彼女を慌てて追い掛ける(こちらも顔が真っ赤な)サンタさんという、何とも言えない珍妙な光景を(一瞬だけ)視界に写す羽目になったのだった。

 ……一瞬だった理由?そんなの今の俺の姿を見れば一目瞭然では?

 

 急にそんなことされると、こっちの対応が間に合わなくなって余計酷いことになるから止めてくれないかなー?

 ……なんてことを思いつつ、隣で慌ててこっちの首を擦るAUTOさんだけを極力見つめる俺なのであった。

 

 

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