うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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サンタフィーバー!貴方もサンタ!(死亡フラグ)

 はてさて、あれがないと帰れない……なんて情けないことを言い出したサンタさんだが、何気に緊急事態である。

 

 

「一応確認するけど、サンタさんがサンタさんらしいことをしなければこっちの世界に悪影響を与えたりしないんだよね?」

「うん、その通り。サンタ技術は現状どこの世界にとってもオーバースペック。下手に浸透するとこっちも人類皆サンタになってしまう」

「人類皆サンタ……」

「字面は大概ギャグだが、皆聖者のようになるということでもあるんだろ?……多様性の消滅まっしぐらだな」

「あ、一応悪い子向けのブラックサンタもいるわよ?」

「……そういう問題じゃないんだが」

「?」

 

 

 いや、こてんと首を傾げられても困るんだが。

 ROUTEさんの言葉に、よく分からないとばかりに小首を傾げるサンタさんに苦笑しつつ……改めて、現状が緊急事態であることを認識しなおす俺達。

 

 サンタ以外の存在が消えてなくなる──許されなくなるともいえるそれは、ある意味サンタによる侵略と言っても過言ではないだろう。

 それだけならば脅威としては薄いようにも思えるが……その実、誰もが『サンタである』ことを前提として動くようになるとなれば、それはとんでもないことだといえる。

 自ずから望んでそうなったのならともかく、世界の空気としてそうであることを強制されるとなれば、それは最早洗脳以外の何物でもないからだ。

 

 

「なによ、私達がおかしいとでも?」

「いやまぁ、そうじゃないけど……でもまぁ、望む望まないに関わらず勝手にそうなる、っていうなら止めない方がおかしいでしょ?」

「それはまぁ……そうだけど」

 

 

 あれだ、他所の世界からサンタさんの世界に行ってサンタになる、なら問題はないのだ。

 今回はサンタの国が『みんなサンタになーれ♪』ってしてくるから、結果として侵略者みたいになっているだけであって。

 ……そういう意味でも、いつぞやかに例えられた『知っただけでヤバい邪神の類い』みたいな物言いも、この場においては間違いではなかったということになるのかもしれない。

 

 

「……おかしいな、これサンタさんの話だよね?」

サンタさん(しんわせいぶつ)の話だね?」

「今ルビがおかしくなかった???」

 

 

 うーん、サンタ正気度が削れる……。

 

 

 

;・A・

 

 

 

 とりあえず、今のサンタさんが行動することでサンタ汚染が発生することはない、ということが確認されたため、そのまま行動開始である。

 

 

「さっさとパスポートを見付けて、サンタさんを送り返すぞー」

「おー」

「……なんだろう、完全に邪魔者扱いされてる気がするぅ……」

 

 

 しくしく、と涙を流すサンタさんの背中を押して、心当たりがありそうな場所を当たり始める俺達。

 時刻は現在午後八時。一部メンバーはうろちょろしていると補導されかねないため家でお留守番だ。

 ……そのまま家に戻しても良かったのだが、無事に事態が収拾したことを確認したいため待っているとのこと。

 なお、夕食後すぐに外に出る形となったため、食後のデザートを待っている可能性が脳裏を過ったが……まぁ、流石にそれはないだろう、多分。

 

 

「貴方、意外と多芸よね。あのホールケーキ、店売りじゃなくて貴方が作ったんでしょ?」

「流石に俺一人でじゃなくて、DMさんも手伝ってましたけどね」

 

 

 ……今日はちょっと奮発してケーキを手作りしたわけだが、だからといってそれを待ってたりはしないだろう。多分。

 

 ついでに今ちょっと話題に出たので触れておくが、DMさんとスタンドさんに関しては今回留守番組である。

 本来なら二人も連れて捜索する予定だったのだけれど……。

 

 

「ん、それは止めた方がいい」

「おおっとTASさん、それはなんで?」

「サンタがこっちに来れるようになった理由の一つに、元々神であるDMの存在がある……みたいなことを言ったけど、その延長」

 

 

 TASさんの言うところによれば、彼女達とサンタさんを同じ場所に長く一緒にいさせるのは宜しくない、とのことであった。

 なんでも、サンタパワーに邪神組二人が染まり、サンタさんがいなくてもサンタ汚染を発生させる汚染源になりかねないとのこと。

 ……じゃあさっきまで同じ場所にいたのはいいのかって話なのだが、どうやらサンタパスポートを持っていないサンタさんは、サンタ存在感とやらが最低値となっているらしい。

 ゆえに、今のサンタさんはサンタであるがサンタとして認められていない、みたいなことになっておりサンタ汚染も極小になっているのだとか。

 

 これがサンタパスポートを見付けた後だと、比べ物にならないくらいにサンタ存在感が跳ね上がり、それに伴ってサンタ汚染力も強力になるとのこと。

 その状態であの二人が近くにいれば、まず間違いなく第二・第三のサンタになるとかなんとか。

 

 なので、見付けたタイミングに同行しないように二人は離しておくべき、という話になるのであった。

 

 

「……俺が聞いてるのはサンタの話なんだよな?放射性汚染物とかの話じゃねぇよな???」

「ROUTEさん落ち着いて……」

「これが落ち着けるかぁ!!?」

 

 

 なお、その結果捜索に付いてくるのがROUTEさん(と、TASさん)だけになるという弊害があったりしたが……まぁ、仕方がなかったというやつである。

 ダミ子さんとか真っ先に弾かれたからね、そうなると唯一の成人組のROUTEさんは外せないからね。

 

 トンチキな話に巻き込まれるのを嫌がっている感のある彼女だが、こういう時真っ先に巻き込まれるのはなんというかあれだなー、と生暖かい笑みを浮かべてしまう俺であった。

 

 

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