うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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これがクリスマスの鍵だ!

「はい、こちらが今日届けられた遺失物一覧になりますね」

「……ざっと見た感じ、パスポートも何個か届いてるみたいだな?」

「この中に貴方のパスポートは存在する?」

「ちょっと待って、私のは裏と表で色が違うから……違うから……???」

 

 

 はてさて、本来奇異な目で見られてもおかしくないはずのところをサンタ干渉()によって乗りきった俺達は、婦警さんが持ってきた遺失物(おとしもの)達を確認していたわけなのだけれど……。

 

 いや、結構多いな落とし物?

 婦警さんの持ってきたのはかごに入った落とし物達だったのだが、そもそも『かご』って時点であれというか。

 ……せいぜいトレイに乗るくらいのイメージだったから、こんもり盛られた落とし物に目が点になったというか……。

 あれだ、師走だからモノを落とす頻度も高い、みたいな?

 

 で、その落とし物の山の中から選り分けて探し物をしているわけなのだけれど……うん、パスポートの落とし物も結構多いでやんの。

 ざっと上を浚っただけでも六個ほど、まだ半分山が残っているので単純計算十二個ものパスポートが落とし物として届けられている、ということになってしまう。

 

 ……いや、それでいいのか落とし主。

 紛失届けを出せば再発行できるとはいえ、こういうものは極力紛失しないように努めるべきものだと思うのだが……。

 とまぁ、落とし主達へのツッコミはともかく、こっちとしては微妙に失せ物探しが難航する結果となっているため、とてもよろしくない。

 

 相手は個人情報の塊みたいなものであること、及びサンタさんの探しているものは外から見ただけではっきりとわかるはずのものであることの二点から、最初は外見だけ確認していたのだが……それが余計に時間の掛かる結果を招いてしまったというか。

 

 

「なんでこう、似たようなカラーばっかりが……」

「パスポートの見た目が固定されている、というのはわりと問題視されていることの一つでしたからね。最近は外見に関しても自由にしても良いのではないか、という議論が交わされているようですよ?」

「よりにもよってこのタイミングで?!」

 

 

 その理由は単純、何故かは知らんがツートンカラーのパスポートが八割以上を占めていたため、である。

 

 婦警さんの言うところによれば、どこの国のパスポートも同じようなカラーリングであることが最近問題視されているとかなんとかで、それに対する返答……問題解決の策として、背表紙や裏表紙などの部分についても複数のパターンから選べるように変化してきているとかなんとか。

 

 正直、カバーがあるのだからそれを使えばいいだけの話のような気もするのだが……まぁ、なにか譲れないものがあるのだろう、多分。

 

 

「おっと海外に行かないやつの発言。基本的にカバーは外して提出するのが基本だから、根本的なデザイン部分が選べるのならそっちの方がありがたい、ってやつは意外と多いんだぜ」

「へー」

 

 

 なお、横合いからROUTEさんによる訂正が入ったのだが……貴方、どっちかというとパスポートとか気にしないタイプの人なのでは?

 みたいなツッコミを小声でしたところ「正規の旅行客に見せ掛けた方がいい時もあるんだよ」とのお答え。

 ……うーん、警察署で話すものではないな、この話題。

 

 ともかく、最近になってようやくパスポートのデザインが選べるような制度が整ってきたとかなんとかで、その先行導入みたいな形で発行されたのが『クリスマスカラー』のパスポートだった、というわけである。

 

 ……ぶっちゃけ背表紙を境に二色に別れてるのってダサ……もとい個性的過ぎると思うのだが、それが逆に良いとかなんとか?

 まぁ、色んな人がそっちのパターンを選び出して、その結果没個性を加速させているきらいがあるのは、皮肉という他ないのだろうが。

 

 それはともかく、その結果としてサンタさんの探すパスポートに良く似たカラーリングのものが散乱する羽目になっているのは問題である。

 一応、中を見ずとも本人が持てば目的のものかどうかを確認することはできるらしいのだけれど……逆に言うと、そのために手に持って数秒把握するための時間を必要としているわけで、地味に()()()()()()()()()()という当初の利点を全潰しする結果になってしまっているというか。

 これじゃあ何分合っても足りないよ、って愚痴りたくなるというか。

 

 ……ともあれ、そうして悪戦苦闘することおよそ数十分。

 中身を確認しないまま、手に持つだけの確認……という、寧ろそっちの方が周りから見た時に不審がられない?みたいなやり方の末、どうにか彼女の持ち物らしきパスポートを発見することに成功。

 

 これにより、ようやくこの警察署からおさらばできる、と色めき立った俺達だったのだが……。

 

 

「……あれ?」

「どうしたのサンタさん?」

「…………これ、私のじゃない」

 

 

 彼女自身がこれだと定め、手に取ったパスポート。

 それを開いて中身を(あらた)めた彼女は、そこに書いてあるものを確認したのち『これは違う』と呆然とした表情をこっちに向けてきたのだった。

 

 ……ええと、どういうこと???

 

 

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