うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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感覚的にはリモコンみたいなもの

「……ええと、チートコード?」

「そう。貴方はCHEATと呼ばれる人。ならば、そこに至る可能性は十分にあると言える」

 

 

 CHEATちゃんは、その名の通りチートを使う人である。

 なにかしらのステータスやら数値やらを書き換えたりすることにより、自身に優位な状況を作り出すタイプの存在。

 それゆえに、本来であればもっと無茶苦茶なことができる存在、ということになるはずなのだ。

 ……いやまぁ、現状では単にTASさんにぼこぼこにされてる人、みたいな印象の方が強いわけなのだが。

 

 

「やかましいわっ。……いやでも、コード入力?みたいなことなら、今でも普通にしてるんだけど……」

「いいえ、それでは足りない……というか、言うほどちゃんと扱えてない」

「!?」

 

 

 無論、そんなことを言えば相手から反論が飛んでくる、というのは普通の話。

 特に、それが自身の得意分野(?)についての話なのだから、私以外の誰がそれに一番詳しいというのか?……みたいなある種傲慢な気持ちを抱くのは、そうおかしな思考ではあるまい。

 

 しかし、そこは我らがTASさん。

 彼女は相手がエキスパート(本職)だろうがなんだろうが、上からモノを言えるタイプの存在である。

 ……いやまぁ、この場合はTAS云々は関係なく、単に未来を見てモノを言っている、というだけの話なのだが。

 

 ともあれ、彼女が視るということに才を持つ存在である以上、そうして視た相手が()()()()()()()()()()()()()()()となれば、それを不満に思ってしまうのも仕方のないことなのだ。

 ──なにせ、彼女の持つ視座からしてみれば、自分という存在を十全に操るというのは、出来て当たり前のことであるがゆえに。

 

 

「ルールに縛られたチートなんて、最早時代遅れ。今の流行りは任意コード実行。──れっつぷろぐらみんぐ」

ヒェッ!?……おおお、お兄さん助けてっ!?」

「はっはっはっ。……諦めてからが本当のスタートですよ?」

「諦めること前提?!」

 

 

 ……なお、彼女が他と比べてもなお超スパルタである、というのも確かな話であるため、その生徒となったCHEATちゃんは初手から最高効率に到達することを求められてしまい、涙目でこちらに助けを求めてくる羽目に陥ったわけなのだが。

 そこで俺に助けを求めてしまう辺り、今のTASさんの勢いがエグいことをまだまだ理解してないなー()……などという、乾いた笑いを彼女に返すことになるのだった。

 

 ははは。活路は死中の栗にありマース。頑張って拾って下サーイ。

 

 

 

・∀・

 

 

 

 真の意味での地獄のブートキャンプ開始により、襟を掴まれ何処かへと引き摺られていくCHEATちゃんからの眼差し(help!)をスルーしつつ。

 現状蚊帳の外、みたいなことになっている俺とAUTOさんはというと、一先ずお茶でも飲んで一息吐こう……と、二人でちゃぶ台を囲うことになるのだった。

 

 

「……大丈夫なので……いえ、随分張り切っていらっしゃいますわね、彼女」

「AUTOさんはもう鍛えようがないから、その分代わりにCHEATちゃんには頑張って貰おう……みたいなこと言ってたからね」

「今ほど自身の体質に感謝した覚えはありませんわ……!!」

 

 

 座って早々、CHEATちゃんの安否を心配した言葉を述べようとしたAUTOさんは、けれどなにかを思ったのかそれを止め、TASさんがいつもにも増して暴走特急と化している……ということに言及。

 その選択は間違いじゃないぞという思いを込めつつ、昨日のTASさんの決意を話せば、彼女は心底安堵したような声を漏らすのだった。

 

 ……AUTOさんはルールさえ明確にされれば、必ずそのルールの中での最高効率を叩き出す、というタイプの存在。

 ルールを弄ったり無視したりするのはてんで向いていないので、TASさん的には指導のしようがないというのは本当の話である。

 そんなことせずとも、ルールが更新されれば普通に付いてくるしね、この人。

 

 

「……この前カードゲームを彼女と一緒にした時は、ソリティアだの無限ループだの、色々酷い言われようでしたわ」

「ルールを最大限活かした結果だからね、仕方ないね」

 

 

 一緒にはやりたくはないが。お願いだから壁とやってて?()

 

 ……壁云々は冗談としても、ちょっと意識を切り替えると最善手が常に手元に舞い込んでくる、なんて状態になるAUTOさんとカードゲームをするのは、正直苦行なんて言葉で片付けられないと思う。

 いやまぁ、それに関しては「詰め将棋」の話をゲーム中にしてしまったのが悪い、ということになるのだとは思うのだが。

 

 

「そうですわね。そういうジャンルだと認識してカードを握ると、自然とそういうゲーム展開になると申しますか……」

「定石通りの相手をどう切り崩すか、みたいな練習にはなるってTASさんは言ってたよ」

 

 

 無論震え声で、だけど。

 ……負け惜しみに近い感じだったので、恐らくあの時の追記は万単位になっていたことだろう。

 

 最初に出てきたライバル?なのにも関わらず、インフレした今のTASさんにもジャンルによっては付いてくる辺り、この人も大概おかしいんだなー……などと思いつつ、お茶を啜る俺なのであった。

 

 ……奥の襖から聞こえる悲鳴についてはスルーで。

 

 

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