うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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サンタが今年もやって来る、貴方の元にもやって来る

「あやうく知らぬ間にこの世界を滅ぼすところだったわ……」

「そういえば、その話で思ったんだけど……向こうのサンタさんの方はその辺り大丈夫なの?」

「基本的に向こうの言葉は世界単位で飛ぶようにしてるから大丈夫。……というか、こっちのサンタ以外でその設定が発動した記録がないから、多分あっちは本当の名前を名乗っていない」

「でしょうね……」

 

 

 帰り道を歩きながら、さっきのサンタについての話をする俺達。

 向こうのサンタが本名を周囲に明かしていない、というところに心当たりの有りそうなサンタさんであったが……そこら辺に触れるとまた長い話になりそうなので華麗にスルーである。

 

 

「長いっつーと、そもそもこいつを送り返す話自体長い気がするんだが……」

「これは必須イベントだから仕方ない。あっちはサブイベ」

「そっかー(思考放棄)」

「ROUTEさんがバカみたいな顔を晒してる……」

 

 

 まぁ、悪役とはいえ基本的に常識人だからなぁ、この人。

 ……下手に同系統の能力持ちでなんとなく理解できる話もあるから、そこら辺触れないようにして巻き込まれないように立ち回っている……みたいな話でもあるような気もするが。

 まさしく『TASを覗くものはTASになる』的な話、というか?

 

 

「今日は貴方と私でWTAS」

「いややらねぇから。ぜっったいやらねぇからな俺は!?」

「それは残念。仕方ないからクリスマス当日には(TAS)一個大隊をお見せする」

なんのために!!?

 

 

 はっはっはっROUTEさん。

 そこでなんのために、とか追求しちゃうの良くないぞー。

 その先はTASだぞー。

 

 ……とまぁ、脇道に逸れた話はそれくらいにして。

 とりあえず、彼女とは別のサンタの脅威……脅威?は去ったわけだけど、そもそもの彼女という脅威は残ったままなわけで。

 

 

「さっきあの人に言ってたけど、サンタさんの方もパスポートなしに戻れたりしないの?」

「あれはあの人と、他の限られたサンタくらいの特権よ。私もまぁ、それなりにサンタとしては偉い方だけど……そういうのができるほどか、と言われるとノーね」

「サンタとして偉くなると時空移動できるようになるのか……」

 

 

 思わず困惑、というか。

 ……やっぱりこっちに『サンタ』として言葉が翻訳されてるだけであって、実態はもっとヤバげな存在だったりしない貴方達??

 下手に言語を聞くとヤバい、って辺りからもやっぱり名状し難いフラグをビンビンに感じるのだが。

 

 

「だから、何度も言ってるけどあれと一緒にするのは止めなさいってば!確かに時々プレゼント渡しに行くこともあるけど、その度口には出さないけど『うわー、凄い格好ねこの人達……』って引いてるんだから!」

「えっ」

「……えっ?」

 

 

 ……うん、この話止めよっか!!

 

 

 

;・A・

 

 

 

 はてさて、手掛かりもなくなり振り出しに戻った俺達は、とりあえず時間が時間なので家に戻ることに。

 帰って来た自宅では他の面々が大人しく居間でテレビを見ながら待っていたが、戻ってきたこちらの姿に一瞬目を輝かせたあと、その背後にいるサンタさんの姿を認めてスンッ……と表情を無にしていたのだった。

 

 

「……私たち(サンタ)に対する反応じゃないと思うんだけど」

「そう思うのならクリスマスだけに来て下さいマジで。……一応確認取っときますけど、パスポート無くしたってのは本当なんですよね?」

「え、何よ今さら。その前提は崩れないでしょ普通」

「そう思うのなら一応確認して下さい。()()()()()()()()()ですよ?」

「はぁ?」

 

 

 まぁ、終わったら戻ってくるという約束だったのだから、あからさまに何も片付いていない状況を見せたらそうもなるわな、という話でしかないのだが。

 

 ……とはいえ、それによってサンタさんの機嫌が斜めになるのであれば、こっちとしても問題である。

 そういうわけで、改めて再度手荷物の確認をするように勧める俺である。

 無論、行く際に予め手荷物を全部ひっくり返して、その中にパスポートがないことは確認済みなのだが……。

 

 

「……?…………!?…………!?!?」

「なるほど、探し方が悪かったんですね」

 

 

 再度ひっくり返した手荷物の中に、燦然と輝くパスポート。

 ……さっきのサンタさんのパスポートはこっちで管理しているため、それによく似た姿のそれはまず間違いなくサンタさん本人の持ち物、ということになる。

 

 無論、さっき探した時は見つからなかったのに、と涙目になるサンタさんが顕現することになるわけだが……こちらとしては首を左右に振るだけのこと。

 ……本当は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、みたいなことまで把握している俺だが、それを彼女に説明するとややこしいことになるので、ここでは彼女を可哀想なモノを見る目で眺めるだけに留めておく。

 

 

「それじゃあ、バイバイ(没収)

「なんなのこの扱いぃぃぃぃぃぃぃぃぃ……」

 

 

 TASさんによって強制起動させられたパスポートは淡い輝きを放ち、サンタさんの真下に真っ黒な穴を出現させる。

 彼女はそのまま重力に従うように、その穴の中へとあっという間に飲み込まれて行ったのだった。

 

 ……なお、一連の流れを唐突にぶつけられた他の面々は、揃って目を点にしていた。

 まぁ、(目の前でこんなことされたら)仕方ないね……。

 

 

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