「今回店長さんを助けたのが初めてじゃなく、同じように何かしら困ったことになっていた他の人達を助けているうちに、ずるずると滞在期間が延びてしまった……ってことであってますよね?」
「まぁ……はい。彼の前は花屋の奥様、その前は浪人生の男性……といった感じで、向こうに戻ろうとする度に……」
「悩みや問題を抱える方と遭遇していたと。……捨て置けるような性格であれば問題も無かったのでしょうが、他者に贈り物をすることが本業であるサンタともなれば、」
「放置なんてできるわけないんですよぅ……そもそもプレゼントの規定的にも問題ないですしぃ……」
頭を抱えて机に突っ伏すサンタさんを前に、ダメだこりゃと肩を竦める俺達一同。
……向こうのサンタさんとは違って、実にサンタらしい性格をしているらしい彼女は、どうにも何かを断るということができないらしい。
結果、ずるずると色んな頼み事を引き受けてしまい、帰るに帰れなくなっていたと。
……それで数年経過している、というのがなんというか救えなさを助長しているが、ともあれそれはそれとしてこちら側で考えるべきことが増えた、というのも間違いあるまい。
(……仮にクリスマスを無事に迎え、店長さんの息子さん夫婦に話を伝え終えたとして。その場で送り返すつもりでもない限り、まず間違いなく他のトラブルに巻き込まれますわよね、この方)
(強制イベントでもないのに半ば強制イベント。私としては早々に送り返したい気分)
(……ああ、スキップ不可のムービーが足付いて歩いているようなもの、ってことか)
おかわりのお茶を取ってきますねぇ……、とサンタさんが席を離れたのを見計らって、ひそひそと会話する俺達。
内容は、このまま彼女の目的に付き合ったとして、それを果たした後についてのこと。
恐らくというかほぼ確実にというか、彼女に全てを任せきりにすると『帰れる』というタイミングで他のトラブルにぶつかる、というのは半ば必然。
で、サンタかつ
どうもサンタの家訓?教訓?社訓?……的なモノから、プレゼントを渡してない相手への奉仕はプレゼントと等価、ということになるらしいし。
──つまり、多重の意味で彼女は困っている人を見捨てられない、と。
……なので、彼女を無事に向こうに送り返すには、それまでに他の『困っている人間』を彼女に見付けさせない……という過程を踏む必要性があるわけで。
(……そうなると、私たちもここでお仕事をさせて頂く、というのが一番なのではないでしょうか?……仕事外での動きも確認しておきたいですし)
(あーうん、終わり際だけ危ないとは断言できないしなぁ)
(サブクエはそこらに転がってる。油断は禁物)
さらに、今は終わり際のことだけ気にしているが、そもそも普通の生活の上でそれらのフラグを踏む可能性が一切ない、とも言いきれない。
何せこの人、他者への奉仕だけで数年ずるずる滞在期間を伸ばしてしまうタイプの人物。
……サンタという生命体がこちらの人間達とは違う法則を纏っていることを思えば、極論飲まず食わずで行動し続けられる可能性も否定はできない。
ほら、子供達の純粋な願いをパワーにー、とかよくある話だし。
──つまり、時間が許すのならあらゆる困り事を抱え込む可能性が高い、ということでもある。
となれば、危険なのは終わり際だけには留まるまい。
昼食……は、恐らく店内で食べるだろうから問題ないが、それ以外──朝と夜、それからその間の移動時間。
これらは全て、彼女に対する罠であると見なす方がいい。
大袈裟な話かもしれないが、実際それくらい気を付けてないと危ないという空気感……気配?がびんびんしているのである。
これは今まで散々不思議ガールズと関わり続けてきた俺だからこその嗅覚……え?他の二人にもそこら辺の把握はできてる?
……おほん。
ともかく、この人が色んな意味で非常に危なっかしいことは確かである。
流石に介助とかは必要ないだろうが、一瞬それが思考に過る程度には……というか。
そういうわけなので、俺達が出した結論はただ一つ。
「クリスマスの終わりまで、うちに居候しましょう」
「……は、はい???」
そう、朝から晩まで徹底的に、彼女を一人になぞさせずに徹底的に管理する。
名付けて『オールウェイズサンタ狂想曲~愛、忘れるくらいがちょうどいいと思います~』作戦!
「……ええと、色々と大丈夫ですか?いいお医者さん紹介しますけど……」
「俺が考えたわけじゃないんだよなぁ……!!」
「えっ」
「短縮とスキップと合成と色々考えた結果、ちゃんとした文字列になったのがこれだけだった。他だと機械言語みたいになって発音できなくなる」
「は、はぁ……?」
……帰ってきたサンタさんにそれを告げたところ、非常に微妙な反応が返ってきたが……しゃーないやんけ、TASさんおすすめとか断る理由がないんだから……。
なお、名付けた当人であるTASさんは若干不満げな様子であった。
ネーミングセンスを気にしないのなら単純に「
正確には『ツルギ』と読めなくもない機械言語らしいんで止めさせたけど!!