うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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日々は慌ただしく過ぎていって

 はてさて、それからクリスマス当日までは(TASさんのリクエストにより)ダイジェストでお送りしよう。

 

 一日目。

 

 

「中華鍋って火力とか鍋を振る力とか、結構面倒臭いって聞くけど……」

「チャーハン作るよ!」

「メテオにはしないでくださいましね」

「大丈夫、フライにする」

そもそも飛ばすなと言っているのですが!?

……変なこと言い合ってるけど、鍋の振りはプロ級だぁ……なんでぇ……?

 

 

 お昼と言えばラーメンと半チャー!

 ……というお決まりがあるわけではないだろうが、実際メニューとして頼まれることが多いのも確かな話。

 

 というわけで、コンロ一つだけで作ってたら到底間に合いません、とTASさんとAUTOさんの二人が並んで鍋を振っているのだが……これがまぁ、実に堂に入っているというか。

 まぁ、なんでもこなせるタイプの二人なので当たり前なのだが、お陰さまで『女学生らしき二人組が鍋を豪快に振るう店』として変な評判になってしまっているわけで。

 

 

「……ほどほどで良かったのでは?」

「何事も全力で、ですわ!」

「流石はAUTO。こうなったら私達で競うしかない」

「いいですわね、失敗したらお笑いものですけど!」

「そんなことはしない。AUTOこそ処理落ちしないように」

「それこそ愚問ですわね!この程度ならば処理落ちの心配など不要!」

 

……あの、なんであの二人は競うように鍋を……?

「うーん、あの二人を並べたのは失敗かもしれん……」

 

 

 結果、昼の客の入りも伸びたため、忙しさにてんてこまいになる……かと思われたのだがご覧の通り。

 この二人が並んで同じ事をやっていて、かつそれが競争になりうるモノであるならばこうなる可能性はあった、と気付けなかった俺の負けである。

 

 五日目。

 

 

「今日の夕食は外食だー、なんて言うから何事かと思ったけど……」

「なるほど、今の仕事場の紹介だったか」

あああああの、なんだか堅気の人とは思えない人が来たのですがががが?!

「ああ、それうちの連れです」

連れぇ!?

 

 

 思いの外長丁場になりそうであったため、ずっと家のことを任せきりするのもなぁ……と、夕食の負担を軽減する意味も込めて他の面々を呼び出したのだが、その結果店内はちょっとしたお祭り騒ぎみたいになっていた。

 

 

……あ、あれ?■■■■ちゃん……?

「違いますぅ!!私はサンタじゃないですぅ!!」

…………あれ?

(あれは寧ろ自分に似ている、と思っている顔だな)

 

 

 まず、サンタさんとダミ子さん。

 既に向こうに帰っている方のサンタさんの見た目を拝借している形となるダミ子さんは、こっちのサンタさんからすると意味のわからないもの一直線の存在のはずだが……うん、最終的に『あれ?この子私の娘なのでは?』みたいな結論に至ったようだ。

 

 こっちとしても初対面の時からなんとなーくダミ子さんに似た空気感を覚えていたため、その辺りの勘違いは然り、といった気分である。

 ……まぁ、あくまでも外面の空気感が近いだけであって、行動面からすると意外とてきぱきしてるサンタさんとは似ても似つかない、なんてことに……。

 

 

「……いや、同じ神話生物的には似てるとも言えるか」

「私のことを外来種のように話すのは止めてくださいぃ~!!」

……し、神話生物……?

 

 

 ……うん、どっちも生き物としてはあれだからお似合いだな!

 

十日目。

 

 

「流石に一週間以上鍋を振っていますと、いささか飽きが来ますわね……」

「あくまでも臨時の戦力だからねぇ、俺達。変に本腰入れるのもあれというか」

「腰?振動すればいい?」

「じゃあ買い出し頼む」

「……むぅ、お兄さんのからかい甲斐が減ってしまった」

 

 

 ひげの配管工かな?

 ……というツッコミはともかく、店内は相変わらず忙しいのでTASさんのボケに素直に付き合っている暇はないのだ。

 なので、もし仮に壁も距離も越えてかっ飛びたいのなら、そのついでに買い物してきてねというのはある種予定調和なのである。

 

 

「予定調和かはともかく、確かに幾つか心もとのない食材があるのは確かですわね」

ええっ、そんなはずは……って、これは!

「え。なになにどうしたのサンタさん」

 

 

 ……冗談のはずだったのだが、なんか不穏な言葉が聞こえたような?

 まさかAUTOさんが見間違えるなんてこともないだろうから、一部の材料が少なくなっているのは確かなのだろう。

 確かに客の出入りは多いが、その辺りを見越して入荷を増やして貰う……みたいなことをサンタさんが言っていたはずなのだが?

 

 なんてことを思っていた俺は、食材置き場から聞こえたサンタさんの言葉に他二人と顔を見合わせ、現場に急行。

 

 

「サンタさん、何があっぐえー!!?

「お兄さんが死んだ!」

「この人でな……いえ本当に人ではありませんわよ!?」

さ、サンタランドに住まうサンタイノシシだ!なんでこんなところに!?

「サンタイノシシ!?」

あ、あれでもちゃんとサンタなんだよ。対象は人以外だけど。……ってあ、だからか

「ご自分だけで納得しないでくださいまし!?」

 

 

 ……急行した結果、サンタ帽を被ったイノシシという珍妙な生き物に吹っ飛ばされる羽目になったのであった。

 いや、サンタって付ければなんでもいいわけじゃない、って俺前もツッコんだよね……?

 

 

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