うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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働かざるもの食うべからず、は聖夜でも変わらず

 はてさて、暴飲暴食の結果所持金ゼロとなり、涙目で皿洗いをする羽目になったダミ子さんは放置するとして。

 夕方が近付いてきたこともあり、火を入れておいたオーブンに七面鳥を突っ込んで行く俺である。

 ……夕食となれば七面鳥が売れることはほぼ確実。

 ゆえに、それを見越して調理を開始したわけだ。

 

 

「うー、そっちも食べたかったですぅ……」

「なんで君は腹ペコキャラが定着してるの?……心配せんでも、賄い扱いで貰って帰る予定だから」

「ひゃっほうですぅ!でも今すぐ食べたい気分もありますぅ!」

「太るzげふぅ!?」

「言っていいことと悪いことがありますぅ!!」

「お二方?遊んでいる暇があるのならば早急に皿をお片付け遊ばせ?」

「ひぃっ!?しっかり仕事しますぅ!!?」

「なんで俺まで怒られる羽目に……」

 

 

 どうにもダミ子さんと関わるとギャグに傾いていけねぇ……ってなわけで、彼女とのつきあい方を考える必要があるかなー、などと思案する俺である。

 まぁ、そうやって考えてることがバレて、「止めてください止めてくださいそういうのはよくないです」って真顔で迫られたりもしたが。

 ……何をそんなに怖がる必要があるのだろう?どっちかというとそういうダミ子さんの態度の方が怖かったのだが。

 

 

「こっちにも色々あるんですぅ……ともかく、洗い物をさっさと片付けましょうですぅ」

「まぁいいけど……言っておくけど、この分だと締めまでずっと洗い物だからな?」

「わかってますですぅ……手が冷たいのは我慢するですぅ……」

「いやお湯使っちゃダメなんて誰も言ってねぇから」

 

 

 私苛められてるんですぅ、みたいな空気感を演出するんじゃないよまったく。

 

 ……米がこびりついて取れない、みたいなことは早々ないのでつけ置き洗いもそこまで必要ではないだろう。

 ざっと洗ってさっと拭いて次に使う、というスピード感が重視されるので、その辺りを言い含めたのち元の位置に戻る俺である。

 

 

「さてと……こっちはこっちで酷いな……」

「確か……鍋を振る時に特定の行動を挟むと調理時間(タイマー)が進まなくなる、でしたか……」

「鍋振りカウントが高速で堪ることにより因果と時間にねじれが生じる。結果、この鍋の上の食材はずっと炒めていても痛まない」<ドヤッ

「いや仮にそうだとしても見られてたら嫌がられるだろそんなもん」

 

 

 調理場の方では、ハッスルするTASさんをちょっと離れた位置から観察するAUTOさん、という光景が見られる。

 どうハッスルしているのかは今述べた通りだが……ともかく、迂闊に外に漏らせないような醜態、とも言えなくはないかもしれない。

 

 いやまぁ、TASさんの言う通りすがりであるならば、調理している間は何の問題もない、ってことになるんだろうけどね?

 でもそれが外から彼女を見た際の印象を是正するものか?……と言われるとノーとしか言いようがないというか。

 

 ……そういうわけなので、仕方なくサンタジャミングのお世話になっている状況である。

 

 

「……そもそも迂闊にサンタ技術とやらを使わせるべきじゃあない、って話じゃなかったか?」

「サンタジャミングに関してはもう散々使われてるから今さら制限したところで意味がない、とかなんとか……」

「欺瞞にもほどがあんだろ……」

 

 

 いやはい、ROUTEさんの仰る通りです……。

 

 

 

・A・

 

 

 

「……で、そうこうしているうちに夕方になり、夕食を食べに来た家族連れで賑わい始めて……」

「それからそう時を置かず、サンタさんが外に出ていったのですよね」

「こっちでは探知できなかったけど……多分困り事センサーに引っ掛かった」

「で、大急ぎで入院中の爺さんをソリに乗っけて戻ってきた、と。……確か疲労骨折って話じゃなかったか、その爺さん」

「ええと、確か……『私のソリは特別製なので、乗っている人がスピードにやられるようなことはないのです』……だっけ?珍しくドヤ顔してたけど」

「自分は誇れずとも自分の道具は誇れるタイプかぁ……」

 

 

 店が繁忙期に入ったにも関わらず、飛び出して行ったサンタさんの追跡は(仕方なく)ダミ子さんに任せた俺達。

 彼女達が戻ってくるまで、張り切って店を切り盛りしようというわけなのだが……早々に、向こうのことが気になって仕方なくなってきた俺達である。

 

 手隙(&見付かっても言い訳が立つ)なのがダミ子さんしかいなかったため、彼女に全てを任せる形になったのだが……実際、それでよかったのだろうか?

 具体的には話がそこで終わらないだろうな、的な部分。

 ……店長さんと息子さん夫婦を引き合わせたらその時点で今回のトラブルは終了、みたいな判定が出そうな気がするというか。

 

 そうなると、サンタさんが次なるトラブルに巻き込まれるのを回避させられるのはダミ子さんだけ、ということになってしまう。

 ……え?そんなに心配なら他の面子を一緒に行かせればよかっただろうって?

 唐突に抜けたサンタさんの穴を埋めるのに必要な人員が多すぎるんだよなぁ……。

 

 

「サンタがサンタの格好をして料理に勤しんでも問題なかったのは、偏にサンタがそういう存在だったから。そうじゃないお兄さんが代わりを務めようとすると、どうしても他からの補助が必要になる」

「要するに穴抜けを埋めようとしてさらに穴が空く、って連鎖に陥ったわけだねぇ」

 

 

 ここにいる面々は、基本的に女性ばかり。

 サンタのおじいさんとして行動していた彼女の代わりをしようとすると、必然俺がやるしかないのである。

 で、その上でさっきの彼女のように動こうとすると、必然TASさんにあれこれ補助して貰わないといけないってことになり、そうなると二人ほど人員に穴が空いてしまうわけで……。

 

 結果、単に遊びに来ていたようなものだったROUTEさんとMODさんも、こうして調理場に立つ羽目になったのである。

 

 

「いいのかなぁ、私がここに立ってても……」

「その辺り突き詰めるとTASさんの時点で大概だから……」

「そもそもサンタの時点であれ、という話ですわ」

「……確かに!」

 

 

 なお、ROUTEさんはTASさんの代わり、MODさんは俺の代わりである。

 ……ROUTEさん側の負担があからさまに多いけど、そうでもしないと回らないんだから仕方ないね!

 なんかすっごい顔してるんで何かしら穴埋めを考えないといけないけど!

 

 

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