「──よし、これで完成!アンチ・サンタ・フィールド……略してSAF!」
「……なんかこう、サンタのソリに使われてそうなネーミングだな」
「は?」
「いや、なんでもない」
世の中なんでも
……とまぁ、どうでもいいツッコミはともかく。
サンタさんの滞在期間中ずっと改造を続けられていたサンタ・パスボートはその姿を変え、新たにサンタを弾き出すアンチ・サンタ・ギミックとして成立したのだった。
生憎原理とかは聞いてもよくわからなかったが……これで、これ以降サンタによる異世界からの侵略を気にする必要はなくなる、ということは間違いあるまい。
「……はっ!?つまり私も今の姿を捨てることがぁ……?!」
「それは不可能」
「なんでぇ!?」
それに付随して、ダミ子さんも長年?のお勤めを終え、見事その見た目を元に戻す日が来た……みたいなノリを発揮していたが、それは無慈悲なTASさんの言葉により瓦解したのだった。
……まぁ、別にTASさんが言わずとも、そのうちそれが無理なことには気付いていたとは思うのだが。
「はいぃ?」
「いや、確かにダミ子さんの今の姿はサンタのそれで、その姿になった理由にはサンタの閉め出しって意味合いもあったけど……それよりなにより、その姿以外まともな見た目が残ってないのと、以前までのダミ子さんのデータの崩壊を防ぐ楔としての役割もあるからそう簡単に元には戻らない、って話もしてたじゃん」
「ついでに言いますと、仮に元に戻すとしても元の姿のデータ自体が紛失している、とも窺いましたが?」
「……ぎゃふん」
「反応に困って鳴き始めたぞこいつ」
現実を突き付けられると無様に吠えることしかできなくなるんだよね、わかるわかる。
さて、どたばたしたクリスマスが終われば、周囲は一気に年末年始ムードである。
「その変わり身の早さには見習うべきところも多い」
「見習うべきかはともかく……確かに、昨日今日での変化の具合には目を見張るものがあるねぇ」
大掃除用の道具だとか、はたまた年末年始の食料の買いだめとか。
そんな感じで色々と入り用のものが多いこともあり、みんなで近くの大型ショッピングモールにやって来た俺達。
そこで、先日まで赤や緑だった飾りつけが、赤や白の飾りつけに変わっていることをしみじみと観察していたわけである。
……言葉にすると一色違いでしかないのに、印象としては全然違うなぁというか?
「カラーリングとしてはそうでも、使ってる小道具とかは全然違うしなー」
「そちらに関しても、大まかな形は意外と似ていたりするのですけれどね」
「あー、しめ縄とリースの違い的な?」
言われて見れば、飾りつけの仕方なんて基本吊るすか置くかしかないのだから、なんとなく似通うのも仕方のない話と言うわけか。
本格的に飾り付けるのならともかく、こういう場所の飾りと言うのはすぐに片付けられるような簡素なものであることが多いのだし。
……などと、
大掃除用の道具としてはほうきやはたき、雑巾やその代わりととなるようなものを。
年末年始の食料の買いだめとしては、日持ちするものやおせちの材料、雑煮用の白菜や固形の餅などを探すわけなのだが……。
「……ごくごく自然に買い集めてしまいましたが、お作りになるんですの?おせち」
「ん?んー……まぁ、一回くらいは作ってみようかなーと。大変そうなら来年以降は普通に出来合いものを買おうかとは思ってるけど」
黒豆数の子、紅白かまぼこに栗きんとん。
昆布巻きや伊達巻、鯛やブリを焼いたもの。
大抵おせちの定番というものは決まっているが、基本的にそれらの調理はそこまで大変、というものは少ない。
元はといえば三が日には仕事を休む……すなわち台所を預かる人達も同じように休むための口実のようなものなのだから、あまり調理が難しいものを含めても仕方ない、みたいな面もなくはないのだろう。
……ただ、これらの調理が簡単だと思えるのは、それが少人数用の場合。
これが大人数相手ともなると、一気に地獄の作業と化すのだ……とか聞いた覚えがある。
特に大変なのが黒豆。長い時間コンロを占領するため、他の調理を思いっきり阻害する意外な曲者だとかなんとか。
とはいえ、それらの苦労も一度体験して見なければ実感はできない。
今年は人も多いので、その苦労を確実に実感できるだろう……という意味合いもあって、試しに作ってみようかと思い至った次第である。
「お肉が食べたい」
「へいへい。チャーシューとか最近のおせちに入ってることも多いみたいだから、それでいいかい?」
「ラーメン食べたい」
「昨日普通に食べてたよね?」
とはいえ、食とはどこまでも食べることこそ本意。
ゆえに食べる人側からリクエストがあれば答えていく次第ではある。……三が日分持つものならある意味なんでもいいわけだしね。
そんなわけで、他の面々にもついでに食べたいものを聞いて、準備をしていく俺なのであった。