うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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片付けとはなんでも捨てることではない

 はてさて、止めてくださいというダミ子さんに免じて未開の園に彼女を放り出すような暴挙は止め、素直に部屋の掃除を始めた俺達。

 

 基本的にはダミ子さんがのんべんだらりとぐーたらしているこの部屋だが、その実態に対して部屋の中はわりと綺麗に片付いていたのだった。

 

 

「まぁ、私が綺麗にしたというわけじゃあないんですけどねぇ……」

「でしょうねー。サンタさんがきっちりしてたとかでしょ?」

「ええまぁ……まるでお母さんのようでしたぁ」

 

 

 それはまたなんというか、見た目的にも完全に親子だったのだろうなぁ、というか。

 

 ……娘さんの方のサンタさんは意外としっかりものそうだったし、真逆に近いダミ子さんは色々と母性とか刺激されていたのかもしれない。

 お世話したくなる気持ちが溢れて止まない……みたいな?

 これ幸い、とあれこれして貰っていたのだろう、ダミ子さんの姿が目に浮かぶようである。

 

 ……で、その後の彼女の動きもなんとなく予想できるというか。

 

 

「大方途中でいたたまれなくなったとか?」

「うぐっ、正解ですぅ……」

 

 

 最初は母親みたいですぅ、と笑っていた彼女も、あまりにも献身的な姿に次第に気まずさの方が上回っていったのだとか。

 ……なので、自分からもある程度手伝うようになり、それを見たサンタさんはニコニコしていたのだとか。

 

 なお、何故そこまでわかったのかというと、彼女の私物の中に見慣れない星形のオーナメントが一つ、紛れ込んでいたからだったりする。

 ……多分、クリスマスプレゼントと称してそれほど意味のないものを渡された、とかなのだろうなぁ。

 

 

「それがクリスマスプレゼントであることは、私にも理解は出来ましたが……何故そんな無意味なものを?」

「相手が本物のサンタだから、って言えばわかる?」

「……なるほど、付与される意味合いの問題だと」

 

 

 なんで無意味なものなのか、もっと言えばこっちのそこら辺のショップで買えるような──実際にその辺で買ったのだろう単なるオーナメントがプレゼントに選ばれたのか。

 その理由を突き詰めると、相手がサンタだからということに尽きる。

 

 ……簡単にいうと、下手に彼女が本気を出してプレゼントをしてしまうと、自動的にサンタクロースとしての力を発揮してのものになるため。

 サンタの影響を可能な限りこの世界から排除、ないしわからないようにしようとしているのにそこで普通に形に残るものを渡してどうするんだ……とも言えるだろうか?

 

 まぁ、その論法だと今まで渡されてきたプレゼントはどうするんだ?

 ……という話になりそうなのでさらに付け加えると、それを渡される相手がダミ子さん──サンタによく似た人物である、というのが重なっちゃぁいけない付随条件になっているわけで。

 言い換えると、このオーナメントもわりとギリギリのプレゼントというわけだ。

 

 そこら辺の話を今の俺の言葉から察したらしいAUTOさんはなるほど、と頷いているが……いや、ダミ子さんはなんでそんな不可解そうな顔をしてるんです?

 

 

「いえその……手伝ってくれて偉いですねぇ、みたいなノリで渡されましたので……」

「子供にあげる駄賃感覚」

 

 

 ……あーうん、軽さという意味では大差ない、ってことで……。

 

 

 

\(・∀・)/

 

 

 

「あとはまぁ、ダミ子さんに任せるとして……次はどこに向かう?」

「でしたら私の部屋に。ここから近いですし、部屋の主の確認を取る必要性もありませんので」

 

 

 微妙にいたたまれなくなり、後の掃除を本人に任せて部屋を出た俺達。

 その足で次の部屋に向かうことにしたのだが……そこで目的地を提案したのがAUTOさんだった。

 

 

「……そういえば、俺が部屋の中を覗いても問題ないのか?」

「それを今更言うんですの?ダミ子さんの部屋は普通に覗いていたではありませんか」

「…………?」

「……そこで首を傾げるから、他の方にあれこれと攻撃されると思うのですけれど」

 

 

 いやだって、年頃の女の子の部屋に立ち入る成年男性、とか犯罪の香りしかしないじゃん。

 んでもってダミ子さんは唯一の同年代、もしくは年上だからその辺り気にする意味が……え?見た目だけなら学生で通る?

 

 まぁともかく、ダミ子さんの部屋に関しては特に遠慮をする必要も見えないため、精々中にいるかどうかノックするくらいだなぁ、という心境の俺である。

 流石に着替えてたりしたら失礼どころの話じゃないんでそこら辺は、ね?

 

 ……なお、その辺りの事情を話したところ、AUTOさんから返ってきたのは呆れたような微妙な表情。

 そんな顔を向けられる理由がわからない俺としては、思わず首を捻る以外の対応を取れないでいたのであったとさ。

 

 

「お兄さんにはデリカシーが……ないわけじゃないのがややこしい」

「ですわねぇ。……いえ、特別扱いされないというのは寧ろ特別な扱いというものなのでは?」

「そこは微妙。私の部屋に来る時も似たようなものだから」

「なるほど家族判定……いえ、それだと私達は家族認定されていない……?」

「人の部屋の襖を勝手に中の人の許可も取らずに開けるような奴ら相手の対応ってだけなんだが???」

「……なるほど、デリカシーが無いのは逆だった、というオチですわね」

「むぅ、AUTOからの視線が生暖かいものに……」

 

 

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