うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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祭なんか遊び場さ

「イベントごとというのは、色々隙が多いもの」

「……普通に聞いたら羽目を外し過ぎて変なことにならないように、って意味に聞こえるんだろうけど……」

「貴女の口から聞くと、全く別の意味に聞こえてしまいますわね……」

「?」

あ、わかってないって顔してる……

 

 

 今の季節は夏、みたいなことを述べたことがあると思う。

 そうなると、この時期にやっているイベントというのは……そう、夏祭りということになるだろう。

 

 ──夏祭り。

 普通の人なら、屋台の食べ物を買ったり、はたまたお面を買ったり盆踊りをしたりして楽しむもの、ということになるわけなのだが。

 こと、これが電脳三人娘(仮称。なんとなく付けた)達相手となると、普通に楽しむのにも一苦労と言うわけで。

 

 

「……いや、一纏めにすんなし。私らそこまで変なことしねーし」

「おう、だったらさっきの的屋での一件を思い出せってんだこんにゃろー」

「「………」」

「……?倒せないのなら一度に何度も当てればいい。常識」

 

 

 露骨に目を逸らしてんじゃねーよTASさん以外の二人。

 ……いやまぁ、普通にこっちを見返して来てるTASさんに関しても、別に問題を起こさなかったってわけではないんだけども。

 

 祭における射的が、例え玉が当たっても的が倒れないようになっている……みたいな話を聞いたことがないだろうか?

 無論、今の情報化社会でそんなことをすれば、あっという間に噂が拡散して酷いことになる、というのは目に見えているわけだが……屋台の裏にはヤクザがいる、みたいな話が事実のまま残っているような場所では、平気でそういう工作をしていることもある。

 

 つまりはまぁ、そういうこと。

 TASさんは未来も視れるので、端から正攻法では倒せないことを知っていたから、瞬時の五連射で無理矢理倒すという方式を取ったし。

 他二人にしても、AUTOさんはその能力で()()()()()()()()()()、CHEATちゃんに関しては倒れないという事実をコードで弄って(無敵無効チート)倒すという方法を取り、それぞれが顔を引き攣らせた店主から景品を受け取っていたのだった。

 

 ……え、俺?特に対策もなく普通に射的してたんで、景品とかはゼロですがなにか?

 いやまぁ、そもそも二人がそうやって無理にでも的を倒しに行ったのは、景品獲得数で最下位の人には罰ゲーム……などとTASさんが宣ったからなのだが。

 

 

「ごほうびにしろ罰ゲームにしろ、自分のやったことに反応があると、人は色々頑張れるもの」

「だからって俺を最下位確定にするのは酷くない?」

 

 

 まぁうん、自身のしたことに対して、なにかしらが返ってくる……というのが、人のやる気を良くも悪くも刺激する、というその論理そのものに反論する気はないけれども。

 ……でもこう、君らに本気出されると単なる一般人でしかない俺としては、なんというか手も足もでないのが普通というかですね???

 結果的には俺イジメ以外の何物でもないので、出来れば止めて欲しいなー、というか。

 

 

……?なんか騒がしいですね

「……あー、もしかしてやり過ぎたから?」

「なるほど、巨悪ですわね?成敗致しま……あ痛っ?!」

「ややこしくなるから止めなさい」

 

 

 などと言っていると、周囲が俄に騒がしくなってくる。

 こういう祭の場合、バックにヤクザが居るかも……みたいな話はさっきした通りなので、もしかしたら景品を荒稼ぎしてた俺達に痛い目を見させようとしている、とかなのかもしれない。

 

 いやまぁ、仮に向かってきたところで普通に蹴散らされるだけだとは思うのだが、一度蹴散らしたからといって向こうが諦めるとは限らないわけで。

 そういうのめんどくさいので、出来れば見付かる前にこの場から逃げ出すのが正解、ということになるのだけれど……ダメだねこりゃ、既に囲まれてら。

 

 

「なるほど、囲んでから連絡。理に(かな)ってる」

「言ってる場合かよ……ええと、どうする?」

「三十六計逃げるに如かず、って感じだけど……」

 

 

 なお、TASさんは多分面白さ……もとい困難な方が修行になる的なアレで、多分知っててスルーしてたと思われる。

 なんか裏では能力者達のあれこれが云々、みたいなことを言ってたので、悪役なんて千切っても生えてくる扱いなのかもしれないが。

 それはそれで、どこぞの配管工海外仕様みたいに引っこ抜いては他の人に投げ付けられるヤクザ、なんて不可思議なモノが発生しそうなので止めて欲しいところなのだが。

 

 とりあえず、手薄なところを抜けて帰るべきかなー、なんてことを考えていると。

 

 

「──待てぃ!!」

「……!ナンダテメー!」

「うわぁ典型的三下台詞……ってそうじゃなくて。──お前達に名乗る名前はないっ!──とぅっ!!」

 

 

 周囲に響き渡る、中性的な少年のような声。

 それは、近くの木々の上から響いてきたわけなのだが……そこに立つ何者かは月明かりを背にし、腕組みをしながらこちらを見下ろしていたのだった。

 ……うん、なんかこう正義の味方、みたいな登場の仕方だったため、AUTOさんが目を輝かしていたわけなのだけれど。

 そこからとぅ、と掛け声をあげながら降りてきたのを見て、彼女は更に目を輝かせ始めたのだった。……意外な趣味!

 

 

「治安を乱す悪徳の輩よ、私が相手だ!」

 

 

 AUTOさんはともかく。

 俺達を庇うような位置に降りてきた彼?は、お面を被ったまま周囲のヤクザ達にそう宣言するのだった。

 ……これ、どっちが不審者なんだろうね?

 

 

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