うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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乙女の部屋、それは進入禁止の園(適当)

「そうこう言ってるうちにAUTOさんの部屋まで来ちゃったわけだけど……大丈夫?俺が入ったら即座に放り出されたりしない?」

「どれだけ自身のことを卑下していますの貴方様……」

 

 

 どれだけって……そりゃまぁ、状況だけ見たら世の中の男子達に憎しみで殺されそうなラインと言うか?

 いやまぁ、実態としてはみんな問題児なので役得なんぞなんもないし、役得とかを望もうとするのがそもそも不純なのであれなのだが。

 

 ……とはいえ、問題児の中でも基本的には優等生側に割り振られるAUTOさんに関しては、そういうやっかみを受けても仕方ない感はあるというか。

 

 

「……口説いてるんですの、それ」

捕まるんで勘弁してください

やっぱり貴方様一度捕まった方がよろしいかと

なんでぇ!?

 

 

 いや確かに言い出したの俺だけども。

 などと、なんとも微妙なやり取りを行いつつ部屋の中へ。

 

 彼女が我が家にいる時、かつその中でも居間にいない時という限られたタイミングでしか使われることのないその部屋は、基本的には彼女の荷物置き場として利用されている。

 そのため、内部はほとんどモノのない、いささか殺風景な部屋と化していたのだった。

 

 

「そういう意味では、私の部屋に飾りなどを置いておくのが一番丸い、ということになるのでしょうか?」

「そうかも知れんけど、なんというかこうこの部屋にダンボールとか置くのは憚られるというか……」

「年頃の女子の部屋ってより、ろくに家に戻らない中年男性の部屋って感じになりそうだもんなー」

「……それは……色々と体裁的に嫌ですわね……」

 

 

 そんな殺風景さ・かつモノの少なさは確かに要らないものを置いておく場所としては最適、と言えるのかも知れない。

 だがそれは同時に、この部屋をAUTOさんが利用する機会がますます減るとか、はたまた彼女らしからぬ空間に拍車をかけるとか、そういった負の面も加速させるわけで……。

 その事が言及されると、流石に彼女もこのままは不味い、と思い出したのか少し言い淀んでいたのだった。

 

 ……え?後ろでTASさんが「別に誰かに見せるものでもないのだからいいのでは?」みたいな顔をしている?

 そういう時はスルーしましょう。迂闊に触れると思わぬ攻撃を受けますよ(一敗)

 

 ともかく、年頃の女子校生らしからぬ部屋の内装に疑問を持って欲しい、というこちらの願いは正しく受理されたわけである。

 ……わけなんだけども……。

 

 

「お恥ずかしながら……自身の思うように部屋を整えると、基本こうなってしまうのです」

「……あれ?思ったより話が重大かもしれないぞ?」

 

 

 この状況がよろしくない、ということに理解は及ぶらしいのだが、本人的にはこれでも頑張っている方なのだ、となんとも言い難い返答が。

 予想外の言葉に一瞬驚くが、ここで彼女のあだ名……もとい呼び方を改めて思い出すことに。

 

 ……うん、AUTOさんってばその性質上、ルールに則った行動を自然としてしまう人じゃん。

 で、こういう部屋の飾りつけってそういったルールからは外れたもの──言い換えると必要性の薄いものとも言える。

 

 ってことはつまり、普段通りにしていると自然とミニマリストになってしまうのがAUTOさん……ってことになるのだ。んなアホな。

 

 

「アホとはなんですかアホとは。……一応、こうなるのは部屋の内装についてだけ、ですのよ?」

「なる、ほど?」

 

 

 ……ふむ。

 AUTOさんが言うところによると、例えば普段の私服などに関して適用されるルールというのは、いわゆる『同年代の若者』の思う良いもの……みたいな感じになっているのだとか。

 それも、『それに従うと簡単・ないし楽』みたいな感じであり、逆らおうと思えば逆らうことは可能だと。

 

 これは、服装に伴うルールと言うものが意外と多岐に渡るからだろう、とのこと。

 例えば制服ならば学校や職場のルールに定められるが、私服を規定するようなものは基本存在しない。

 公序良俗に逆らうようなものでなければ大抵の格好は許して貰えるのだから、当たり前といえば当たり前だが。

 

 これが外国になると宗教的・環境的な話から『肌を出してはいけない』となったり、はたまた温度や気候の問題から『特定の服装でなければならない』みたいな制約が掛かることもあるらしい。

 同じノリで日本でも季節による服装の変化、みたいなものは定められているため、それに逆らうような服装を取り辛い……みたいな判定はあるようだ。

 

 それに対して部屋の内装というのは、基本的になんのルールも規範もない。

 強いていうならばいたずらに家を傷付けるものではない、くらいはあるかもしれないが……それ以外は自由。

 基本的に最適解を辿り続けられる彼女にとって、ルールによって定められた最適のない部屋の内装というのは、言ってしまえばかなり面倒な部類に当たるとのことであった。

 

 

「テーマを定めてそれに沿うように、みたいなことはできるのですけれどね。和風にするとか、洋風にするとか」

「逆にいうと、完全に好きにしてと言われると困ると?」

「……ええと、普段の私が私ですので……ルールがないなどと言われると、とんでもないことを始めそうな予感があると申しましょうか……」

「とんでもないこと……???」

 

 

 いや、何をするつもりなんだこの子。

 

 身を捩らせなにやら変なトリップをし始めた彼女に、思わず『この子も大抵問題児だったんやなぁ』などといささか失礼な感想を抱いてしまう俺なのであった……。

 

 

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