「参考までに聞きたいんだけど、仮に本当に何しても怒らないって前提なら何をしようと思ってたの?」
「そうですわね……とりあえず太鼓をお一つ。大きいのを置いておきたいですわね」
「!?」
「頬を赤らめるような話なのかそれって」
人は見掛けによらない……というのとは違うような気もするが、ともかくAUTOさんが部屋を作るのが苦手、ということがわかった俺達は、とりあえずその辺の話は放置することに決めた。
正直扱いきれる話ではないとしか言いようがないので、無念のスルーというわけである。
で、物置云々に関しても今のところ保留。
確かにスペースの有効活用的にはベストだが、そのためにAUTOさんの女子的尊厳まで犠牲にする必要はないだろう……という判断である。
深掘りするとさっきの話に舞い戻るので、終わるまで放置だ。
ってなわけで、さくっと掃除を終わらせ部屋の外に出た俺達は、問題のCHEATちゃんの部屋へと向かっていたのだった。
「いや、最初から思ってたけど普通に失礼じゃね?なんで私の部屋が汚いこと前提なんだよ!?」
「いやまぁ、いわゆる汚部屋だとは思ってないけど……多分一番この家の中で物が多いのは君の部屋、ってのは間違ってないと思うんだけど」
「うぐっ」
さっきのAUTOさんの部屋が『何もない部屋』ならば、その正反対に当たるのがCHEATちゃんの部屋だ。
一人で借りていた配信用の部屋を引き払ってきた彼女は、そこにあった機材やら何やらを全部この家の自身の部屋に設置し直したのである。
まぁ、彼女の職業の一つが
「……でも、そのせいですっかりこっちでもそっちの言動がデフォになったよね」
「人に声小さいだなんだと文句を付けてきてたのはどの口だ?この口だこのヤロー!!」
「あでででで」
なお、そのせいというかおかげというか、CHEATちゃんはすっかり
流石に配信外で例のレトロゲームを左右に浮かしていることは稀だが、派手な髪色のまま行動するのがほとんどである、ということは間違いあるまい。
結果、彼女の言動はすっかりふてぶてしいものに変化してしまった、というわけなのであった。
「まぁ、そのままだとROUTEさんとの口調被りの危機、だったわけだが」
「うっせー。……比較的言動を柔らかめにしたから、なんとなくわかるでしょうが」
まぁ、一時期は彼女だけだった口が悪いキャラが、さらに口の悪いROUTEさんによって塗り替えられてしまったため、一瞬キャラ付けの危機と化したりもしたのだが。
……あれだ、口調の悪い子供とガラの悪い大人の違い、というか。
その辺、流石に昔の地味モードに戻るのは憚られたのか、こうして彼女はちょっと違う方向性の口の悪さを発掘しようとしているわけだけど……ツッコミ過ぎると攻撃されるのでこの辺りにしておこう、ということで。
いい加減、彼女の部屋にもたどり着いたので、本題である大掃除を行っていこうと思う。
「……うーん、やっぱり物が多い……」
「機材以外にも色々と置いていらっしゃるのは、やはり配信でできることを増やす目的、ということですの?」
「それもあるけど、単に改造用に集めたパーツ取り用のやつとかもなくはない……かも」
「なるほど頭の横のゲーム機……」
彼女の部屋の内部は、思った以上に整理整頓されていた。
……いたのだが、それでもなお物が多すぎた。
スチールラックにプラスチックケースで仕分けされたさまざまな物品が転がっているその様は、本人の几帳面な性格が滲み出ていると言っても過言ではない。
それと同時に女の子の部屋って感じがまったくしない。どこの資材置場だここは?
「置かれているものも見方を変えれば部品の山。……まさに資材置場、女子力ゼロの現場ということ」<ドヤッ
「なんでドヤ顔なんだよ……っていうか、別に配信の時はちゃんとしてるからいいんだよぅ」
「カーテンが可愛らしい柄なのは、後ろの武骨すぎる物品達を隠すため……ということですわね」
あとは、配信の時に背景として使う……みたいな?
室内の天井に増設された、部屋を真っ二つに分けるようにして広がるカーテンの意図を理解し、なんというか地味に小賢しいな……とかなんとか思ってしまう俺であった。
というか、見た目が可愛いなら背景が武骨でも問題無さそうだが。ギャップ萌えとかあれで。
「私は萌えで売ってんじゃないの!腕前で売ってるんだからそういうのはノーセンキュー!」
「腕前」<ドッ
「キェーッ!!ワラウンジャネェー!!!」
(久方ぶりの発狂ですわね……)
そんなことを彼女に告げたところ、本人的にはあくまでゲームの腕前で勝負している、という主張が返ってきたのだった。
……TASさんが鼻で笑ったせいで掃除が滞りまくったのは言うまでもない。