「いらない機械は粗大ごみ、それ以外は綺麗に整頓……って感じだけど、元がそんなに散らかってなかったからさっさと終わったのは僥倖だったな……」
「基本的にはワイパーで埃を落とす、位で済みましたものね」
途中大騒ぎしたものの、掃除そのものに大した問題は発生せず。
きっかり一時間ほどでCHEATちゃんの部屋を掃除し終えた俺達は、そのまま次の部屋へと移動。
次なる目的地は最後の臨時部屋・MODさんのところになるのだけど……何故か本人が部屋の前で仁王立ちしていた。
それもこう、なんか沈黙しながら船とか沈没させそうな見た目で。
「……ええと、なにしてるんです?」
「ここから先は進入禁止だ。とっとと帰っておねんねしな」
「…………TASさん」
「へい、通り抜け隠し扉ー」
「ああ止めて!?悪かった私が悪かった謝るから勝手に入るのだけは勘弁してくれないか!?」
その威圧感たるや凄まじいものだったが……所詮は威圧感だけなので問題なし。
……いや、今だと見た目から想定されるスペックくらいは普通に発揮できるんだっけ?まぁどちらにせよTASさんがいるんで関係はないが。
無論、彼女の妨害が正当なものであるならば、こんなことするつもりはなかったのだけれど……どう考えてもなにかしら都合の悪いこと(かつ、バレたら怒られること)を隠しているムーヴだったため、強行突破の姿勢である。
……てなわけで脇を抜けようとしたらMODさんが瓦解した。
なんでもいいけど強面成人男性の姿で泣き付かれてもキモいと言うか怖いだけと言うか。
「酷い!確かに私もこんなむくつけき大男が泣き付いてきたら思わず振り払うけど!」
「言いながら腰にすがりついて動きを阻害するのは止めません?」
暗に駄々っ子かお主は、という意味を込めるも返ってくるのは
…………。
「TASさん、ゴー!」
「一度部屋の扉を蹴破って見たかった(ドロップキックの体勢で高速飛行しながら)」
「あ゛ー!!?」
判決、死刑!
……ってなわけで、最終鬼畜突貫兵器
なお、内部は案の定の汚部屋であった。
「こ れ は ひ ど い」
「何がどうなればこんなことに……」
「いやそのこれには深いわけがあってだね?そもそも私の本職ってスパイだろう?ってことはそもそも本来の家に戻る、みたいなこと自体が数少ないから結果的にこの場所が隠れ家とか中継地点とかそういう扱いになるのは必然的。でそこで食事やら風呂やらもたまに入ってたりするから着替えやら教科書やらもここに置いておいた方が楽なわけで、でも掃除や選択するほど時間があるわけでもないから毎週一回にまとめて終わらせるようにしていて……」
「一つツッコミいいですか?」
「なにかな?」
「年頃の少女が一週間に一度しか洗濯物出さないのどうかと思います」
「ぐはっ!!?」
うん、AUTOさんとは別方向に女子力足りてないというか。
いや、あくまで部屋の内装が下手ってだけの彼女と比べると、あからさまな女子力低下の傾向が見られるMODさんの方が遥かにヤバイと言うか?
そう告げると、彼女は血を吐き出し倒れ伏したのだった。
……うーんこの。
はてさて、死んだMODさんの再起動を待っていては終わらないため、ある程度の大雑把な片付けを他の面々に任せ外で待つことにした俺。
……え?なんで最初から一緒に片付けないのかって?
察せ、汚部屋と言っても相手は女性のそれなんだ。
……つくづく思うのだが、男女は時々互いの感性の違いをあれこれと問題提起するけど、大雑把に見れば大して変わらないことしてないだろうか?
女性だから目こぼしされる部分、男性だから目こぼしされる部分があるというだけで、結局根幹部分は大差ないというか。
まぁ、詳しく語り出すとあれこれ問題になりそうなので、一つだけ。……男性が肌着をほったらかしにしてたら汚いだけだが、同じ事を女性がしてたらそれをみた男性側が責められるの理不尽だと思います(真顔)
「ああまぁ、その辺りは仕方ないねぇ。仕方なさすぎて最近はあれこれ見直されているような気もするけど」
「おっと復活しましたかMODさん」
「何時までも死んでもいられないからね……いやしかし、確かに着替えを多く用意しているとはいえ、洗濯を一週に一度にするのは確かにあれだったね」
「全部無地の白いやつばっかだった、ってTASさんが言ってますけど?」
「そっちの方が色々楽だからね、MOD的に」
「ああなるほど……」
着ている服にMODを適用しているようなもの、というわけか。
……正確には全体ごとまとめて変更される辺り、『服を着ていること』自体が重要視されているだけのようだが……どっちにせよ年頃の女性の部屋から出てくるようなものではない、というのは確かだろう。
「一応ちゃんとした服も持ってるよ?いつぞやか君と一緒に出掛けた時のやつとか」
「逆になんで?あの時確か見た目も違ったでしょうに」
「MODで代用すると脱げないんだよね。全部合わせて一セットだから」
「なるほ……脱ぐ必要性があると?!」
「はははは」
いや、単にあの姿で泳ごうとしたりすると面倒ってだけだけどね、と笑うMODさんであった。