「というわけで、今回の遊びは『チキチキ暴走パズルSOS~TASさんの罠!~』でしたー」
「真っ当な話ではないと途中から気付いてはいましたが……また無駄に凝ったことを……」
そうかな、基本的には普通の落ちものゲーだと思うけど。
いえそれ市販のものじゃないでしょうに。
バレたか。
……そんな感じのやり取りのあと、改めてルール説明。
さっきは意図的に省いていたが、今回勝たないといけないのは
「……だったらさっきのでいいんじゃねーのか?」
「話は最後まで聞きましょう。俺が
「と、言いますと……」
「あの場合勝利条件も引っくり返ってるから
「なんと面倒な……」
感覚的には折り返し型の競争、みたいな感じか。
ただし折り返しの判定は
凄まじいまでのハンデを付けたまま、かつ長い距離を走らされる方は再度同じ距離を走らなければならず。
体力も減ったままであるため、計算式の上では両者同じタイミングにゴールに戻ってくるはずだが……実際にはそうはならないだろう。
つまり、この勝負を勝とうとするとどう足掻いても俺の挙動に注視する必要が出てくるのである。
「最初に
「いや、それ勝負の面で勝つの無理がないかい?」
「そう?じゃあこう言い換えよう。形式が俺を使ってるってだけで、実はこれTASさんからの挑戦状なんだって」
「……なに?」
そしてこの勝負の一番のポイントは、実のところTASさんが俺をコントローラー代わりにしているに等しい、というところ。
言い換えると『君達なんてお兄さん越しでも勝てますよ?』ということである。
「…………」
(さっきとは別方向に空気が歪み始めたな……)
「負けても別に何か不都合があるわけでもない。にも関わらず私からの挑戦を避ける人なんていない、よね?」
「上等ですわ……その思い上がりを正して見せましょう」
「AUTOさぁん?!なんで挑発に乗ってるんですかぁ!?」
「時には乗らねばならぬものもあるのです!」
うーん、見事な釣れっぷり。
……ともかく、AUTOさんがCHEATちゃんに変わってコントローラーを握ったことは事実。
そしてそれは恐らく、何かしらの勝ち筋を見つけたからだろうということも間違いではあるまい。
うん、AUTOさんが感情に任せて行動なんてするかよ、みたいな?まさかCHEATちゃんじゃあるまいし。
……CHEATちゃんがなんかすごい眼差しを向けてくるのはスルーして、ともかくAUTOさんが動いたのは先程の説明から何か隙を見つけたのだろう、ということは間違いない。
そこまで悟った上で、特に俺は対処をしない。
そもそもやろうと思ってもできないからね、仕方ないね!
ってなわけで、とりあえずコントローラーを握り直して試合再開。
画面の中を再び元気よく下降し始めたパズル達は、AUTOさんの方は淀みなく、俺の方はがったがたに組み上げられて行くのだった。
(恐らく、この試合形式において考慮すべきはやはり彼のプレイ力の低さ。パズル系ゲームに共通する定石にすら明るくない彼ならば、例え使えば必ず勝てる……というような道筋を置いておいたとしても、それが理解し辛いものであるならば見逃してしまうはず。具体的には過重や時間差ですが、問題はその辺りを指してTASさんが『勝っている』と相対評価してくれるかの方……)
(何事かを考えているAUTOに気付かず必死でパズルを組んでる顔)
いや、何回か試走したけども。
やっぱこのゲームわからん、横のAUTOさんは軽快にコンボを組んでるみたいだけど、俺の方はなんか変なことになってるとしか思えねぇ。
お邪魔アイテムがそこらに転がってるし、色んなところに色ブロック転がってるし。
(……?想定ではこの辺りで変わるはず、TASさんは何を……は!?)
(あれ、AUTOさんがなんかすごい驚いた顔をしてるぞ?なんでだ?)
(な、なんという!今私は答えを述べていたではないですか!
そのまま、何事もなくAUTOさんが勝ってしまったのだが……あれ?入れ換えは?
俺普通に負けたんだけど、これどっち判定なので?
そんな疑問を滲ませながらTASさんを見たところ、彼女は呑気な声でこう告げたのだった。
「AUTOの負けー」
「なん……だと……???」