「これは……中々見極めが難しいですわね……」
「え、なんで今の入れ替わらなかったの?」
はてさて、勝敗を告げたTASさんとAUTOさんの二人だけが何やら納得を示し、それ以外の面々がなんのこっちゃ、みたいな顔をしているわけだが……そのうちの一人、ROUTEさんが何かに気付いたような表情を見せたのだった。
「……まさかと思うが、今の試合そっちに勝ち筋が残ってたのか?」
「え?」
「ROUTE正解。今の対戦はお兄さんに勝ち筋があった。だから入れ換えは発生せず、そのまま勝ってしまったAUTOの負け」
「え、ええ!?」
そうして語った内容は、今しがたの勝負に俺の勝ち筋があった、というなんとも信じがたいもの。
……本人が首を捻るような内容だったのにあれで勝てたとは如何に。
「信じてないみたいだからリプレイ」
「うわっ!?TASさんが指パッチンしたらゲームが早戻りし始めた!?」
そんな周囲の疑問を晴らすため、TASさんが行ったのは先程の盤面の検証。
彼女の合図を受けて画面が早戻りしていき……結果、そのままAUTOさんが勝ってしまったタイミングの一手手前、くらいの状態が写し出される。
……素人目には、ここから勝てる道筋なんて見えないんだけど……。
「ここ。お兄さんがぐるぐるブロックを回して無駄に遅延してたけど、これがここにこうして嵌まると……」
「おっ?お邪魔アイテムが消えて……んん!?」
TASさんが俺の手の中のコントローラーをやんわりと奪い取って、そのまま操作をする。
画面内のブロックは淀みなく目的の場所に移動して行き──結果、そこで他の色と揃って周囲のお邪魔アイテムを消滅させる。
するとどうだろう、お邪魔アイテムによって分断されていたブロック達が繋がり、規定量揃ったのでそのまま消えてさらに分断されていたブロックを繋げ……。
「とまぁ、こんな感じ。一手で綺麗にひっくり返った」
「お、おお~……」
最終的に、AUTOさん側の画面はさっきまでの俺の画面の如く、お邪魔アイテムまみれになって勝ち筋が一切見えない状態になっていたのだった。
「……なるほど、
「そう。だからあそこでAUTOがすべきだったのは、お兄さんに対して『遅延は男らしくない』とかなんとか言ってブロック回しを止めさせることだった」
「相手の画面を見ていたつもりではありましたが……ご自身で起爆できないものは勝ち筋として見てなかったのは確か、ということかもしれませんわね……」
「まぁ、AUTOの場合相手の盤面と相手の行動の掌握まで踏まえると大変、っていうのも確かだけど」
……なるほど、俺の行為まで操作しようとするとAUTOさんのタスクオーバー関係の話に引っ掛かる、と。
生憎その部分くらいしかわからなかったが、ともかく今の場面では俺の勝ち筋の存在ゆえに
それを読みきれなかったAUTOさんは、そのまま普通に勝ってしまい試合に勝って勝負に負けた、と。
いやまぁ、基本的に無茶苦茶やってただけの俺の動きを読め、ないし誘導しろというのは無理があるとも思うのだけど。
「でもそれくらいできないと今回は勝てない」
「ですわね。……そういうわけですので、私はここでおしまいです。他の方に後はお任せ致しますわ」
はぁ、と小さいため息を吐きながらAUTOさんがテレビの前から離れていく。
基本的には一回しか挑めないモノであるため、他の人に任せるということなのだろう。
……が、他の面々は互いに顔を見合せ困惑するばかり。
最初の二人がなんやかんやでこの面々の中ではトップクラスに勝てるはずだったこと、この試合形式が意外と難しいモノであることに気付いたせいだろう。
俺だって、当初この話を受けた時のイメージからはかけ離れているような気がするし。
「そうなんですぅ?」
「いやだって、試しにTASさんと試合内容調整してた時は滅茶苦茶普通に対応されたし……」
(そいつ基準で調整したのが間違いなんじゃねぇのか……?)
うん、サクサク負けまくって全戦全敗って感じだったし。
この分なら他の面々もさくっと勝つんじゃないかなぁ……と思ったんだけど、このままだと誰にもお年玉を渡さずじまいになりそうというか。
いやまぁ、別にお年玉を渡したいってわけでもないんだけどさ?
「破産と隣り合わせだからね」
「破産?」
「はい、今回渡す予定のお年玉の金額」
「……桁がおかしくない?」
「その内何割かはCHEATちゃんの配信から貰ったものだけどね」
「……そう考えると私も大概稼いでるな?」
「私には勝ててないけど」<ドヤッ
「アンタに勝とうとするなら、私色々投げ捨てなきゃいけないし……」
今回渡す予定のお年玉の金額を見せた結果、始まった不毛な(?)戦い。
それはTASさんの不戦勝で終わったけど……いや、このゲームどうしようかね?